【HBA王道セミナー】すべての理解は基礎理論の理解にあり!!基礎理論の
理解無しに応用など存在しない。




                             2007.7.15発行
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《第20講》「貸借対照表が示す財政状態の本質的な意味!」
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◇《今日の一言》◇ =============== =============== =============== 

 さて、損益計算に関する基礎理論は前回までで一段落したといえるだろう。

 勿論、実現主義の具体的適用についての考察や費用の評価・測定といったも
のが残っているが、本mailmagazineでは基本的・体系的な理論を中心に取り上
げる趣旨であるから、それらについては、いずれの機会にか触れることもあろ
うと思う。


 そこで、今回から貸借対照表に関する体系的な基礎理論について概観してい
くことにしよう。

 それが終わったところで、しばらくご無沙汰の監査論ということにしたい。


 ではまず、現役の大学生の諸君には、古い、退屈と評判の悪いであろう貸借
対照表論としての静的貸借対照表・動的貸借対照表について見ることにしよう。


 なぜなら、ここにも現役の大学生の諸君には、古い、退屈と評判が悪いとさ
れる誤解があるからである。

 勿論、本mailmagazineの趣旨からして、静的貸借対照表について詳しく観察
するといったことは勿論しない。現行企業会計における動的貸借対照表と比較
するために必要な基本的理解を諸君が得ることが目的である。



 では、貸借対照表の本質というところから始めよう。


1.貸借対照表の本質

(1) 財政状態の実質的内容(静的貸借対照表論と動的貸借対照表論)

 今日の企業会計において、一般に貸借対照表は、一定時点における企業の財
政状態つまり企業資本の現状を、その具体的な存在形態(運用形態)と源泉形
態(持分形態)との、2つの側面から把握・表示した一覧表(ごくありきたり
の説明ではあるが、ここでは話を先に進めるためにこれで我慢しよう)であり、
損益計算書とともに財務諸表の中核をなすものである。

 貸借対照表がどのようにな意味で財務諸表の中核を成すかは、既に説明済み
である。

 さて、この貸借対照表の本質をどのように理解するかについては、会計理論
の発展過程からみた場合、いわゆる静的貸借対照表論と動的貸借対照表論とに
分かれる。このことは、諸君は承知しているだろうか?

 静的貸借対照表論においては、貸借対照表の本質を、一定時点における企業
の債務弁済能力の表示のための、財産価値にもとづく財産状態の表示機能に求
める。

 これに対して、動的貸借対照表論では、貸借対照表の本質を、継続企業を前
提とした期間損益計算の手段としての機能に求める。したがって、そこでの財
政状態は、継続企業の収益力の算定・表示を課題とする期間損益計算のしくみ
を通した上での、企業資本の表示として捉えることができる。




(2) 動的貸借対照表の特質

 企業の経済基盤が確立し、継続企業が前提とされる段階では、投資者(家)
の存在から会計報告の基本目的は、企業資本がどのように効果的に運用された
かについて、つまり企業の収益力の表示に置かれることになる。

 これを反映して、貸借対照表の役割は、期間損益計算の手段としての機能が
第一義的なものとされることになる。(これについてまだ理解していない諸君
は現時点では基本的にいないはずだ。)

 このような貸借対照表を、一般に動的貸借対照表といい、したがって、動的
貸借対照表における財政状態の表示は、その損益計算の手段としての機能に制
約された内容のものとして理解されることになるのである。

 「動的貸借対照表における財政状態の表示は、その損益計算の手段としての
機能に制約された内容」、この点が現行企業会計における貸借対照表の本質を
知る上で最も重要なところである。

 つまり、貸借対照表の第一義的な機能を損益計算の手段として把握する場合、
貸借対照表は期間損益計算の「連結環」として位置づけられる、ということだ。


 冒険企業のように、企業の設立から解散までの全体損益計算が可能である場
合には、損益は全期間における収支の差額として計算される。

 しかし、継続企業を前提にする場合、損益計算は人為的に期間を区切って行
われざるを得なくなる。

 ただし、現実の企業は現実の貨幣経済社会に存在することから、その活動は
収支(キャッシュ・フロー)を前提として行われる。

 したがって、その場合には一定期間になされた収支計算が、必ずしも当該期
間の損益計算とは一致しなくなるという状況が生じることになるのだ。

 それは、もともと期間的な制約の無い収支計算上の支出・収入と期間的に限
定して捉えられる期間損益計算上の費用・収入との間に不一致が生じるからで
ある。

 この収支計算と期間損益計算とのズレには、支出・未費用、収入・未収益、
費用・未支出、収益・未収入といった支出・収入と費用・収益との間のズレで
ある成果作用的収支の他に、もともと損益とは関係のない支出・未収入、収入
・未支出といった中性的収支が存在する。

