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《第19講》「現行企業会計の損益計算書の示す利益って何?!のつづき」
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◇《今日の一言》◇ =============== =============== =============== 

 読者の皆さんこんにちは。

 都合2回分の休刊となり申し訳ありません。

 公認会計士の短答式本試験に関する対応等で休刊しました。

 当mailmagazineを楽しみにして頂いている読者の方に無用なご心配とご迷惑
をおかけし、お詫びします。

 そこで、これからは、当mailmagazineに関して、休刊等の情報をHBAのH
P/「お知らせ & トピックス」のコーナーに掲載することにしましたので、
そちらをご覧頂きますようお願いします。

 HBA/「お知らせ & トピックス」はこちら >>>


 これからも、偶発的な事情で発行期間が空いたり休刊の場合が有るかもしれ
ませんので、mailmagazineが来ないな〜、と思ったときは、是非ご覧ください。

 よろしくお願いします。

 なお、予め予定される休刊等については、当mailmagazineでもお知らせしま
す。





 さて、前信から間だが空いてしまったが、思い出してもらいたい。前信では
包括主義による本来の損益計算書とは下記のようであることを確認した。


     当期収益・利得

   −)当期費用・損失
   __________

      当期利益


 これを見て、“そんなバカな! だって、これ、区分表示も何もしていない
じゃない”と諸君は必ずや思ったはずである。

 そう、諸君が今まで見たことも聞いたこともないであろう上記の損益計算書
が包括主義の本来の損益計算書なのである。

 確かに上記は、区分表示など一切していない。

 が、よく見てみれば分かるように当期に発生したすべての収益および利得と
当期に発生した費用及び損失を計上し、差額としての利益を計算している。

 包括主義の損益計算書とは本来このようであるのだ。


 では、現行企業会計は損益計算書について包括主義を採用しているのに、何
故区分表示(つまりは区分計算)がされているのだろうか?


 というのが前信での最後の部分であったはずである。





 そう、包括主義の損益計算書とは本来上記のようなのである。だからこそ、
再三、私が現行企業会計上の損益計算書について包括主義的損益計算書と「的
」を入れて説明している。


 この包括主義は、時点的な特質を持つ分配可能利益の算定に非常にフィット
するともいえるのだ。


 では、現行企業会計で採用されている損益計算書、包括主義を採用した損益
計算書は何故区分表示されているのであろうか?

 それは、包括主義の採用によって、上記に示すように当期のすべての収益・
利得および費用・損失が一括的に表示されている損益計算書では、分配可能利
益の算定・表示目的は充たしても、投資者(家)のための業績に関する情報を
充たすことはできないからである。

 そもそもの矛盾は、一種類の体系の財務諸表で、本質的に異なる二つの利益
情報を作成・開示させようとするところにある。

 実務界が、二種類もの財務諸表を作るのは、コスト的・時間的に“いやだ”
というのであるから、しょうがないというのだ。


 そこで、上記のような包括主義の損益計算書においても、投資者(家)のた
めの業績情報をできるだけ開示するため、段階的に区分計算をさせ、それを区
分表示させることによって、特に経常利益(現行企業会計上の損益計算書にお
ける経常利益)を業績表示利益として表示し、投資者(家)に対する情報を、
その制約された中で提供することが実践上思考されたというわけである。

 その結果できたのが、今諸君がよく知る現行企業会計における包括主義を採
用しつつも、区分表示によって、投資者(家)に対する業績表示利益に関する
情報提供を工夫?した損益計算書、包括主義的損益計算書なのである。


 ただし、それでも収益に対する実現主義の適用という制約は避けられないこ
とから、計算要素的な(つまり、項目的ということ)業績表示利益の情報でし
かないのはいうまでもない。

 「計算要素的な業績利益の情報」とはいかなる意味か?諸君で考えてみてほ
しい。

 それが分かれば、現行企業会計における損益計算書の性格が少しは理解でき
るはずである。

 ヒントは、「既に、損益計算書上の一番上の売上高の認識に分配可能利益の
算定要請から実現主義が適用されている」ということである。


 現行企業会計における財務諸表、とりあえず、損益計算書が示す「適正性」
(業績表示利益という意味でも、分配可能利益という意味でも)とは、そのよ
うな制約の下での適正性でしかない。


 ところが、読者諸君はさらにガッカリしなければならないのだ。

 実は、現行企業会計における損益計算書において計算される利益は、業績表
示利益という意味においても、分配可能利益という意味においても、その「適
正性」はさらに歪められているからである。


 現行企業会計における計算基盤は動態論の計算構造であり、発生主義会計に
よる利益計算である。

 では、この発生主義会計における最も特徴的な認識・測定とはどのようなも
のであろうか?

