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《第24講》「さて、取得原価主義会計の真意、とは?!のつづき その2」
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◇《今日の一言》◇ =============== =============== =============== 

 HBAmailmagazineの発行が遅れていてすいません。

 ここのところ、隔週ではなく、月一ペースになってしまっているようで、申
し訳ありません。



 さて、本信は、いよいよ取得原価主義会計の結論的内容となります。


 前信での内容をFOCUSしておくと、

 『取得原価主義会計において、期首資本を構成している棚卸資産や固定資産
などの非貨幣資産(物的資産)をその「取得原価」で評価しているということ
は、それらが具現する貨幣資本(資産の取得等の時点で対価等として取引相手
に引渡された、もしくは、取引相手に引渡されたと仮定される名目貨幣資本の
額)を、「何にでも投下可能な資金」とみているのではなく、かつてそのよう
な資金であった貨幣がこれらの非貨幣資産(物的資産)に投下され、「拘束さ
れた状態(即座には換金不能な状態)にある」ことを前提とした処理にほかな
らないのである。

 したがって、取得原価主義会計においては、期首資本は、貨幣資産部分は資
金の自由選択性(資金が何にでも投下可能な状態にあること)を前提として、
また、非貨幣資産(物的資産)部分は資金の拘束性(即座には換金、もしくは
変換不可能な状態にあること)を前提として、「その大きさが測定」されてい
るのであり、したがってまた、取得原価主義会計における期間利益判定の基準
たる「維持すべき資本」(継続的な企業活動の維持の為に企業内に回収・維持
しなければならない資本)も、同様な前提のもとでその大きさが決定されてい
るのである。
 つまり、利益の計算にその取得原価主義会計の趣旨が反映されているという
ことである。』

というところであろうか。


 読者諸君は、前信での上記の内容をどのように受け止め、どのように自分な
りに理解したのであろうか?

 勿論、上記の内容は“簿記の頭”で考えても理解することなど不可能であり、
これを理解するためには「会計学」の頭(思考)が必要である。


 前信での上記の内容は、現行企業会計の本質的な特質を物語っているのであ
る。



 では、どのように現行企業会計の特質を物語っているのかを説明しよう。

 まず、『取得原価主義会計において、期首資本を構成している棚卸資産や固
定資産などの非貨幣資産(物的資産)をその「取得原価」で評価しているとい
うことは、それらが具現する貨幣資本を、かつて「何にでも投下可能な資金」
であった貨幣がこれらの非貨幣資産(物的資産)に投下され、「拘束された状
態(即座には換金不能な状態)にある」ことを前提とした処理に他ならない』

とは、非貨幣資産(物的資産)を一定の事情が生じない限りは「取得原価」で
評価し続けるということであり、時価の変動からは隔離され、影響されないこ
と、つまり、市場とのリンクが切断されることを意味している。

 もっと、諸君に分かり易く言えば、期末において時価による評価変えはしな
い、ということである。


 既に、当mailmagazineで何度か指摘してあるが、「取得原価」という概念は、
会計上だけの概念であり、現実に存在する概念ではない。現実には、「時価」
が存在するだけである。

 では何故会計学上では「取得原価」という概念を作る必要があったのか?

 それは、『非貨幣資産(物的資産)を一定の事情が生じない限りは「取得原
価」で評価し続ける』必要があったということなのであり、そのために『時価
の変動からは隔離され、影響されないこと、つまり、市場とのリンクが切断さ
れる』必要があったということである。

 つまり、「取得原価」なる概念は、取得原価主義会計のフレームワークのた
めに(それを実践するために)必要な概念であったということであり、「取得
原価」が何を表す概念なのかといえば、それは、資産に投下されそこに拘束さ
れた状態の貨幣資本を意味するということなのである。


