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                            2007.11.14発行
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《第25講》「現行企業会計の基盤である動態論の計算構造の体系的総復習」
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◇《今日の一言》◇ =============== =============== =============== 

 HBAmailmagazineの発行が遅れていてすいません。

 多少今回の内容については思案橋ブルース(なんて言っても、若い読者諸君
には通じないオヤジギャグだと思いますが)だったのです。

 このまま、先に話しを進めるか?それとも、だいぶご無沙汰の監査論をここ
らで取り上げるべきか? と。

 それで、前信までの総復習をするのが、読者諸君にとっては有益であろうと
いう結論に至ったというわけです。
 これは、諸君のこれからの学習にとってとても有意義なことだと思います。


 なお、忙しさが増している現状から、少なくとも今年中は月一ペースになっ
てしまう可能性が大のようです。申し訳ありませんがご了解ください。



 というわけで、前信までで現行企業会計の基盤たる動態論の計算構造の基本
的説明が一段落したので、本信では、その動態論の計算構造の体系的総復習を
して、これから先の学習の基礎として十分確認をして欲しいと思うのである。


 まず、静態論・動態論という議論が初めにあるのだが、これは、会計(当然、
会計実践を踏まえてである)は、その時の会計環境によって、変化するのだと
いう議論である。

 つまりは、その時の社会環境を前提として、会計に対する情報要求の内容が
会計の構造や実践体系に重大な影響を及ぼすのであり、その情報要求によって、
情報を作成する会計の構造や体系、また、情報の伝達手段である財務表の形式
・体系等が決まってくるということである。


 現に現行企業会計は、動態論の計算構造を基盤とするが、その時の社会的環
境および情報要求によりいくつかの情報提供手段たる財務表が従来からの財務
諸表の体系に追加されている。

 したがって、現行企業会計の基盤たる動態論の計算構造を十分に理解すると
ともに、それら追加された財務表が動態論の計算構造・体系とどのような関わ
りを持つのかを解明し、理解しておかなければならないのである。

 くどいようだが、現行企業会計の基盤は今なお動態論の計算構造である。し
たがって、現状で従来の財務諸表に追加された財務表もその動態論の計算構造
を無視しては存在し得ないのであり、どのように体系的に組み込まれているの
かを知らなければならないのである。


 したがって、本信までの長〜い説明を振返り、読者諸君の頭の中を整理して
おくのが今後の学習にとって非常に有益であるはずである。


 まず動態論の特質を挙げてみよう。

 1) 期間利益計算
 2) 発生主義による利益計算
 3) 損益法による利益計算
 4) 誘導法による(動的)貸借対照表(の作成)

 また、会計上の利益概念という観点から観れば、

 a) 期間計算としての利益
 b) 発生主義に基づく利益
 c) 損益法に基づく利益
 d) (取得)原価主義に基づく利益

という特質をもつことになる。

 上記は1)とa)、2)とb)、3)とc)、4)とd)が対応すると理解すれば良いであろ
う。


 そこで、今回の総復習も上記に沿って行うことにしようと思う。


 まず、《1)とa)》についてである。

 期間利益計算の必然性は、動態論が提唱された時代の会計環境に由来する。
その会計環境では、企業が静態論の時代のような遠隔地間の情報格差を利用し
た一発勝負の冒険企業のような形態ではなく、情報格差の縮小と産業革命に伴
い出現する製造業という形態であり、その製造業は、企業資産のほとんどを占
める製造設備とそれを調達するための資金調達が重大な要素であったのである。

 これらの巨額の資金需要を今までのような銀行や資産家などの債権者だけに
によっては賄いきれず、したがって、当然のことのように資金調達手段として
証券市場が出現するのである。

 しかし、証券市場(当初は資本調達市場)の発展に伴い、資本提供よりも株
式の値上り益の獲得を目的とした「投資家」なるものが出現し、企業に対する
情報要求も債権者としての財産状態に関するものから、投資家としての企業の
業績情報に関するものへと移行していくのである。