 これについても、既に説明してある。確認したい諸君は、バックナンバーを
参照してほしい。


 この期間的なズレを意味するこれらの未解決の収支項目と現金、を総括表示
したものが、実は動的貸借対照表にほかならず、それは当期の損益計算の結果
を示すとともに、次期の損益計算の出発点ともなるのである。

 つまり、その意味で期間を繋ぐ連結環だということだ。

 したがって、動的貸借対照表における財政状態の表示は、一定時点における
現金および収支未解決項目としての企業資本の状態を表現することになる。

 そのために、動的貸借対照表においては、例えば、棚卸資産や固定資産等の
財貨は、支出・未費用項目として捉えられ、その評価は必然的に支出額(取得
原価(キャッシュ・フロー)→将来費用額)を基礎とすることになる。

 また、資産の認識面(貸借対照表上に資産として計上されるものであるか否
か、つまり貸借対照表能力をもつか否かの側面)においても、個別的な財産価
値ないし換金価値の存在よりは、むしろ収益力要因としての性質が重視される
から、財産価値の存在が認められるもののみならず、個別的な財産価値の存在
が認められなくても支出の効果が将来の期間に発現するものと期待されれば(
つまり、将来において収益を獲得することが期待されれば、ということ)、貸
借対照表能力を認められ(繰延資産を考えてみよ)、資産として計上(支出額
によって評価)されることになる。

 ※ 収益力要因:
   将来の収益獲得要因ということである。基本的に動的貸借対照表上の資
  産(費用性資産)の貸借対照表能力(貸借対照表上の資産として認められ
  る能力)を説明する場合に用いられる用語である。
   ただし、である。ここで注意することは、"どのような意味で「要因」
  なのか、というその内容については何も説明されていない、ということで
  ある。


 さらに、負債の認識面においても、法的確定債務だけでなく、将来支出の原
因事実としての費用の発生が認められるならば、そのような将来の未確定の支
出額(この説明で引当金を想像してはいけない。現在の引当金はここでの説明
の埒外にある)も負債を構成することになる。

 財政状態の具体的な内容、つまり資産・負債・資本の内容は、会計の全体的
な構造における貸借対照表の役割ないし機能によって異なるものであるが、近
代会計における財政状態は、一定時点における収支の未解決状態を示すという
意味で、財産状態ではなくまさに財政状態を表示しているということになるの
である。


 だからこそ、動的貸借対照表のシェーマを示めせば、

 (借方)       (貸方)
1) 支払手段
2) 支出・未費用※   5) 費用・未支出※
3) 支出・未収入    6) 収入・未支出
4) 収益・未収入※   7) 収入・未収益※

ということになるのであり、もし、これらに時価を適用したとしても資産・負
債の価値評価とは次元がまったく異なることに注意しなければならない。


 現行企業会計における計算基盤としての動態論の計算構造における貸借対照
表の本質をまず上記のように正しく理解した上で、近時の会計事象に対する会
計処理の合理性を観察しなければならない。

 諸君はどのように理解しているか分からないが、諸君を指導する立場の者(
巷の受験学校の講師とは限らない、大学の学者と名の付く者でも実力のない者
は大勢いる)の実力次第で諸君の理解の正しさも、また、知識の深さも多大な
影響を被ることになる。

 とりあえず、現行企業会計の基盤が動態論の計算構造ではない、動態論など
もう古い、などということを平然という者が諸君を指導する立場の者であれば、
諸君の会計学の学習に大きな陰を落とすことになるのだ。


 さて、動的貸借対照表における財政状態の本質的意味が理解できたところで、
それを表現する資産・負債に関して、関連する基礎知識として『貸借対照表完
全性の原則における「すべての資産、負債」』について、チョット見ておこう。




2.貸借対照表完全性の原則

(1) 貸借対照表完全性の原則の意義

 「企業会計原則」は、貸借対照表原則一において、「貸借対照表は、企業の
財政状態を明らかにするため、貸借対照表日におけるすべての資産、負債及び
資本を記載し」として、いわゆる貸借対照表完全性の原則を指示している。