 そう、諸君もよく知っている減価償却費に関する認識・測定である。

 この減価償却費の認識と測定はどのように行われているのであろうか?


 まずは、減価償却の基本的知識から確認しておこう。

 有形固定資産の多くは、時の経過や使用などによって徐々にその機能を消耗
(減価)しながら、その役務を長期にわたって提供し、各期の収益獲得に貢献
する。

 役務を長期にわたって提供する以上、その取得に要した対価(支出)を取得
した会計期間または除却した会計期間のみの費用とするのは合理的ではない。

 つまり、長期にわたって使用により収益を獲得する有形固定資産の費用化は、
使用により獲得された収益との対応計算を行うべく、それが使用される期間に
わたってなされるべきである。

 有形固定資産は使用を目的として保有され、長期的に(複数の会計期間にわ
たって)費消されるものである。その上、有形固定資産は全一体として使用さ
れることで減価が発生するという性質を持つ。

 以上より、有形固定資産については、1会計期間における消費量を物量的・
客観的に把握することができないにもかかわらず、適正な期間損益計算をおこ
なうためには有形固定資産の取得原価を費用として耐用期間の各期に配分する
必要が生じるのである。


 そこで、有形固定資産の減価を社会的な合意に基づいて仮定し、その仮定に
基づいて費用化を行うという方式が考えられることになる。これを現行企業会
計上の減価償却というのである。

 ここに、減価償却とは、ものを使用すれば価値が喪失するという事実認識に
基づいて、固定資産の取得原価から、廃棄の際の見積処分価額を差し引いた要
償却額を、一定の計算方法によって、それを使用するすべての会計期間にわた
って減損する価値分(減損処理の意味ではない)を費用として規則的・継続的
に配分し、その配分計上額だけ、資産の繰越価額を減少させる会計上の手続き
または技術をいう。

 この減価償却の目的は、上記から明らかなように、費用を適正に耐用期間に
配分することにより期間損益計算を適正に行うことにある。

 なお、減価償却は、すでに決定された取得原価を各期に配分する手続きない
し過程であり、価値判断としての評価の過程ではない。


 まあ減価償却の基本的知識としては以上のようであろう。


 つまり、固定資産の減価は、観念的には理解され、したがって、認識される
ものの、具体的・客観的な事実として認識され、測定される訳ではないのであ
る。

 観念的に理解される減価を合理的に仮定し、その減価の仮定に適合的な減価
額の計算方法によって計算されるだけである。

 これが、いわゆる減価償却計算といわれるものだ。


 そこで、再び諸君に問うのだが、現行企業会計における期間損益計算の「適
正性」とは、とのような意味なのか?

 諸君は、正しく理解しているだろうか?


 諸君も承知かと思うが、現行企業会計では財務諸表について「適正」とはい
っても、「正しい」とか、「正確」といった表現をすることは決してない。

 簿記でお馴染みの減価償却計算をどれほど正確に行ったとしても、「正確」
ではないということである。

 つまり、現行企業会計上で予定されている多くの費用化の計算を如何に正確
に実践したとしても、それは計算手続的に正確なのであって、そもそも事実に
則して「正確」ということではないのだ。


 では、どのように費用額を測定すれば、財務諸表上でも「正確」といえるの
であろうか?