 したがって、会計もこの情報要求に対応するには、それまでの財産状態に関
する情報開示のための静態論の会計構造では対応できず、ここに動態論の会計
構造が提唱されることになる。

 動態論の会計構造は、投資家に企業の業績に関する情報を提供することを目
的として提唱されたものであるから、そのための特質をその構造にもつ。

 上記に挙げた特質がそれである。


 まず、動態論では、静態論と決定的に異なる前提をおくことになる。それが
「継続企業」という仮定である。

 この場合の企業は、冒険企業のように一回限りの目的のために起業され、目
的達成後に精算されるのではなく、継続的な活動により、冒険企業よりも薄利
であっても継続的な利益の獲得を目指すのであり、その活動は半永久的である
と「仮定」されるのである。

 この「継続企業」とは、会計構造の構築の前提としての「仮定」であり、現
実の企業が半永久的に継続企業たることを保証するものではないことに注意が
必要である。


 さて、「継続企業」という仮定を置き、そのような企業に対する情報要求で
ある「業績情報」を提供するためには、企業の一生が終了するのを待ってから
では情報の有意義性が無い。

 そこで、会計では業績情報を企業の一定期間の活動により獲得される「利益
」と捉え、したがって、そのために「一定期間」を「人為的に区切って」、期
間的に利益計算をすることを発想するのである。

 この場合、人為的に区切る期間は「一定」である必要がある。それは、業績
としての利益は、一期間の利益を知っても業績情報としての意義はなく、数期
間の利益の比較可能性を前提として情報としての意義をもつからである。

 したがって、継続企業の活動を会計上で「一定」の期間に「人為的に区切っ
て」、各期間の業績としての利益を計算するのである。

 現行企業会計上の期間利益の「比較性」の問題は、既に動態論の基礎的議論
において「前提」となっていることを理解しておかなければならない。


《ここでの復習ポイント》

 1) 継続企業を前提に業績情報を提供する必要
 2) 業績情報とは企業活動において獲得される利益である
 3) 企業の終焉を待っての情報提供は、投資情報としての意義を喪失させる
 4) したがって、この業績を表す利益を計算するには、連続的で切れ目の無
  い現実の企業活動を会計上で「人為的に区切って」計算する必要がある
 5) しかも、業績利益は期間比較性が確保されて初めて有意義性をもつから、
  人為的に区切られる期間は「一定期間」でなければならない




 次に、《2)とb)》についてである。

 動態論のすべては情報要求としての「業績利益」にある。

 動態論の会計構造は、投資家の情報要求である「業績利益」を作成・提供す
るための構造である。

 すべては「業績情報」を現実の企業活動を踏まえて情報として作り出すとい
う点にその構造の特質があるのである。


 したがって、発生主義による費用・収益の対応計算もまた、業績利益の算定
にとって必然的に導き出されることになる。

 現実の企業に関する業績情報を作成する場合、現実の企業が存在する貨幣経
済社会での流通媒体である貨幣、つまり現金の流出入に則して利益を計算する
のでは、それは「業績利益」にはならない。

 信用経済を前提にする場合、企業活動上の目的である成果の獲得のプロセス
と現金の流出入、つまり収支のタイミングはズレているのであり、これは信用
経済が発達すればするほど大きくなる。

