【HBA王道セミナー】すべての理解は基礎理論の理解にあり!!基礎理論の
理解無しに応用など存在しない。




                            2008.4.19発行
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《第29講》「各論一考/その四」
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◇《今日の一言》◇ =============== =============== =============== 

 読者の皆さんこんにちは!!

 徐々にではありますが、HBAmailmagazineの読者登録も増えてきています。

 より多くの読者がHBAmailmagazineによって、少しでも本物の「会計学」を
知ってくれることを願っている次第です。



 さて、今回は、発生主義会計の二大矛盾である繰延資産と引当金(偶発事象
<偶発債務>)についてである。



 まずは財務諸表論の学習開始初期において学習したであろう発生主義の意義
について思い出してもらいたい。

 “今更発生主義なんて?”と思う読者もいるかも知れない。

 発生主義の意義など既に頭のすみに追いやり、今時の会計事象やその会計処
理などを必死に“暗記”している会計士試験などの受験生である読者諸君は、
今頃なんでやと思うのであろうか?

 そうであれば、今年の本試験に落ちてから(敢えてこの時期にもかかわらず
言ってしまうのだが)、もう一度本信を読み直すのがよいかもしれない。


 発生主義とは、「財貨・役務の費消事実に基づいて費用・収益を認識する」
という費用・収益の認識に関する考え方である。

 「発生」とは、財貨・役務の費消事実を費用・収益の発生と捉える(勿論、
「原因発生主義」なる説もあるがこれについては後に触れることになる)ので
ある。


 では、この発生主義の意義に照らして、繰延資産と引当金(とりあえず読者
諸君の知る“引当金”)を考えてみて欲しい。


 どうであろうか? 矛盾している?ことに気が付いたであろうか? それと
も何も不自然さを感じないのか?


 気が付かない読者諸君や何も不自然さを感じない読者諸君は、とりあえず企
業会計原則・注解の「繰延資産」および「引当金」の規定内容をもう一度読ん
でみるとよいであろう。

 ただし、引当金については、ここで企業会計原則・注解の「引当金」の規定
内容を読んだとしても、巷の受験学校での受講経験(大学での授業でも基本的
に同じ)がある受験生のほとんどが正しい「引当金」を教えてもらってはいな
いであろうから、企業会計原則・注解に規定される「引当金」の要件の本来の
意味など知らないはずであり、したがって、繰延資産に関しては発生主義(会
計)における矛盾に気が付いたとしても、引当金については矛盾しているとは
思わないのかも知れない。

 それでも、とりあえずここで再度上記注解の規定文言を“発生主義”の考え
方にに照らして読んで見ることは無駄ではないはずである。


 さて、そろそろ気が付いた読者諸君もいるであろうか?


 それでは、ここで念のため企業会計原則・注解における繰延資産と引当金の
規定内容を確認しておくことにしよう。

 企業会計原則・注解・注15によれば繰延資産(注解では「将来の期間に影響
する特定の費用について」として規定されている)については、『「将来の期
間に影響する特定の費用」とは、既に代価の支払が完了し又は支払義務が確定
し、これに対応する役務の提供を受けたにもかかわらず、その効果が将来にわ
たって発現するものと期待される費用をいう』と規定され、『これらの費用は、
その効果が及ぶ数期間に合理的に配分するため、経過的に貸借対照表上繰延資
産として計上することができる』とされている。

 つまり、繰延資産とは、既に対価の支払が完了し、または支払義務が確定し、
それに対する役務の提供を受けたにもかかわらず、その役務の有する効果が将
来にわたって発現すると期待される費用支出(役務原価)であり、それを会計
上、その効果が及ぶ期間に合理的に配分するために経過的に貸借対照表に資産
として計上されるものである。


 また、企業会計原則・注解・注18によれば、引当金とは『将来の特定の費用
又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、
かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、当期の負担に属する
金額を当期の費用又は損失として引当金に繰入れ、当該引当金の残高を貸借対
照表の負債の部又は資産の部に記載するものとする』と規定される。


 ここで、前者の繰延資産の意義について注目すべきは、「既に代価の支払が
完了し又は支払義務が確定し、これに対応する役務の提供を受けたにもかかわ
らず」という部分である。