 もし、事実に則して「正確」な費用額の測定をしようとするならば、例えば、
固定資産たる車両の場合、使用によって、どの程度エンジンの内部が摩耗した
のか、どの程度シートのクッションはヘタッたのか、どの程度タイヤは摩耗し
たのか、どの程度外部塗装は走行によって削り取られ摩耗したのか等々を全て
事実に則して客観的に認識し、それをさらに事実に則して客観的に測定しなけ
ればならない。

 また、例えば、備品である蛍光灯などについて「正確」に減価を認識・測定
しようとすれば、使用会計期間においてそれぞれ何ルックス照度が落ちたのか
を事実に則して客観的に認識・測定しなければならないのである。


 では、そのようなことが現実的に可能であろうか?ということである。


 勿論、答えは、「ノー」である。


 つまり、固定資産の場合を典型として多くの費用化される資産の場合がそう
であるが、減価は観念的には理解されても、それを事実に則して客観的に認識
・測定することは非常に困難、又は、不可能なのである。


 そこで、一定の合理的と認められる減価の仮定に基づき、それに適合する一
定の減価額の計算方法(つまり、一般に公正妥当と認められる償却方法)によ
って各期の減価額を決定することにしているのだ。


 したがって、この方法によって計算される各期の減価償却費は、仮定計算上
での合理性と客観性を持つのであって、事実をそのまま「正確」に表現してい
るというわけではない。

 このことは、毎期の償却計算によって計算された減価償却費(当該期の費用
額)と実際の減価額は少なくとも期間的には一致してはいないことを意味する。
ただ単に、合理的と認められる範囲に収まっているだけなのである。

 それ故、現行企業会計においては、期間的には暫定的費用額でしかないとい
うのである。そのことは、それらの暫定的な費用額によって計算される利益も
また、期間的には暫定額となるのである。

 それらが確定するのは(該当する固定資産等に係る部分だけであるが)、耐
用期間経過後、それらの固定資産が除却される時(勿論、耐用期間の中途で売
却もしくは除却された場合でも事情は同じである)、つまり、当該固定資産に
関するキャッシュ・フローに収束する時なのである。

 このことは、現行企業会計がキャッシュ・フローから離れられない、という
ジレンマでもある。


 現行企業会計上の期間損益計算の「適正性」とは、そのような意味での適正
性でしかないのだ。

 したがって、このことを踏まえて監査も「適正性」に関する監査ということ
になる。


 さて、読者諸君が理解している適正性の意味と誤差があっただろうか?


 現行の企業会計は、様々な事情から本来の発生主義会計による期間損益計算
が歪められている。

 勿論、会計は実践可能性が重要な課題である。

 しかし、まずは、本来のフレームワークの理論的理解を踏まえた上で、様々
な実践上の事情によって、その理論的枠組みがどのように歪められているのか
を理解しなければならない。そうでなくては、理論的フレームワークと現実と
の歪みを的確に理解することはできないのだある。また、それを理解している
からこそ、より合理的な方法の探求も可能となるのである。


 では、現行企業会計上の期間損益計算の「適正性」について、正しい基本的
な理解が得られたところで、現行企業会計における損益計算書の機能について
まとめておくことにしよう。


 現行企業会計における損益計算書の機能は、一義的には企業の経営成績とし
ての業績表示利益を算定することである。

 ここでいう経営成績とは、企業の経営活動における努力に対する成果であり、
企業の一会計期間の経営努力としての財貨・役務の費消とその努力の結果とし
ての成果、すなわち経営努力としての費用とその努力によって獲得された収益
との対応計算によって、利益として表される。それは本質的には企業の正常な
収益力を表すべきものであるから、したがって、それは基本的には業績表示利
益として捉えられることになる。

 しかしながら、現行の制度会計が現実の企業を対象とすることから、そこで
の利益計算の基礎は収支計算にあり、投下資本の期間的な回収余剰としての利
益の計算が前提とされる。

 したがって、その計算要素から業績表示利益を表す経常利益の計算の後に、
当期に発生ないし確認された臨時損益もしくは過年度損益修正項目を計算要素
とする特別損益項目を加減算して、時点的な意味での分配可能利益を算定表示
することが制度上要請されることになる。