 この貸借対照表完全性の原則は、企業の外部利害関係者に対して、企業の財
政状態を明らかにし、適切な判断に資するため、貸借対照表には貸借対照表日
における企業のすべての資産、負債および資本を完全に網羅して記載すべきこ
とを要請する原則である。

 貸借対照表完全性の原則がこのように規定するのは、総額概念としての資産
と負債の適正な表示は、その差額概念である資本(現純資産)の適正な表示を
意味するからである。

 したがって、この原則は、貸借対照表日において企業が所有するすべての資
産と負担すべきすべての負債とが完全に記載されていなければならないこと、
すなわち、簿外資産および簿外負債の存在を否定するものである。


(2) 貸借対照表完全性の原則における「すべての資産、負債」

 現行企業会計のもとでは、動的貸借対照表を前提にしているので、貸借対照
表完全性の原則における「すべての資産、負債」は、本質的には期間損益計算
を基盤として理解されるべきものである。

 そのために、資産としては、将来の収益力要因とみなしうる企業資本の運用
形態のすべてが計上されることになり、貨幣・債権・棚卸資産・固定資産等の
ような有形・無形の個別的な財産価値が認められる資本運用形態はもとより、
例えば、繰延資産のように、それ自体に個別的な財産価値は認められなくても、
将来の収益獲得によって回収が期待される資本の投下額は、会計上の資産とし
て認識される。

 また、負債は、買掛金や借入金等の法的確定債務に限らず、将来支出の原因
事実が当期に発生している場合に計上される未確定負債、つまり負債性引当金
が含まれることになる。

 貸借対照表上の資産、負債として認められるか否か、つまり、貸借対照表能
力は、そこでの前提となる貸借対照表観によって異なるのであり、したがって、
その場合の「すべての資産、負債」も当然に異なることになる。

 現行企業会計は、動的貸借対照表を前提とする会計構造が基礎となっている
ことから、そこでの「すべての資産、負債」はこの動的貸借対照表において貸
借対照表能力を認められる「資産、負債のすべて」ということを意味すること
になる。


 ※ よく、この「すべての資産、負債」の意味は、“企業会計原則・注解1
  の重要性の原則によって省略された簿外資産・簿外負債を除くすべての資
  産、負債だ”などといった説明がされることがあるが、間違いである。

   理由は、本来会計が真実な報告を支える原則として、重要性の原則を規
  定していないことによる。つまり、真実な報告は重要性の原則による省略
  容認を前提として成立するものではないということだ。

   したがって、上記「すべての資産、負債」は、“注解1の重要性の原則
  によって省略された簿外資産・簿外負債を除くすべての資産、負債”だ、
  といった解釈そのものが成立しないのである。この点について十分注意す
  る必要がある。



 さて、概観といった程度ではあるが、しかし、現行企業会計における貸借対
照表の根本的な理解は得られたはずであろうと思う。


 そこで、良い機会であるから、次に資産の概念を取り上げ、大学生の諸君に
とっては“流行り”の経済的便益説についても見てみることにしようと思う。

 何せ、経済的便益説とさえ言っていれば、最新の会計学を学んだことになり、
動態論など古くて意味もない、というのが大学生諸君の認識だそうだから・・
・?!である。




3.資産の概念 

(1) 総論

 さて、資産の概念は、会計目的の変遷とともに変化してきた。

 静的貸借対照表観に基づく静態論においては、資産は換金価値を有する実物
財産(財貨および法律上の権利)とされ、また、期間損益計算を目的とする動
態論においても、初期においては、資産は未費消原価(将来費用)と解されて
いた。

 しかし、資産の本質を未費消原価と解する場合には、棚卸資産、固定資産、
繰延資産等の費用性資産をこの概念によって説明することはできても、現金や
売掛金等のいわゆる貨幣性資産を説明することはできない。