 ここで、まず知らなければならないのが「維持すべき資本」である。


 実は、この「維持すべき資本」は、当mailmagazineの初期に既に説明してあ
る。

 読者諸君のほとんどが覚えてはいないかもしれないが、やはり企業の「資本
循環」を、今よりはごく簡単に説明したときである。


 「維持すべき資本」という概念は、実は、「継続企業」を前提とした場合に
重大な意味を持つ概念であり、当然のことながら、現行企業会計における資本
と利益の区別もこの「維持すべき資本」を前提として区別されているのである。


 「維持すべき資本」とは、継続企業を前提にして、その企業活動を継続的に
行うために維持しなければならない「資本」ということである。

 私のオリジナルの「資本循環図」を参照しながら説明をしよう。

   ※「資本循環図」はこちら >>>


 今図の一番上、調達された資本(100)が企業の資本循環に投下される。つま
り、仕入市場で財(100)を取得するために相手方にこの貨幣資本(100)が引渡さ
れるわけである。

 次に、取得した財(100)を販売市場で顧客に引渡し、対価として120の貨幣資
産を受領する。


 この状態で期末を迎えた場合、当該期の損益計算をするならば、売上高(
120)−売上原価(100)=利益(20)である(いま、説明の簡素化のため他のコス
トは無視し、投資は財100だけとする)。

 この損益計算は読者諸君も、また、会計学を知らない3級レベルの者でもご
く普通に知っているはずである。


 しかし、この計算には、会計学上重大な意味があるのである。

 読者諸君は簿記の問題を解くときに、ごく当たり前のように売上高から売上
原価を差引いているのであろうが、この計算の本質的な意味は何か?と問われ
たなら、読者諸君はどのように答えるであろうか?

 売上総利益を計算している、などと答えるならば、やはり簿記の頭なのであ
る。


 上記は誰でもよく知っている損益計算だが、実はこの計算は、期間利益計算
であるとともに、資本回収維持計算としての本質的意味を持っているのである。


 「資本循環図」で確認してみよう。

 今、売上高として計上される120は、販売時に再流入した貨幣資本である。
この再流入した貨幣資本から差引かれる財100は、かつて当該財に投下され、
その財に拘束されていた貨幣資本であり、継続的な企業活動を維持するための
元手である。

 この元手は、継続的な企業活動を維持するためには、常にその活動において
で回収維持されなければならない。そうでなければ、企業は資金が枯渇しその
活動を止めることになるからである。

 そこで、再流入した貨幣資本から真っ先にその「維持すべき資本」を回収す
るのである。

 それが、売上高(120)−売上原価(100)の差引き計算の本質的な意味である。

 売上高(120)(企業活動によって再流入した貨幣資本)−売上原価(100)(か
つて投下された貨幣資本であり、回収し「維持すべき資本」)ということであ
る。

 その「維持すべき資本」を回収・維持した後で、なお、余りがあれば、それ
が株主への分配分としての「利益」になる。

 つまり、「利益」とは、「維持すべき資本」を回収・維持した後の余剰とい
うことである。

 上記「維持すべき資本」の回収・維持が図られた後の余剰たる「利益」は、
資本提供者である株主への報酬として当該株主に配当として分配されるのであ
る。

 したがって、今仮に余剰たる「利益」を全額株主に分配したとしても、「維
持すべき資本」は回収・維持されており、次の資本運動へと投下され、企業活
動が継続されることになる。


 勿論、現実には、資本の投下と回収は、幾つもの「投資」と幾つもの「資本
回収」に分かれて時々刻々と資本循環上で行われるのであり、上記に示す「資
本循環図」でのように、唯一の「投資」とその「資本回収」ということではな
いし、再流入した貨幣資本から「維持すべき資本」を回収した余剰を全額株主
に分配する訳でもない。

 現実には「維持すべき資本」を回収・維持した余剰たる「利益」の一部は、
積立金等として企業内に留保されるのである。

 しかし、企業の資本循環とそこでの「投資」および「維持すべき資本」の回
収・維持の基本的原理は上記資本循環図における単純化された例でのものとま
ったく同じである。


 簿記によって損益計算書の作成を計算手続的にだけ教えられ、それを“常識
”とする者に上記のような本質的意味がその損益計算に存在しているなど、知
る由もないことである。

 言うまでもなく、損益計算における重要な意味は第一義的には「利益」の計
算である。

 がしかし、継続企業を前提とし、現実の貨幣経済社会において存在する企業
(の活動)を考えるとき、そして、現行の企業会計における財務諸表がその影
響を受けることを考慮するとき、資本維持計算を前提としなければならず、そ
こでは「利益」は、「維持すべき資本」の回収余剰としての意味しかもたない
のである。


 いかがであろうか?