 このことから、制度上の損益計算書は包括主義(的)損益計算書の形態を採
っているのである。



 さて、2回にわたって、期間損益計算の基本中の基本である「期間損益計算
の適正性」、つまり、現行企業会計における損益計算書での利益計算の本質に
ついて見てきた。

 これらの「基本」(まだまだ現行企業会計を理解する上での「基本」はいく
つもある)の理解も無く、結論たる処理方法や会計基準を暗記しても、その意
義は到底理解することはできない。

 とりわけ、何故そのように処理することが合理的なのか、設定されている基
準が何故必要とされるかなどといったことは、まったく理解することはできな
いのである。


 会計学によらず「基本」とは、最も重要である。読者諸君はここで、「基本
」を学ぶことの重要性を十分に認識すべきであろう。



 さて、今回は少々短めではあるが、ここまでである。


 では、また。









◇ =============== =============== ============= =================

◇ =============== =============== ============= =================

◇◇◇今回の問題◇◇◇

問題1

 利益の計算方法として、財産法と損益法と呼ばれる方法の二つがあります。
それぞれを説明した上で、継続企業の収益力の表示に対する適合性の面からは、
いずれの方法における利益概念が適合するのかを明らかにしなさい。(17行)



問題2

 企業会計における利益概念は、利害関係者の具体的な関心内容いかんによっ
て推移する性格のものです。したがって、利益を単に企業資本の増殖高として
観念するだけでは、その内容は明らかになったとはいえません。
 そこで、動態論をその計算構造の基盤とする今日の企業会計のもとで、いか
なる利益概念が想定されているかが問題となります。これを踏まえて、次の各
問に答えなさい。

問1
 制度会計において要求されるであろう利益概念として、しばしば、「分配可
能利益」と「業績表示利益」が対比的にあげられます。この二つの利益概念が
利害関係者のどのような関心から要求されるものかを明らかにしなさい。
(11行)

問2
 我が国の制度会計としては「証券取引法」と「会社法(旧商法)」に基づく
ものがありますが、両者は問1の二つの利益概念とどのように結びついている
のか、制度上、どのような関係にあるのか説明しなさい。(10行)






 〜問題に関する確認項目〜

○問題1は、既に説明済みの論点であり、また、本年度の短答式本試験で基本
的な理解の無い試験委員によって出題された題材でもあり、復習かたがた確認
しておくのもよいと思う。諸君は本問で果して何点を取ることができるのであ
ろうか?
○会計上の二大利益概念である。勿論、それを前提とする現行企業会計上にお
いても二大利益概念であることは言うまでもない。それらの利益概念を正しく
理解しているか?また、それらを現行企業会計上ではどのように扱っているの
かを理解しているか?を問う問題である。
○「証券取引法」と「会社法(旧商法)」の基本的スタンスの違いを正しく理
解しているか?また、それらはどのような利害関係者とどのように関係するの
か?を正しく理解しているかを問う問題である。







・解答行数:上記各問題文末参照。

 ・満点  問題1:40点
      
      問題2
      問1:30点
      問2:30点
      
      以上合計:100点。









◇ =============== =============== ============= =================




 解答・解説(一部または全部)は次回のメールマガジンにおいて掲載する予
定です。
 また、次回メールマガジンの発行日の翌日以降、当アカデミーの『HBAメ
ールマガジン』のコーナーにも解説を掲載します。
 
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◇ =============== =============== ============= =================

◇ =============== =============== ============= =================





◆◆◆前回の問題の解答・解説◆◆◆

◆◆◆◆◆ =============== =============== =================== ===

問題

 現行の「企業会計原則」損益計算書原則一では、「損益計算書は、企業の経
営成績を明らかにするため、一会計期間に属するすべての収益とこれに対応す
るすべての費用とを記載して経常利益を表示し、これに特別損益に属する項目
を加減して当期純利益を表示しなければならない」とされています。
 しかし、昭和49年改訂前の「企業会計原則」損益計算書原則一では、「損益
計算書は、企業の経営成績を明らかにするため、一会計期間に発生したすべて
の収益とこれに対応するすべての費用とを記載し、当期純利益を表示しなけれ
ばならない」とされていました。これを踏まえて、以下の各問に答えなさい。