 最近の会計理論では、資産概念を一元的に説明する立場から、資産の本質を
将来発現が期待される経済的便益として捉える考えが説明される。

 経済的便益とは、当該企業の将来の経営活動に対する役立ちであり、将来に
おいて発現すると期待されているものである。

 元来、資産の本質観、したがって資産の概念とその評価とは一体となって考
察されてきた。

 しかしながら、この経済的便益説によれば、資産は、将来得られるべき見積
現金収入額(キャッシュ・イン・フロー)を一定の割引率によって現在価値に
割引いた額(割引現在価値)によって評価されることになるが、この割引現在
価値は、将来の不確実な現金収入と予想利子率とによって算定されるために客
観的測定値として捉えることが難しく(勿論、現状ではごく一部ではあるが、
契約等によって将来キャッシュ・イン・フローが確定している、つまり、客観
的に測定可能な会計事象もある、が未だに例外的である)、会計実践への導入
は極めて困難な状態である。

 したがって、現行制度会計をこの説に立って説明しようとする場合には、資
産の本質観、つまり、その概念と評価とを切り離して説明することになり、よ
って、資産の本質を捉えた評価という整合的な説明が出来ないことになる。


 近時、会計理論において、この経済的便益説によって資産を説明するものが
多く見られるが、そもそも資産に限らずその評価基準は、資産等の概念を前提
としてその概念と整合的であるべきものである。

 概念は、"経済的便益説"で説明し、"評価"は他の資産概念を前提とする場合
の評価基準をそのまま貼り付ける、というのでは説明が明らかに矛盾している
し、その資産の属性を正しく表現することは出来ない。

 ちなみに、そもそも経済的便益説は、動態論における資産を前提として、そ
の資産を説明しようとして提唱された概念ではないのだ。



(2) 動態論における資産の概念

 動態論の立場による会計においては、資産は大きく分けて、支払手段、支出
・未費用、収益・未収入および支出・未収入という4つに分類される。これら
の動態論の会計構造における資産についての意味づけには、費用動態論(将来
費用説)、現金動態論(現金変形物説)および資金動態論(二元説)の3つの
立場がある。


 1-費用動態論(将来費用説)

 動態論における資産の捉え方の第一の立場は、費用配分の原則に資産の特徴
を見出し、資産は将来において費用となるべき原価のかたまりであるとする見
解であり、資産に関する三つの動態論的構造のうち、支出・未費用項目に着目
して、すべての資産を捉えようとする考えであり、損益計算を重視する立場か
ら資産の本質を把握しようとするものである。

 この費用動態論(将来費用説)によれば、企業資本の循環プロセスの回収過
程にある資産、および、特に外部投資循環プロセスにある資産の説明ができな
い。


 2-現金動態論(現金変形物説)

 動態論における資産の捉え方の第二の立場は、資産を現金の単なる変形物と
して統一的に考える立場であり、現金動態論(現金変形物説)とよばれている。

 この見解によれば、すべての資産は計算技術的に擬制された貨幣価値在高と
みなされ、計算時には現金に戻されて計算される。

 しかし、この現金動態論(現金変形物説)によれば、投下過程にある資産、
すなわち支出・未費用項目を現金に戻して考えることはできるが、回収された
資産を投下形態にある資産として現金に戻して考えることはできず、同じ投下
形態にあった資産の中での一貫性を欠くことになる。


 3-資金動態論(二元説)

 動態論における資産の捉え方の第三の立場は、(1)資産を調達または回収さ
れた状態の企業資本と(2)投下された状態の企業資本の二つの種類からなって
いると考える。

 (1)は、これから企業資本の循環プロセスに投下されるのを待機している形
態のものと投下資本の回収された形態のものに分けられ、(2)は、現金が投下
されて未だ回収過程に入っていない形態のものであり、将来に費用化して現金
の回収に役立つものである。

 この見解は資金動態論(二元説)とよばれている。この説によれば、資産は
上記のように回収形態の資産(支払目的の資産)とそれ以外の投下形態にある
資産とからなることになる。

 この見解からは、少なくとも動態論的には、「資産は将来の費用である」と
か、「資産は現金の変形物である」というように一つの定義で資産を統一的に
規定することはできないと指摘されるのである。




(3) 動態論を前提としない資産の概念

 4-用役潜在力説

 様々な属性をもつ資産をすべて統一的に捉えるための概念として、用役潜在
力に着目することが主張される。用役潜在力説は、米国の会計学会(American 
Accounting Associaition:AAA)が1957年に公表した見解である。

 会計上、資産とみなされるための要件を用役潜在力とするこの見解によると、
資産とは、企業の経営目的を達成するために特定の企業に投入された経済的資
源である。

 すなわち、将来の経営活動に利用でき、あるいはまた役立ちうる用役潜在力
の総額が資産であるということになる。換言すれば、企業資本の自己増殖運動
に直接あるいは間接に参加しうる能力、つまり、収益の獲得に役立つ収益力要
因こそが資産と認められるための資格要因であるとされる。