 とりあえず、「維持すべき資本」とは、どのようなものであるのか?また「
利益」とはいかなるものであるのか?を会計的見視点から理解できたであろう
か?



 では、改めて「維持すべき資本」が、取得原価主義会計上でどのような意義
を持つのであろうか、ということについてさらに見てみよう。

 もう一度、前出の部分をここに示してみる。

 『取得原価主義会計においては、期首資本は、貨幣資産部分は資金の自由選
択性(資金が何にでも投下可能な状態にあること)を前提として、また、非貨
幣資産(物的資産)部分は資金の拘束性(即座には換金、もしくは変換不可能
な状態にあること)を前提として、「その大きさが測定」されているのであり、
したがってまた、取得原価主義会計における期間利益判定の基準たる「維持す
べき資本」(継続的な企業活動の維持の為に企業内に回収・維持しなければな
らない資本)も、同様な前提のもとでその大きさが決定されているのである。
 つまり、利益の計算にその取得原価主義会計の趣旨が反映されているという
ことである。』


 上記において、『取得原価主義会計における期間利益判定の基準たる「維持
すべき資本」』の部分は既に理解できたはずである。

 利益は、ネットの概念であり、それはグロス概念である、(例えば)売上高
と売上原価の差額概念である。

 つまり、ネット概念である利益は、それ自体単独では存在し得ず、グロスの
概念を前提として初めて具現する。

 その場合、売上高は外部との取引「額」として客観的に単独で確定している。

 したがって、利益は、その確定した売上高から何を差引くのかによって影響
されるのである。

 その意味で利益を決定するのは「維持すべき資本」なのである。


 だからこそ、上記において、

『したがってまた、取得原価主義会計における期間利益判定の基準たる「維持
すべき資本」も、同様な前提のもとでその大きさが決定されているのである。
 つまり、利益の計算にその取得原価主義会計の趣旨が反映されているという
ことである』

と説明されることになるだ。


 そこで、

『取得原価主義会計における期間利益判定の基準たる「維持すべき資本」も、
同様な前提のもとでその大きさが決定されている』

の意味を考えれば、「取得原価」とは、当該資産に投下され拘束の状態にある
貨幣資本を意味するのであるから、取得原価として表現される「額」は、そこ
に拘束されている貨幣資本の額であることになるのであり、とすれば、「取得
原価」の額が、すなわち回収し「維持すべき資本の額」ということになる。

 とすれば、ここでの「取得原価」とは、期間利益判定の基準たる「維持すべ
き資本」の額であることになる訳だ。

 この「維持すべき資本」の額は、現行企業会計上では「名目額」、つまり、
名目貨幣量であって、資本「価値」を意味しない。

 つまり、100万といえば、一円で100万個、十円で10万個のことであり、100
万円の現在価値等を意味しない。

 現行企業会計は、上記のように資本概念として名目資本概念を前提にしてい
る。


 したがって、取得原価とは、そこに投下された名目貨幣資本額(名目貨幣資
本量)のことであり、それは、回収し「維持すべき資本」も同様に名目貨幣資
本額(名目貨幣資本量)を意味することになるのである。


 現行企業会計における資本概念は、名目資本であり、したがって、資産に投
下され拘束状態にある貨幣資本とは名目貨幣資本額、つまり、名目貨幣資本量
である。その名目貨幣資本額(量)を表現するのが「取得原価」という概念と
いうことである。