問1
 現行の「企業会計原則」と昭和49年改訂前の「企業会計原則」とでは、損益
計算書が最終的に表示すべき「当期純利益」の捉え方が根本的に異なっている
と考えられます。
 それぞれの根底にある考え方について簡潔に説明しなさい。
(考え方それぞれにつき6行と7行)

問2
 現行の「企業会計原則」損益計算書原則一の文言の意味する内容を、問1の
2つの考え方を踏まえて説明しなさい。(12行)

問3
 現行の「企業会計原則」で、当期純利益の計算要素とされる特別損益項目は
どのような性格の項目ですか、期間損益計算との関係に留意して説明しなさい。
(10行)






 〜問題に関する確認項目〜

○当期業績主義と包括主義を論理的に正しく説明できるか?
○制度的に要請される分配可能利益の計算を前提にした上で、業績表示利益を
現行企業会計上ではどのように開示しているのかを正しく説明できるか?
○本問の解答にあたっては、当期業績主義を前提にしなければならない。包括
主義を前提に解答を書くなら、0点である。その意味が理解できるか?







・解答行数:上記各問題文末参照。

 ・満点  問1:各20点×2=40点
      問2:40点
      問3:20点
      
      以上合計:100点。



◆【解 答】◆◆=============== =============== ============ ==========

問1
 損益計算書に表示すべき「当期純利益」をどう捉えるかについて、当期業績
主義という考え方と包括主義という考え方がある。当期業績主義とは、損益計
算書は企業の当期の正常な収益力を算定・表示すべきものであり、したがって、
企業における本来的な経営活動およびその本来的経営決道に付随しまたは補助
する活動で経常的・反復的な損益項目のみをその構成要素とするのである。そ
のため、そこで示される「当期純利益」は業績表示利益を意味することになる。
旧「企業会計原則」は、この当期業績主義の考え方をとっていた。

 これに対して、包括主義とは、損益計算書は企業の当期の分配可能な利益を
算定・表示すべきものであり、したがって、企業における本来的な経営活動お
よびその本来的経営活動に付随しまたは補助する活動で経常的・反復的な損益
項目だけではなく、本来的経営活動ないし付随的活動に関係しない臨時的な損
益項目や過年度の損益修正項目をも含めて、当期に発生もしくは確認すること
ができたずべての損益項目をその構成要素とするのである。そのため、そこで
示される「当期純利益」は分配可能利益を意味することになる。現行「企業会
計原則」は、この包括主義の考え方をとっている。(各20点×2=40点)

問2
 損益計算書の機能は、一義的には企業の経営成績を算定・表示することであ
る。ここでいう経営成績は、企業の経営活動における努力に対する成果であり、
企業の一会計期間の経営努力としての財貨・役務の費消とその努力の結果とし
ての成果、ずなわち経営努力としての費用とその努力によって獲得された収益
との対応計算によって、利益として表示される。かかる利益は、本質的には企
業の正常な収益力を表すべきものであるから、基本的には業績表示利益として
捉えられることになる。
 しかしながら、そこでの利益は、費用と収益との期間的対応をとおしての収
益力の表示を目的とするものの、その根底には、投下資本(原価)の回収(実
現)による剰余、つまり分配可能利益の計算としての特質が認められる。すな
わち、期間的な経営成績の表示、つまり収益力の表示は、期間的な収益及び費
用の認識・測定の段階において、すでに分配可能利益の計算原理に支配されて
いる。したがって、このような利益の性質と損益計算書の様式とを整合的に捉
えるのであれば、損益計算書の様式は包括主義によるべきである。(40点)

問3
 特別損益項目は、前期損益修正益、固定資産売却益のような特別利益と前期
損益修正損、固定資産売却損、災害による損失のような特別損失とから構成さ
れる。これらは、当期に発生ないし確認された臨時損益もしくは過年度損益修
正項目としての性格をもつ。
 損益計算書の様式として包括主義を採用している場合でも、企業の正常な収
益力たる業績表示利益の開示は投資家等にとって重要な関心事であるので、損
益計算書を区分表示して、計算要素から業績表示利益を表す「経常利益」もま
た表示する必要がある。この「経常利益」が、一定の制約のもとではあるが、
企業の正常な期間成績を示すのに対し、「特別損益」はこれと直接的に関係の
ない損益であるから、この区分がなされていなければ、期間的な経営成績した
がってまた正常収益力の判断が不可能である。この点からみれば、特別損益項
目は企業の正常な期間成績を反映しないものとして捉えられる。(20点)