 したがって、収支に基づいて利益を計算すれば、収支差額としての利益は計
算できても、「業績」としての利益を計算することはできない。

 売上という企業活動の目的は既にある期に達成されていても、それが掛け売
上であり、決済が翌期に行われる場合には現金が流入するのは翌期である。

 この場合、「業績」としての利益は、企業目的が達成された期にこれを捉え
るべきか、それとも現金流入のあった翌期にこれを捉えるべきかは、明白であ
ろう。

 かくて、業績利益の計算は「発生主義」によって行うべきことが提唱される
のである。

 発生主義とは、財貨・役務の費消事実を捉えて利益計算する概念である。


 しかし、利益を計算するに当たって、収支に則して計算するのではなく、発
生主義によるのであれば、発生主義による利益計算を可能にする概念が必要と
なる。

 そこで、会計上、利益計算を発生主義によって行うべく、財貨・役務の費消
事実を捉えて計算するための概念が定義される。

 それが、グロス概念としての「費用」、「収益」であり、ネット概念がその
差額としての「利益」(業績利益)である。

 したがって、費用とは、経済価値減少の原因となる事実であり、収益は、経
済価値増価の原因となる事実である。

 この場合、注意することは、費用・収益は経済価値の増減の事実そのもので
はなく、経済価値の増減の「原因」となる事実のことである、ということであ
る。

 経済価値の増減の事実そのものは、費用・収益ではなく、資産・負債の増減
となって現れるからである。


 かくして、現行企業会計の基盤たる動態論の計算構造においては、会計上の
費用と収益という概念を使って、企業の業績たる利益を発生的に捉えて計算す
る構造である。


《ここでの復習ポイント》

 1) 業績利益は収支に則して計算したのでは意味が無い
 2) 企業の業績を捉えるには企業活動を発生的に捉える必要がある
 3) したがって、業績利益を計算するには、発生主義によって計算する必要
  がある
 4) この場合、利益計算を発生主義によって行うには、会計上の新しい概念
  が必要となる
 5) そのため、グロス概念としての費用、収益とネット概念(差額概念)と
  しての利益という会計上の概念を定義した
 6) この場合、費用とは経済価値減少の原因たる事実であり、収益は経済価
  値増価の原因たる事実である
 7) その差額としての利益は、会計上の概念である費用・収益によって計算
  される業績利益である




 次に、《3)とc)》についてである。

 損益法とは、読者諸君も承知している損益計算の方法である。

 読者諸君は、会計学的というよりは、簿記の問題を解く過程で無意識に行っ
ている方法といった方が適切かもしれない。

 巷の受験学校で教わる、もしくは、3流4流の学者に教わる場合も同様である
が、損益法と誘導法が「継続記録」とセットにはなっておらず、また、財産法
と棚卸法が「実地棚卸(実施調査)」とセットにはなっていない。

 この結果生ずる議論(本来「議論」といったレベルではない、巷の戯言であ
る)が、現行企業会計上の貸借対照表の期首と期末の比較によって利益を算出
し、これを“財産法的利益計算”などという馬鹿げたものである。

 これは、財産法という場合は、実地棚卸−棚卸法とがセット、損益法という
場合は、継続記録−誘導法がセットであることを知らない、もしくは無視した
戯言である。

 現行企業会計では、棚卸資産に期末に実地調査を適用し、残高の実在性のチ
ェックが行われる。これを財産法の適用などと理解してはならない。

 財産法の適用などではなく、財産法の手法である実地棚卸(実地調査)を部
分的に適用しているだけである。

 したがって、本年度の短答式本試験の問題(HBAの解答速報で問題の不備
により回答不能と指摘した)のように、“財産法と損益法が対象によって使い
分けられている”などといったことは、まったくのデタラメであり、当然試験
委員の実力と試験委員としての良識が疑われるものである。


 さて、ここでは前置き的な話が長くなったが、損益法は、上記にも指摘した
ように「継続記録」を前提とする。

 この継続記録は、日々の企業の活動上の取引を一つ残らず、また重複するこ
となく記録するものであり、組織的な帳簿体系によって、各取引記録と各帳簿
間、帳簿と帳簿間、および帳簿と財務諸表間の相互関連性を確保したものをい
う。

 したがって、損益法は、これらの組織的帳簿体系によって記録された中から、
当該期の損益計算上に計上すべき項目を抽出し、期間利益計算をするのである。

 この場合、当然のことながら、損益計算の適正性は帳簿記録の正確性に依拠
しているのであり、損益法の前提である帳簿記録に不備があれば期間利益計算
も適正には行われないことになる。