 「既に代価の支払が完了し又は支払義務が確定し、これに対応する役務の提
供を受けた」のであるから、これは財貨・役務の「費消があった」ことを意味
する。

 つまり、これは「発生主義(会計)」におけるまさに「発生」である。


 発生主義(会計)は、初めにも示したように財貨・役務の費消事実を捉えて
費用・収益を認識するのであるから、上記のように「既に代価の支払が完了し
又は支払義務が確定し、これに対応する役務の提供を受けた」のであれば、そ
れは当該期の発生「費用」なのであり、それ以外の何ものでもない。

 つまり、繰延資産として資産に計上されるものは、本来的には当該期の発生
費用なのである。

 したがって、現行企業会計の構造的特質である発生主義会計において、これ
を当期の費用としないことは、発生主義および発生主義会計の趣旨に矛盾する
ことになる。


 一方、引当金は、その意義において「将来の特定の費用又は損失であって」
としていることから、現時点での費消事実が存在してはいない。つまり、引当
金の計上時点では財貨・役務は未費消なのである。

 その意味で、引当金もまた発生主義(会計)の趣旨である「財貨・役務の費
消事実に基づいて費用・収益を認識する」ことに矛盾するのである。


 しかし、ここで引当金については、読者諸君からは「でも?」と反論が出て
くるのではないだろうか?

 その反論は、現行企業会計では前出の「原因発生主義」を採っているとの理
解から、注解に規定される引当金の計上要件の一つに「その発生が当期以前の
事象に起因し」という項目があり、これを“原因発生主義”にいう“原因事象
”の発生と捉え、したがって、このことにより引当金は「原因発生主義」の範
疇で捉えられる、つまり、引当金の計上は“発生主義”によるとの考えに基づ
くものであるはずである。


 そこで、まず基本に立ち帰って、本来の「発生主義」とはいかなるものかを
考えてみなければならない。

 既に示したように「発生主義」とは、本来、「財貨・役務の費消事実に基づ
いて費用・収益を認識する」考え方であり、それは、発生を財貨・役務の「実
際の費消事実」に限定するものである。これを一般に「実際発生主義」という。

 この実際発生主義(本来の発生主義)によれば、明らかに、引当金の計上は
未発生事象を費用もしくは損失として認識することであり、したがって発生主
義(会計)に矛盾することになる。


 巷の受験生が発生主義=原因発生主義であると信じて疑わないその「原因発
生主義」とは、実は引当金を(後付で)理論的?に発生主義の範疇で説明しよ
うとするための便宜的な説なのである。

 しかし、現行の引当金の本来の(つまり、本当の)要件の意味を知らない者
たちは、原因発生主義に論理性があると信じて引当金を説明するのであり、そ
れは、目を覆うばかりの酷い状景である。


 現行企業会計における引当金は、昭和49年改訂によってそれ以前の引当金と
はまったく理論的スタンスを異にするものとして規定された。

 つまり、現行企業会計の引当金(企業会計原則・注解・注18に規定される「
引当金」)は、FASBの概念規定を前提としているのであり、その概念規定を前
提として要件が規定されている。

 前出の注解・注18の「引当金」の規定にある4つの要件は、すべてこのFASB
の概念規定から持ってきているものであり、それは原因発生主義などを前提と
するものではない。

 以前にも記したが、昭和49年改訂において、引当金を全面改訂した主任者で
ある馬場さんが、その改訂というよりは、むしろ新しい「引当金」の説明に当
たって、「今回の全面改訂された『引当金』は、発生主義により計上されるも
のではありません。言ってみれば、それは『引当基準』とでもいったものによ
ります」と説明したのである。

 当該改訂当時には、巷の者たちは勿論、学者でもほとんどが当時のこの馬場
さんの説明の趣旨を理解することはできなかったのである。

 事実、これも以前に記したが、当時東大に在籍したある学者は、その著作本
(市販本)に「(馬場さんが)発生主義ではないなどと言うから、(皆が)混
乱するのだ。引当金の計上は(原因)発生主義によるのだから、その様に言え
ばよかったのだ」と書いているのである。

 学者の論文や著作物は、「証拠」として後の世まで永久に残る。

 つまりこれは、この学者が馬場さんの説明内容を当時理解できなかったとい
う確たる「証拠」なのである。


 この昭和49年改訂時から引当金については、FASBの概念規定に基づいて引当
の要件が規定(注解・注18)されているのであり、それは今日までまったく変
わってはいないのである。


 そこで、このFASBの概念規定での前提となっている「偶発事象」と「偶発債
務」について、「国際会計基準」(現在ではIFRS−国際財務報告基準にその内
容が吸収されている)によって確認してみることにしよう。