 したがって、資産に投下され拘束されている貨幣資本額(量)(名目資本額
)は、その資産に投下され続けている間は変化しないのであり、当該資産は投
下された名目資本額(量)を表現し続けることになる。これを資産の評価とい
う観点から見れば、すなわち、「取得原価」で評価し続けるということになる
訳である。


 取得原価評価が現行企業会計における基本的な評価スタンスであることは、
読者諸君も当然承知しているはずであろう。

 それは、投下した名目資本の増加を、非貨幣資産(物的資産)に投下し、そ
こに拘束された状態にある間は認識しないことを意味するのである。


 では、非貨幣資産(物的資産)に投下され拘束された状態の貨幣資本が、そ
の拘束状態を解除されるのは、どのような事情が生じた時であるのだろうか?

 それは、販売市場での交換取引において、貨幣資本が投下された非貨幣資産
(物的資産)と引き替えに対価としての貨幣資産(つまりは貨幣資本)を取得
した時である。


 このようにいうと、製品・商品は確かに販売市場で顧客に引渡されるが、固
定資産は企業が利用(使用)するだけで、顧客に販売されるわけではない、と
思う読者諸君もいるはずである。

 そう考えるのは、やはり簿記の頭である。


 読者諸君は、損益計算書を十分知っているはずであろう。

 そして、その損益計算書において区分計算・表示がなされていることも当然
に知っているはずである。

 ならば、その一番上の区分に売上高から売上原価を差引いて「売上総利益」
が計算・表示された後に、その売上総利益から「販売費及び一般管理費」が差
引かれて営業利益が計算されていることも承知のはずであろう。

 では、何故、売上総利益から販売費及び一般管理費(コスト)が差引かれて
営業利益が計算・表示されているのか?

 損益計算の基本原理である「費用・収益対応計算」が、ここ「売上総利益−
販売費・一般管理費」では実践されていないではないのか?

 といわれたら、読者諸君はどのように答えるのか?


 実は、この区分は、まず、製品もしくは商品自体のマージンを売上総利益と
して明らかにした上で、さらにそれらを顧客に販売するまでに必要であったコ
ストをそこから差引いて「営業利益」を計算・表示しているのである。


 つまり、企業の営業活動を前提に費用収益対応計算上の因果関係を考えれば、
売上高と売上原価の対応ではなく、売上高と(売上原価+販売費及び一般管理
費)という関係なのである。

 製品・商品が販売され顧客に引渡されたとき、実は、それら製品・商品の原
価部分と同時に、その販売を可能にしたコスト(販売費及び一般管理費)が売
上高に対応させられて差し引き計算が行われることで、売上高に転嫁され、そ
の売上高から回収されているのである。

 では、この売上高が認識される時点とは、現行企業会計においては、どのよ
うな事情が生じているのであろうか?

 それは、既に示したように販売市場での交換取引において、貨幣資本が投下
された非貨幣資産(物的資産)と引き替えに対価としての貨幣資本を取得した
時である。


 つまり、製品・商品が販売される時点、つまり、(1)市場取引において(公
の取引であること、つまり、取引の客観性が確保されていること)、(2)財貨
・役務の顧客への提供と、(3)対価として現金および現金等価物を受領、した
時点ということである。それは、読者諸君もよく承知の「実現」時点である。

 すなわち、実現主義の原則の要件(ほとんどすべての読者諸君がその本当の
意味もしくは意義も知らずに“暗記”しており、それで実現主義を“知ってい
るツモリ”の)は、その販売行為が完了する条件を意味し、実現主義の原則の
要件はその「実現」を保証するための要件ということである。


 現行企業会計の本質的特質である取得原価主義会計は、非貨幣資産(物的資
産)を、当初投資額である貨幣資本額、つまり、取得原価で評価し、それが販
売に貢献したとして売上高に転嫁されるまでは、当該投資対象である非貨幣資
産(物的資産)に拘束された状態であるとされることから、取得原価で評価し
続けられ、販売のプロセスを経て売上高に転嫁された時点で、その「拘束」状
態が解除され、再び貨幣資本(何にでも投下可能な状態の貨幣資本)として企
業に再流入するのである。