 このため、敢えてここで指摘すれば、読者諸君が“ああ、あれね!?”とバ
カにする一般原則の「正規の簿記の原則」は、この損益法の前提としての「継
続記録」を規定するものであり、損益法による利益計算を実行している現行企
業会計にとって、言うなれば「真実性の原則」よりも上位の原則ということも
できるものである。

 会計構造論を正統に学習した経験のない巷の受験生は、この重要性をまった
く知らないのである。

 勿論、巷の受験学校等に一般原則の真意を説明できる者などただの1人も存
在してはいない。




《ここでの復習ポイント》

 1) 財産法という場合は、実地棚卸−棚卸法とがセット
 2) 損益法という場合は、継続記録−誘導法がセット
 3) したがって、損益法は、「継続記録」を前提とする
 4) 「継続記録」とは、組織的・体系的な帳簿記録のことである
 5) したがって、組織的な帳簿体系とは、各取引記録と各帳簿間、帳簿と帳
  簿間、および帳簿と財務諸表間の相互関連性が確保されたものである
 6) 「正規の簿記の原則」とは、この組織的な帳簿体系による記録を意味す
  るのであり、損益法の前提を規定するものである




 次に、《4)とd)》についてである。

 受験簿記を知っていても、会計学の観点から簿記を知っているのではない。
これが巷の受験生の真実である。

 受験簿記の問題を解く上で、損益項目(損益法による損益計算という認識は
受験生には無い)により損益計算、もしくは解答用紙上の損益計算書の作成を
行い、残ったものは全部残高勘定、もしくは解答用紙上の貸借対照表に集計す
ることを経験的に知っている。

 しかし、これを会計学的に理論的に理解している訳ではない。

 これが、合格した後に監査の現場に行って、「使えない補助者」となる原因
である。

 会計学の観点から簿記を理解していないことは、外部監査の観点から簿記(
帳簿)を見ることができないということである。

 簿記が出来るので優越感に浸れるのは、ただの受験生時代だけである。

 しばしば指摘しているが、資格試験はただのQualify testである。つまり、
単に資格を得るためのだけの試験であり、職業的専門家として認められた訳で
もないし、職業的専門家としての将来が保証されたものでも何でもないのであ
る。

 つまり、職業的専門家としての予選を通過しだけである。

 さらに、現状のように本試験のレベルが低い状態では、フロックによる合格
者が大量に出る。

 しかし、彼らが実際に監査の現場に行くまでは上記の現実を知るチャンスは
無いのである。

 監査の現場に行って初めて、自己の実力の無さ、会計的素質の無さ、監査の
素質の無さに気が付くのである。


 学問は最も価値ある自己の財産である。


 受験勉強だから、早期合格のためだという偽った名目のために、正統に学ぶ
ことを放棄すれば、そのツケは必ず己に回ってくるのである。


 さて、本題であるが、現行企業会計における誘導法による貸借対照表の作成
を、ただ単なる残高項目の集計と理解してはいけない。

 誘導法の適用は、動態論おける動的貸借対照表の機能(役割)が前提になっ
ている。

 動態論における動的貸借対照表は期間利益計算の連結環としての機能を担っ
ている。

 これは、その前提に会計上で人為的に区切られた期間における期間利益計算
があるが、現実の企業活動は休み無く連続しているのであり、その現実の企業
活動を情報作成の対象とする限りその事実を無視することはできない。

 そこで、情報(業績利益情報)の作成上では、人為的に期間を区切って利益
計算を行ったものの、現実においては本来区切られてはいない期間と期間を繋
ぐ手段が必要となる。

 その役割を担うのが動的貸借対照表である。

 つまり、動的貸借対照表には、ある期間において損益項目として損益計算書
上にピックアップされなかったものを、翌期の損益計算に持ち越すという重大
な役割があるのである。