 
◆【解 説】◆◆◆ =============== =============== ============ =======

【出題の趣旨】
 企業会計上、損益計算書の機能は、一義的には一定期間における企業の経営
成績としての業績表示利益を算定することである。

 あくまでも業績表示利益のみを算定・表示するのが損益計算書の役割であり、
分配可能利益を示すのは損益計算書とは別の利益剰余金計算書の役割であると
するのが当期業績主義であり、企業の当期の分配可能な利益を算定・表示する
のが損益計算書たる役割であるとするのが包括主義の考え方である。

 しかし、制度上、分配可能利益は利害関係者にとっては不可欠の関心事項を
なすものであるから、分配可能利益の表示がされなければならない。そこで、
制度上は、分配可能利益の算定・表示を基本としつつ、計算要素的な業績表示
利益を区分表示している。

 この制度上の歪みが理解されているか?




【解説】

問1・問2
 損益計算書には、その様式からみて、当期業績主義的損益計算書と包括主義
的損益計算書とがある。昭和49年修正前の「企業会計原則」は、当期業績主義
を採用していたが、現行「企業会計原則」は包括主義に改めた。なお「計算書
類」については、従来から包括主義によっている。

1.当期業績主義(的)損益計算書
 当期業績主義的損益計算書は、昭和49年修正前の「企業会計原則」が採用し
ていた損益計算書であって、当該期間の正常収益力を反映する利益を源泉的に
表示した損益計算書であり、期間的な経営成績を示す収益と費用とを対応表示
した計算書である。

2.包括主義(的)損益計算書
 包括主義(的)損益計算書は、昭和49年修正後の「企業会計原則」が採用し
ている損益計算書であって、損益計算書は企業の当期の分配可能な利益を算定
・表示すべきものとして、当期に発生もしくは確認することができたずべての
損益項目をその構成要素として利益を計算する計算書である。


 投資者(家)に対する投資意思決定情報との観点からは、損益計算書の機能
は、一義的には企業の経営成績を算定・表示することである。それは、企業の
正常な収益力を表すべきものである。

 しかしながら、現実の企業の活動には、その根底に、投下資本(原価)の回
収(実現)による剰余、つまり分配可能利益の計算としての特質が認められる。
したがって、このような利益の性質と損益計算書の様式とを整合的に捉えるの
であれば、損益計算書の様式は包括主義によるべきであるということになる。


問3
 問題に関する確認項目のところでも指摘してあるが、本問の解答にあたって、
は当期業績主義の視点に立たなければならない。包括主義の視点から解答を書
くなら、0点である。

 なぜだかお分かりだろうか?

 損益計算書の様式として包括主義を採用している場合でも、企業の正常な収
益力たる業績表示利益の開示は投資家等にとって重要な関心事である。したが
って、損益計算書を区分表示して、計算要素から業績表示利益を表す「経常利
益」もまた表示する必要がある。

 この場合、「経常利益」として表示される利益が、一定の制約のもとではあ
るが、企業の正常な期間成績(業績表示利益)を示すことになるが、「特別損
益項目」はこの経常利益(業績表示利益)の計算要素とはされない。

 したがって、経常利益までの項目との区分がなされていなければ、期間的な
経営成績、つまり、正常収益力の判断が不可能となるわけである。

 これを、包括主義の視点に立って、「特別損益項目」は“分配可能利益の計
算要素である”と解答した場合、この記述自体は誤りではなく正しいのだが、
本問の解答としては0点である。

 なぜなら、それでは経常利益(業績表示利益を計算する項目)と特別損益を
区別する理由が明らかにはされず、問題文の「特別損益項目はどのような性格
の項目ですか、期間損益計算との関係に留意して説明しなさい」という問には
まったく答えていないからである。

 問題の趣旨がその区別の趣旨を問うている以上、その題意に的確に解答しな
ければ得点することはできない。







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