 一般に販売市場で再流入する貨幣資本はほとんどが流動性の高い貨幣資産の
形態をしているため、非貨幣資産(物的資産)に拘束されていた貨幣資本は流
動化され、何にでも投下可能な状態の貨幣資本へと戻ることになるのである。


 現行企業会計における収益認識の原則的基準である「実現主義」の原則とは、
実は、この貨幣資本の「自由選択性(何にでも投下可能な状態)」と「拘束性
」を前提とした認識基準であり、一端投下され拘束状態に入った貨幣資本が、
流動化され、何にでも投下可能な状態の貨幣資本へと変化するときに、企業活
動によって増殖された貨幣資本が認識されることになるのである。

 したがって、既に当mailmagazineでも何度か指摘したように、“取得原価主
義と実現主義は表裏一体となって、未実現利益を排除しているのである”など
という戯言は意味を成さず、取得原価主義会計が「取得原価」という概念を必
然とし、また、「実現主義」という収益認識基準を必然としているということ
なのである。


 さて、いかがであろうか?


 取得原価評価は古いと言い、実現主義における「市場取引を前提として」と
いう要件の重要性をまったく理解せずに、単に“財貨・役務の提供と対価の受
領”をその要件として暗記し、それで取得原価主義(取得原価主義会計など知
る由もなく)や実現主義を知ってるツモリの受験生に、私が「会計学の何を知
っているというのか?」と言い、また、「諸君は会計学については何も知らな
いのだ」といったとしても許されるというものではないだろうか?



 では、実現主義の本当の意味を知ったところで、今一度私のオリジナルの
「資本循環図」を見てもらいたい。

   ※「資本循環図」はこちら >>>


 この図が現行企業会計を説明する上で如何に優れているかを再度確認しても
らうことになる。

 上図の資本循環における左側のプロセスは、貨幣資本の投下過程であること
は既に説明してある。

 つまり、この過程にある非貨幣資産(物的資産)は、かつて何にでも投下可
能な状態の貨幣資本がそれら非貨幣資産(物的資産)に投下され、そこに拘束
された状態であることを意味する。

 つまり、それら非貨幣資産(物的資産)は、「取得原価」(名目貨幣資本額
もしくは名目貨幣資本量)で評価され、「販売」という事情が生ずるまでは、
そのまま「取得原価」で評価し続けられるのである。


 そして、「取得原価」で評価され続けている非貨幣資産(物的資産)、つま
りは、それらに投下され拘束状態にある貨幣資本が、そのような拘束状態を解
除されるのが、販売という事情が生じたときであり、それが上記資本循環図の
一番下、「販売市場」としてあるところである。

 販売市場では、既に非貨幣資産(物的資産)に投下された貨幣資本額(量)
が、非貨幣資産に閉じこめられたまま顧客に提供され、企業の資本循環の外部
へと流出するのである。

 企業が資本循環を継続するためには、流出した貨幣資本を再度企業の資本循
環中に取り戻さなければならない。

 そこで、対価としての現金・現金同等物を受領することにより、一度企業の
資本循環から外部へと流出した貨幣資本を再度企業の資本循環中に取り戻すの
である。

 既に、読者諸君も知るように、この一度企業の資本循環の外部へと流出した
貨幣資本を再度企業の資本循環中に取り戻す時点が、(1)市場取引を前提とし
て、(2)財貨・役務の相手方への提供と(3)対価としての現金・現金同等物の受
領する時点なのであり、したがって、それを要件として規定したのが収益の原
則的認識基準たる「実現主義」の原則にほかならないのである。


 財の販売は、当該財に投下され拘束されていた貨幣資本が流動化され(一般
に再流入する貨幣資本は、流動性の高い貨幣資産の形態をしている)、再び何
にでも投下可能な資金の形に戻ることを意味するのである。

 これが、会計学の本によく出てくる、「G−W−G’」(Gは貨幣、Wは財、
G’は増加した貨幣)の意味である。つまり、「G−W−G’」は資本循環に
よる貨幣資本の増加を表現しているのである。


 さて、いかがであろうか?