(※)ここで、以前にIFRS等の時事的内容については、一講を使って概略的な
内容を説明しているが、それを未だ読んではいない読者のために、ここでごく
簡単に紹介しておくことにしよう。


1) 国際財務報告基準(IFRS):
国際会計基準審議会(IASB)が作成する会計基準のこと。


2) 国際会計基準審議会(IASB):
2001年に国際会計基準委員会(IASC)を改組してIASBが設立された。


3) IFRSsの構成:
・7つのIFRS(第1号〜第7号)
・30のIAS(第1号〜第41号、欠番あり);引き続き「IAS第××号」と呼ぶ。
・18のSIC及びIFRIC(解釈指針)
※ この他に、IFRSの構成等を記した「国際財務報告基準に関する趣意書(
Preface)」、及びIFRSの概念的枠組みである「財務諸表の作成及び表示に係
るフレームワーク」がある。


 国際証券監督者機構(IOSCO)は、2000年にIASの主な基準書を「the IASC 
2000 standards」として、それの支持を表明している。


4)世界的にIFRS採用の流れが強まる中で、各国の国内会計基準もIFRSに向かう
よう改訂されつつあり、欧州においてもいくつかの国ではすでに行われている。

 ただし、豪州やシンガポールのように、IFRSと字句のレベルまでほぼ同じと
なるよう国内会計基準の改訂を進める国もあれば、独自のペースで改訂を進め
る国もある。米国や日本は後者に属するといえる。

 米国は、2002年に米国の会計基準設定主体である財務会計基準審議会(FASB
)とIASBとの間で会議を行い、今後、米国会計基準とIFRSとの統合化に向けて
努力する旨の合意を行った。

 現在、FASBとIASBとの間では多くの会計基準の新設・改訂プロジェクトが共
同作業として行われており、このような作業が続けられれば、米国会計基準と
IFRSとの相違はいずれ相当程度少なくなるであろう。


5)日本については、2004年に日本の会計基準設定主体である企業会計基準委員
会(ASBJ)とIASBとの間で、会計基準間の相違を可能な限り削減する共同プロ
ジェクトを行う旨の合意が行われ、現在、主にASBJでIFRSを考慮しつつ、日本
基準の改訂作業を行っている。

 このように、各国の会計基準は、程度の差はあれIFRSを1つのベンチマーク
として改訂されるというのが、会計基準を巡る国際的な潮流であるといえる。





 さて、「国際会計基準」によれば、偶発事象とは、「貸借対照表日において
存在する状態または状況であって、その最終的な結末としての利得または損失
が未確定な将来事象の発生または不発生によってのみ確認されるもの」をいう。

 すなわち、偶発事象とは、「貸借対照表日において存在し、かつ、その財務
的影響が将来発生するかもしれないし、あるいは発生しないかもしれない事象
によって決定されるような状態または状況に限定される」のである。

 また、偶発債務とは、「債務の保証、引渡済の請負作業又は売渡済の商品に
対する各種の保証、係争事件に対する賠償義務、先物売買契約、受注契約その
他現実に発生していない債務で将来において当該事業の負担となる可能性のあ
るもの」をいう。

 つまり、偶発債務とは、偶発事象の結末として生じることになる債務という
わけである。

 そこで、上記の偶発事象および偶発債務を参考(前提)にして、注解・注
18で規定する引当金の要件について見てみることにしよう。


 実は、巷での引当金は原因発生主義によって計上されるものであるとの誤解
は、この注解・注18に規定する引当金の要件の一つである「その発生が当期以
前の事象に起因し」という項目が原因発生主義にいう「原因事象」を意味する
ものであるとの誤った解釈からきているのである。

 原因発生主義は、発生主義における「発生」の意味を、財貨・役務の実際の
費消事実に限定せず、財貨・役務の実際の費消は将来であっても、その原因と
なる事象の発生も含めるという考え方であり、この見解によれば、引当の対象
となる事象(財貨・役務の費消事実)は未発生であるとしても、その原因とな
る事象(原因事実)は既に発生しているから、その原因事実を捉えて引当金の
計上はなされると説明するのである。