 もし、ある期に損益計算書上に計上されなかった項目(つまり、収支未解消
項目)が、過不足無く動的貸借対照表によって翌期に繰り越されないなら、翌
期の期間利益計算の適正性が失われることになる。

 この重大な役割を理解していない受験生は、受験簿記的に残高を一気に残高
表、もしくは解答用紙上の貸借対照表に集計し、それがすべてであるかのよう
に思うのである。


 貸借対照表の作成方法としての誘導法は、この動的貸借対照表の機能を前提
とするものであり、単なる寄せ集め法などではないのである。



 さて、取得原価主義による利益計算については、読者諸君の記憶もまだ新し
いのではないだろうか?

 取得原価主義と実現主義との関係については、都合3回に渡って解説した。

 むろん、消化不良の読者諸君もいたのかもしれないが、結構目の前が突然開
けた読者諸君も多かったはずである。


 つまり、取得原価で評価することは、その財に投下された貨幣資本量を当初
の投下資本量のまま、それが費消されるまではそのままで評価し続けるという
趣旨である。

 この場合、実現主義は、資本を投下した財が販売市場における販売という行
為によって相手方に引渡され、それと同時に対価としての資本の再流入が生じ
た時点で資本の増加を認識するものであると理解したはずである。

 勿論、この場合に販売財の販売にかかるコストとして費消された財・役務も
販売財と同様に販売時点で再流入する資本に転嫁されて回収が行われるのであ
り、販売財の実現時点がそれらのコストとして費消された財等の実現時点でも
あることになる。


 このことを考え、前出の動的貸借対照表の期間利益計算の連結環としての機
能を考えるなら、動的貸借対照表には、当初の資本投下量の内、ある期に損益
計算上に計上されなかった資本投下量の一部が、その投下量のまま集計され、
次期の利益計算へと繰り越されていくということになる。

 したがって、このことを前提とするならば、そこでは取得原価評価の継続が
維持されるべきことになり、したがって、原価以下評価(棚卸資産の低価法の
適用や固定資産への減損会計の適用等)が支持されることになるのである。




《ここでの復習ポイント》

 1) 誘導法の適用は、動態論おける動的貸借対照表の機能(役割)が前提
 2) その動的貸借対照表は期間利益計算の連結環としての機能を担っている
 3) さらに、そこには継続企業を前提として、それに関する業績利益の計算
  のために、会計上人為的に期間を区切る必要があった
 4) 動的貸借対照表は、その人為的に区切られた各会計期間を繋ぐ役割を担
  っている
 5) 貸借対照表の作成方法である誘導法は、この動的貸借対照表の連結環た
  る機能を前提にしている
 6) 取得原価評価は、その財に投下された貨幣資本量を当初の投下資本量の
  まま評価し続けるという趣旨である
 7) それらは、実現時点において再流入の貨幣資本に転嫁され回収される
 8) したがって、この趣旨からするならば、資産評価は原価以下評価という
  ことになる



 本信では、総復習ということもあり、反論的な解説や挿入的な解説、さらに
教訓的指摘は極力少なくし、読者諸君が内容をストーリー的に追えるように努
力したつもりである。

 ただし、上記をそのまま書いても論述試験における論述としての「解答」と
はならない。理論を論述するには、それなりの用語と論文構成が必要である。

 したがって、このmailmagazineでの理解を基に論文としての体裁を整えて解
答を作成しなければならない。


 各sectionでのFOCUSも示しておいたので、それを参考にして、詳しくは、該
当する今までのmailmagazineを読み返してみると一層の理解が得られるはずで
ある。


 それは、もし、読者諸君が本mailmagazineを正しく読んでいるならば、現時
点で以前よりも数段実力が上がっているのであり、会計学の学習は螺旋階段を
上ることと同じことであることを考えれば、以前読んだ時には気が付かなかっ
た重大な内容が今見えてくることがあるからである。



 各sectionで示したFOCUSを是非参考にして、自分の理解を整理し、さらに深
め、また、誤解していた部分を是正するのに役立てて欲しい。





 では次回に!!