 上記に示す私のオリジナルの「資本循環図」を見ながら、再度上記内容を確
認して理解を深めて欲しい。


 HBAの会員以外の読者諸君は、勿論初めて聞く話であり、今まで、実現主
義と言えば、要件(しかも上記(2)と(3)だけ)を“暗記”して知ってるツモリ
であったはずである。

 「要件」など、議論のただの「結末」である。それを暗記しても理論を理解
するなどといった次元とはまったくの別次元であり、「何も知らない」のであ
る。


 さて、ここまで来れば、失礼ながら「何も知らなかった」読者諸君も、かな
りいろいろなことを、そして、理論を正統に学ぶことの重大性を理解している
であろうと思う。




 そこで、最後に、

 資産に投下されている貨幣資本は、期首の時点では当該資産に投下され拘束
された状態にあると考えられる。この資産が期中に売却されれば、当該資産に
具現され、その資産に拘束されていた貨幣資本の消滅が認識されると共に、そ
の対価として流入した貨幣資本の増加が認識される。

 その場合、流入する貨幣資本は、多くの場合、貨幣資産の形をとっている。
したがって、当該資産の売却はその資産に投下され拘束されていた貨幣資本が
流動化され、再び何にでも投下可能な資金の形に戻ることを意味する。

 そして、この時点で、流動化され何にでも投下可能な資金となった貨幣資本
(期首には資産に投下された状態で拘束されていた貨幣資本)の大きさを超え
て流入した貨幣資本が、利益として認識されるのである。


 すなわち、取得原価主義会計においては、期間利益を構成する資本の増加は、
貨幣資本がいったん何らかの財に投下され拘束された場合には、それが消滅し、
その対価として貨幣資産の形で貨幣資本が流入するというプロセスを経たとき
に、換言すれば、拘束されていた資本が流動化されて何にでも投下可能な資金
になるというプロセスを経たときに、初めて利益が認識され、消滅した貨幣資
本と流入した貨幣資本との差としてそれが測定されるのである。

 つまり、このことは、「実現」のプロセスを経たときに初めて利益が認識さ
れるということである。

 いったん拘束された貨幣資本がその拘束の状態を続けているかぎり、すなわ
ち、保有し続けられる限り、その貨幣資本の大きさには変動が生じないと考え
ること(つまり、取得原価で評価し続けられること)、そして、それが流動化
され、何にでも投下可能な資金に変わるというプロセスを経たとき(「実現」
のプロセスを経たとき)に、初めて、資本の純増減が生じたと考えること、こ
れが取得原価主義会計における資産の取得原価評価の、そしてまた損益認識の
意味するところである。

 だからこそ、それはまた、取得原価主義会計を支える基準であるところの実
現主義の意味でもあることになるのであり、取得原価主義会計を支える基準と
しての実現主義とは、いったん何らかの財に投下され拘束された貨幣資本につ
いては、それが消滅し、その対価として何にでも投下可能な資金の形で貨幣資
本が流入した場合に、初めて利益を認識するという基準である。

 それは、拘束されていた資本の流動化が生じたことを、利益認識のメルクマ
ールとするものである。かかる流動化が行われず、拘束の状態が続いているか
ぎり、利益の実現はないのである。つまり、取得原価で評価し続けることにな
るのである。

 この「実現」のプロセスを経た時に、資本循環図でいえば左側のプロセスか
ら右側のプロセスへと移行するときに、「実現」のプロセスを通ることになり、
このプロセスを経た時に初めて、貨幣資本の増加、すなわち、「利益」を認識
するということである。

 この資本循環図の左側から対岸の右側へ渡るためには、「市場」を通る必要
があり、したがって、その市場を、すなわちは、「実現」のプロセスを経たか
否かの判定が必要となる。

 実現主義(の原則)はこのプロセスを経たか否かを判定するために、その要
件として、

(1)市場取引を前提として
(2)財貨・役務の相手方への提供
(3)対価としての現金・現金等価物の受領

の3つを設定してあるのである。



 さて、いかがであろうか?