 経済的便益説が登場する前に学者の間でかなり流行った見解である。ただし、
ポテンシャル論を高々と展開した後で、現行制度会計を説明する段では、何と
もその尻つぼみの説明が滑稽であった。

 曰く、“現実には、ポテンシャルを客観的に測定することは困難、もしくは
不可能であるから、制度上では概念は用役潜在力で説明するが、測定は取得原
価(支出額)によることになる”・・・、ハア?!何のコッチャ。

 といった具合で、流行りを取り入れたは良いが、その理論を消化し切れず、
消化不良のままはき出した結果が、上記のような意味不明の説明となったので
ある。

 漫画よりも滑稽だが、それでも本人たちはいたってマジだったのである。

 さらに、経済的便益説が巷でも登場し始めた頃、受験生に「用役潜在力説と
経済的便益説とはどう違うのですか?」と質問された講師は、“ああ、用役潜
在力説と経済的便益説は同じものです”????と答えていた。

 以前巷の受験学校に在籍していた時に、生徒が「○○○の財表科の先生に友
達が聞いたら用役潜在力説と経済的便益説は同じだといわれたと言うのですが、
そうですか?」と私に質問したのである。

 私は、思わず吹き出してしまった。それを見ていた生徒は呟くように「ああ、
やっぱり違うんですね!」と納得したほどである。

 用役潜在力説も経済的便益説も測定は、将来キャッシュ・イン・フロー(純
概念)の割引現在価値による。それが同じだからというのが前出の講師の論拠
だったらしい。やはり、無知は無敵なのである。



 5-経済的便益説

 さて、現状では最も新しい資産に関する考え方は、米国の財務会計基準審議
会(Financial Accounting Standards Board:FASB)が1985年に「財務会計概
念ステ−トメント」第6号の中で展開した資産に関する定義に見られる。

 FASBの定義によると、資産は、将来において経済的便益をもたらし、現在、
当該資産を経済的に支配していて、過去において取引または事象が存在してい
る、という3つの条件を満たすものであるとされる。



 ということで、いよいよ経済的便益説というわけだが、ここまでで、だいぶ
スペースを使ってしまったようである。


 残念だが、経済的便益説のつづきは次回ということにしたいと思う。




 では、また。













◇ =============== =============== ============= =================

◇ =============== =============== ============= =================

◇◇◇今回の問題◇◇◇

問題

 企業会計原則」は、貸借対照表原則一で、「貸借対照表は、企業の財政状態
を明らかにするため、貸借対照表日におけるすべての資産、負債及び資本を記
載し、株主、債権者その他の利害関係者にこれを正しく表示するものでなけれ
ばならない。」としています。
 これに関連して以下の問に答えなさい。


問1
 貸借対照表は企業の財政状態を表示する財務表であるとされます。そこで、
この財政状態の実質的内容について、貸借対照表の本質論としての静的貸借対
照表論に基づいて明らかにしなさい。
(14行)

問2
 動態論の会計構造においては、期間損益計算がその中心課題とされます。そ
こで、この期間損益計算とのかかわりを重視した資産分類について説明しなさ
い。(8行)

問3
 問2における資産の分類が、動態論の会計構造を前提とした場合に重要な意
味をもつ理由を説明しなさい。(13行)






 〜問題に関する確認項目〜

○貸借対照表は、企業の財政状態を明らかにする財務表であるとされる。「企
業会計原則」では、この財政状態の内容が説明されていない。
 そこで、この財政状態の内容を考える場合には、それを表示する貸借対照表
の本質を考察することが必要となる。
○動的貸借対照表論に基づく財政状態の実質的内容については、本信本文で説
明した。ではそれを参考にして静的貸借対照表に基づく財政状態の実質的内容
について、諸君で考えてみてほしい。考えることが学習である。
○現状では金融商品取引に係る会計処理が規定され、単純にここでの資産分類
では説明がつかない。ただし、学習のプロセスとして、ここでの、つまり、資
金動態論(二元説)を前提として資産分類を理解しておくことは有意義である。