追伸:
 少なくとも年内は月一ペースになる可能性が大だと思いますが、ご理解くだ
さい。



 なお、本mailmagazineの発行に関する情報は、HBAのHP「お知らせ & 
トピックス」に掲載しますので、そちらで確認をしてください。

 ※HBA/「お知らせ & トピックス」はこちら >>>


 以上よろしくお願いします。









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◇◇◇今回の問題◇◇◇

 今回は、今までの総復習でしたのでお休みです。








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◎解答・解説(一部または全部)は次回のメールマガジンにおいて掲載する予
 定です。
 また、次回メールマガジンの発行日の翌日以降、当アカデミーの『HBAメ
 ールマガジン』のコーナーにも解説を掲載します。
 
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◎当mailmagazineの休刊等の情報については、HBA/「お知らせ & トピッ
クス」に掲載します。

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 既に能力のある会計士の間では、アメリカ基準は無視されつつある。  さらに、今後近いうちに我が国の会計基準も国際財務報告基準ベースへと修 正されていくはずである(アメリカ会計の信奉者を無視するかのようなアメリ カの裏切りによって、このことは加速している)。  それでも我が国の現行企業会計の基盤は動態論の計算構造であり、承知のよ うに(?)会計士試験もそのような現行企業会計が前提なのである。  今までのmailmagazineの内容から分かるように動態論の計算構造はしっかり とした理論的構造をもつ。それを理解しない限り、末端の安っぽい議論擬きな ど、例え、受験勉強であって何の意味も持たないのである。 ◆ =============== =============== ============= ================= ◆ =============== =============== ============= ================= ◎メールマガジンのバックナンバーは、当アカデミーの『HBAメールマガジ ン』のコーナーでもご覧になれます。    ※HBAメールマガジンのコーナーはこちら >>> ◎当mailmagazineの休刊等の情報については、HBA/「お知らせ & トピッ クス」に掲載します。  ※HBA/「お知らせ & トピックス」はこちら >>>  ※また、HBAの資料請求はこちら >>> ※HBAの内容等に関する問い合わせはこちら >>> ◆ =============== =============== ============= ================= ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 発行者     : ハスイ・ビジネス・アカデミー(HBA) ホームページ  : HBA/TOP ※メルマガの購読中止は上記ホームページでもおこなうことができます。 ※まぐまぐ!サイトでのメルマガの購読中止はこちら >>> □ 雑 感 □=========================== ◎あっと言う間に「冬」の兆しである。  秋は、一番好きな季節であり、もっと長く秋の風情を楽しみたかったところ である。  スキーなどのウィンター・スポーツをまったくやらない私にとって、冬はこ たつとミカンと煎餅の季節であり、アイスクリームとこたつの季節であり、オ ーディオ等のリモコンがとてもありがたく思える季節であり、風呂に入るのが とてつもなく楽しい季節であるというだけである。  クリスマスは無関係、正月もただ通り過ぎるだけでしかない。  などと記してくると、とってもStand Aloneに陥っている情景に思われるか もしれないが、決してそうではないのである。  今年会員がグット増えたし、やることは山積みである。  頑張らねば!!  実は受験生である読者諸君にとっては冬は良い季節なのである。寒いことも あって、比較的気を散らす要素が少ないからである。来年、春の兆しが見え始 め、世の中が暖かく明るくなってくるまでに、がっちりと勉強しておくことで ある。  諸君の春は、来年の11月なのだから。  ではまた。 =================================== 暗記を強要される受験勉強って間違っている。HBAでは公認会計士試験の早 期合格を目指す諸君に、本質的な講義内容を提供します。当メルマガの有意義 な問題にチャレンジして、早期合格を目指しましょう。