 これを知れば、“取得原価など古い、今は時価だ”などという戯言を軽々し
くいうことはできまい。

 取得原価評価を止めることは、現行企業会計の体系自体を根本から変更する
ことにもなりかねないのであり、そうであれば、名目資本概念以外の資本概念、
例えば、実質資本概念であるとか、実体資本概念を前提とした会計の体系が必
要となることになるかもしれない。

 承知している読者諸君もいると思うが、かつて価格変動会計論が盛んに議論
されたことがあるが、それから既に何十年も経った今でも会計実践のフレーム
ワークとしてそれらの資本概念を前提とした会計の体系が実現できてはいない
のである。


 現在、現行企業会計上において「時価」を適用している場面が有ることは読
者諸君も承知のはずである。が、借方の時価は、固定資産の減損を含めてすべ
ては、取得原価以下での時価の適用であり、それらはすべて投資の早期回収と
いう観点からの原価の切り下げでしかない。

 また、一部の有価証券等(借方項目)に時価が適用されている場合もあるが、
これらは本来、貸方の時価の問題であり、固定資産等に適用される「時価」と
は次元がまったく異なるのである。



 さて、3回に渡って取得原価主義会計について話をしてきたが、おそらく、
読者諸君が、公認会計士試験の勉強を初めて以来、まさに一度も見たことも、
聞いたことも無い話しであったはずである。


 今回の内容を知れば、実現主義の要件を“暗記”しただけで、“ああっ、実
現主義なんて知ってるさ?!”などと軽々しいことは言えないはずであろう。


 また、“取得原価主義と実現主義は表裏一体となって未実現利益を排除して
いる”などという、知ったかぶりの言いぐさは、その本質を知らない者の戯言
である、ということも分かったのではないだろうか。

 “表裏一体の関係”などというものはそこには存在しないのである。


 まさに、「無知は無敵」なのである。



 さて、今回は結論部分であるが故に説明が長くなった。

 ここらで、終わることにしたいと思う!!





 では次回に!!











◇ =============== =============== ============= =================

◇ =============== =============== ============= =================

◇◇◇今回の問題◇◇◇

問題

 現行制度上、非貨幣資産の評価は原則として取得原価によるとされますが、
この資産評価の基準である取得原価主義と収益の認識基準としての実現主義(
伝統的な実現概念に基づくもの)とは、表裏一体となって未実現利益を排除す
る関係にあると説明されることがあります。このことの真偽について明らかに
しなさい。(33行)





 〜問題に関する確認項目〜

○かなり、というより相当ヘビーな問題である。本信までの3回の当mailmaga
zineの内容を読んで理解したとしても、その内容を基に、本問での題意に適合
するように論文にまとめるのは、相当の実力(mailmagazineの内容の理解力お
よび論文の構成力)が必要であろう。
 じっくりとmailmagazineを読み、じっくりと論文構成を考えて解答作成をし
て欲しい。
○まずは、取得原価で評価することの意義を資本と関連させて考えること。
○次に、取得原価で評価し続けることの意義を資本の増加の時点と関連させて
考えること。
○さらに、「維持すべき資本」とはいかなる意味を持つ概念なのかを考えるこ
と。
○最後に、取得原価評価(取得原価で評価し続けることも含めて)と「維持す
べき資本」の関係、資本の増加と期間利益の関係を解明すること。
○「取得原価評価」、「維持すべき資本」、「資本の増加」、「実現主義」の
相互関係を正しく把握し、それを解答上に明確に表現すること。
○結論として、取得現主義と実現主義は問題文のように表裏一体となって未実
現利益を排除する関係ではないこと。






・解答行数:上記問題文末参照。

 ・満点  100点。




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◆◆◆前回の問題の解答・解説◆◆◆

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 前回に出題がなかったのでお休みです。









 
◆【解 説】◆◆◆ =============== =============== ============ =======

 前回に出題がなかったのでやはりお休みです。









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