・解答行数:上記各問題文末参照。

 ・満点  問1:40点
      問2:20点
      問3:40点
      以上合計:100点。









◇ =============== =============== ============= =================




◎解答・解説(一部または全部)は次回のメールマガジンにおいて掲載する予
 定です。
 また、次回メールマガジンの発行日の翌日以降、当アカデミーの『HBAメ
 ールマガジン』のコーナーにも解説を掲載します。
 
 ※HBA/メールマガジンのコーナーはこちら >>>


◎当mailmagazineの休刊等の情報については、HBA/「お知らせ & トピッ
クス」に掲載します。

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◇ =============== =============== ============= =================

◇ =============== =============== ============= =================





◆◆◆前回の問題の解答・解説◆◆◆

◆◆◆◆◆ =============== =============== =================== ===

問題1

 利益の計算方法として、財産法と損益法と呼ばれる方法の二つがあります。
それぞれを説明した上で、継続企業の収益力の表示に対する適合性の面からは、
いずれの方法における利益概念が適合するのかを明らかにしなさい。(17行)



問題2

 企業会計における利益概念は、利害関係者の具体的な関心内容いかんによっ
て推移する性格のものです。したがって、利益を単に企業資本の増殖高として
観念するだけでは、その内容は明らかになったとはいえません。
 そこで、動態論をその計算構造の基盤とする今日の企業会計のもとで、いか
なる利益概念が想定されているかが問題となります。これを踏まえて、次の各
問に答えなさい。

問1
 制度会計において要求されるであろう利益概念として、しばしば、「分配可
能利益」と「業績表示利益」が対比的にあげられます。この二つの利益概念が
利害関係者のどのような関心から要求されるものかを明らかにしなさい。
(11行)

問2
 我が国の制度会計としては「証券取引法」と「会社法(旧商法)」に基づく
ものがありますが、両者は問1の二つの利益概念とどのように結びついている
のか、制度上、どのような関係にあるのか説明しなさい。(10行)





 〜問題に関する確認項目〜

○問題1は、既に説明済みの論点であり、また、本年度の短答式本試験で基本
的な理解の無い試験委員によって出題された題材でもあり、復習かたがた確認
しておくのもよいと思う。諸君は本問で果して何点を取ることができるのであ
ろうか?
○会計上の二大利益概念である。勿論、それを前提とする現行企業会計上にお
いても二大利益概念であることは言うまでもない。それらの利益概念を正しく
理解しているか?また、それらを現行企業会計上ではどのように扱っているの
かを理解しているか?を問う問題である。
○「証券取引法」と「会社法(旧商法)」の基本的スタンスの違いを正しく理
解しているか?また、それらはどのような利害関係者とどのように関係するの
か?を正しく理解しているかを問う問題である。







・解答行数:上記各問題文末参照。

 ・満点  問題1:40点
      
      問題2
      問1:30点
      問2:30点
      
      以上合計:100点。







◆【解 答】◆◆=============== =============== ============ ==========

問題1
 財産法は、一定期間の期首における純財産と期末における純財産とを比較す
ることによって利益を計算する方法であり、一般的には、期首及び期末におけ
る積極財産(資産)と消極財産(負債)とを実地に確認することによって純財
産を計算する。ただし、資本の直接的な増減(増資又は減資)があるときには、
それらについての修正計算を必要とする。
 財産法では、一定時点における財産の評価いかんによって利益が決定される
ことになるが、そこでは実地調査をその手段とすることから、そこでの資産は
換金性を重視することになる。しかしながら、財産の換金性に基づき純財産の
増加差額としての利益を計算することは、継続企業の収益力を表示するための
利益の計算としては、もともと適合しないものである。なぜなら、財産法は二
時点(期首と期末)を設定し、期末の純財産と期首の純財産とを比較すること
によって、結果的に、二時点間の増加額として利益額を計算する方法であるの
で、原則として、純額としてしか利益が把握できず、その利益の源泉を把握す
ることができないからである。
 これに対して、損益法は、期間収益と期間費用との対応によって利益を計算
する方法である。継続企業の収益力を表示するための利益は、当然に期間的な
経営成績を反映する利益でなければならない。期間的な経営成績は、経営努力
と経営成果との期間的な比較を通して源泉別に把握することによって、はじめ
て合理的に表示できる。したがって、損益法による期間利益は、継続企業の収
益力の表示に不可欠の利益概念といえる。(40点)


問題2
問1
 「業績表示利益」は、本来、正常な収益力を反映する利益、つまり企業の正
常な経営活動の業績をあらわす利益として捉えられる。これに対して、「分配
可能利益」は、利害関係者に対する処分可能な利益として捉えられる。
 まず、「業績表示利益」が制度会計上の利益に要求されるのは、投資家が会
計報告を投資意思決定のための資料として利用しようとする場合に、最も重要
な判断資料となるのが、企業の正常な経営活動による収益力を示す期間利益、
すなわち「業績表示利益」にほかならないからである。
 これに対して、「分配可能利益」が制度会計上の利益に要求されるのは、制
度会計が株主や債権者等の間の利害調整の役割をも担っており、その利害調整
が利益の「分配」を通して具体化されることからである。
 制度会計が利害関係者に対する単純な情報提供だけでなく、利害調整の役割
をも担っている以上、制度会計上、この二つの利益概念は何らかの形で考慮さ
れることになる。(30点)

問2
 「証券取引法」は、広く投資者一般に対して、合理的な投資意思決定のため
の判断資料の提供を意図するものである。投資者の関心の的に対する適合性を
前提とした経営成績の表示を目的とするところから、継続企業の収益力の算定
・表示、すなわち業績表示利益の算定・表示に基本的な視点が置かれている。
 これに対し、「商法」は、損益法による利益計算の構造を会計の体系として
受入れつつも、その計算規定の主な目的が債権者と株主との保護にあることか
ら、両者の利害調整の見地からする「分配可能利益」の算定・表示に重点が置
かれている。
 しかし、制度上は、「商法」の強行法規としての性格から、「証券取引法」
が目的とする「業績表示利益」の算定において、「商法」の「分配可能利益」
の算定という立場からの制約を受けざるをえないことになる。(30点)









 
◆【解 説】◆◆◆ =============== =============== ============ =======

【出題の趣旨】
問題1
 財産法・損益法は、本年度の会計士の短答式本試験で出題試験委員が正しい
理解をもっていないために、不備な問題が“堂々と”出題されてしまった題材
であり、諸君の内容の確認には有意義と思って出題した。

 予想通り、短答式本試験の合格発表での公表解答では、問題が不備とはされ
てなく、やはり“堂々と”出るはずもない“正解”?が出ていた。

 もう、何も言うことはない!!

 無知は無敵である。

問題2
 会計上の利益概念は、利害関係者の中心的な関心がどこにあるかによって、
推移する相対的な概念であり、それゆえに歴史的な概念でもある。今日の制度
会計において計算・報告される「利益」も、制度が想定する利害関係者の関心
の内容に規定されているのである。本問では、今日の制度会計を踏まえて、そ
こで計算・報告される「利益」についてその特質を理解しているかを問うてい
る。




【解説】

問題1
 解答を参照すれば十分であろうと思う。


問題2
問1・問2
1.利益概念の相対性
 制度会計としての企業会計は、利害関係者に対して、有用な意思決定情報を
提供することを目的とするから、計算及び報告の内容は、利害関係者の中心的
な関心がどこにあるかに依存する。

 企業の経済活動は企業資本の運動を構成するから、利害関係者の中心的な関
心は、企業資本運動の目標達成度を表す増殖高、すなわち利益及びその顛末で
ある。

 特に、動態論を基盤とする今日の制度会計における利害関係者の中心的な関
心というのは、継続企業の収益力に置かれているため、そこでの利益概念は、
次のように特徴づけることができる。

 (1) 期間計算としての利益(計算単位)
 (2) 損益法に基づく利益(計算方法)
 (3) 発生主義に基づく利益(認識)
 (4) 原価主義に基づく利益(測定)

2.制度上の算定利益の性格
 「証券取引法」が、潜在投資者をも含めた投資者一般に対して投資判断資料
としての「業績表示利益」の算定を基本目的とするのに対し、「会社法(旧商
法)」は、むしろ「分配可能利益」の算定・報告に主目的を置いており、そこ
には両者の立場の違いによる算定利益の違いが顕在する。

 したがって、制度上は、「会社法(旧商法)」の強行法規としての性格から、
「証券取引法」が目的とする「業績表示利益」の算定において、「会社法(旧
商法)」の「分配可能利益」の算定という立場からの制約を受けざるをえない
ことになる。

 その結果として、本来の業績表示利益の算定の仕組が歪められることになる
のである。

 この制度会計の基本的な構造と特質を理解しているかを問うている。








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