 つまり、原因発生主義は、例えば、貸倒引当金の場合、将来貸倒引当金を計
上しなければならない原因は“売掛金を保有している”(既発生事実)ことに
あり、そのことが将来売掛金が貸倒れる可能性の要因(つまり、貸倒引当金を
計上する可能性)なのであり、したがって、これを上記の「原因事象」である
と説明するのである(巷の受験学校で受験生はその様に説明されているはずで
ある)。


 しかし、これでは信用経済の存在そのものを否定することになる。

 つまり、信用取引によって取得した債権を保有することが貸倒引当金を計上
する要因だというのであり、これでは信用経済は、債権の貸倒れをその「前提
」に含んで概念されているということになる。

 本来、信用経済といったものの概念は、否定的な要素を含んで定義されない。
このことは、会計学の諸概念や諸定義、また、監査論における諸概念や諸定義
なども同様である。それらはすべて「肯定的」前提に立って概念され、規定さ
れているのである。

 たとえ、そこに現実の問題として貸倒れという事実が存在したとしても、信
用経済の概念に、そのような否定的要素が含められることは無いのである。



 ここで、前出の偶発事象の意義をもう一度見てみよう。

 偶発事象とは、「貸借対照表日において存在する状態または状況であって、
その最終的な結末としての利得または損失が未確定な将来事象(これは引当の
対象となる事象のことではない)の発生または不発生によってのみ確認される
もの」である。

 この「貸借対照表日において存在する状態または状況」(つまり、「偶発事
象」)の存在こそが、企業会計原則・注解・注18における引当金の要件の一つ
でである「その発生が当期以前の事象に起因し」における「当期以前の事象」
のことである。

 その事象は、「未確定の(他の)事象」(上記の「未確定な将来事象」)に
よって影響を受け、その未確定の事象如何によって、偶発事象の結末が決まる
のである。

 例えば、上記の貸倒引当金の場合では、債務者たる企業の業績不振等を背景
とする「売掛金が貸倒れる蓋然性」が存在する状態または状況(偶発事象)こ
そが、引当金の要件の一つである「その発生が当期以前の事象に起因し」の意
味であり、債務者たる企業のその後の経営状態のさらなる悪化等が、その結末
としての費用(または損失)を確認させる「未確定の将来事象」なのである。

 だからこそ、現行企業会計における引当金(偶発債務)は、「偶発事象」を
前提としていると説明しているのである。


 この偶発事象を、原因発生主義にいう引当の対象となる事象の「原因となる
事象」とすることはできない。なぜならば、貸倒引当金を計上するための「原
因となる事象」とは、本来的には「債務者たる企業の業績不振等」そのもので
あるからである。

 企業会計原則・注解・注18における引当金の要件の「その発生が当期以前の
事象に起因し」における「当期以前の事象に起因し」とは、単に当該期におけ
る引当金の計上に関連性をもつ事象という意味でしかなく、原因発生主義にい
う直接的な「原因事象」を意味しない。


 債務者である企業のさらなる業績悪化や倒産などの状況(将来事象)が生じ
るか否かによって売掛金が貸倒れて損失となるか、または無事回収されて損失
が生じないことになるのかが確認されるのであり、もし、債務者たる企業の状
況がさらに悪化して、売掛金が貸倒れる蓋然性が高いと合理的に判断された場
合には貸倒引当金が計上されることになる。

 したがって、上記のような売掛金が貸倒れる蓋然性が存在する状態または状
況(偶発事象)が認められる時点でその結末たる偶発債務もまた存在すること
になる。


 さて以上から、現行企業会計における「引当金」を原因発生主義では説明す
ることはできないこと、したがって、引当金も発生主義(会計)の趣旨には矛
盾することが理解できたはずである。


 なお、「未確定の将来事象」によって偶発債務(結末)が生ずる蓋然性が低
い状況においては、偶発事象自体は認識されていても、結末たる偶発債務の財
務諸表への影響の重要性の低さに鑑み、貸借対照表等によってそれが開示(注
記等による開示)されることはない。

 しかし、その発生の蓋然性が中程度の状況では、財務諸表への影響の重要性
を配慮して、貸借対照表に「偶発債務」として注記して開示しなければならず、
さらに、発生の蓋然性が高いと合理的に判断された場合には、その偶発債務と
しての金額(結末としての金額)を合理的に見積り、損益計算書に費用もしく
は損失として計上するとともに、貸借対照表の負債の部に引当金として計上し
て、その影響を具体的(金額的)に財務諸表上で開示しなければならないので
ある。


 巷一般では、原因発生主義による引当金の計上という解釈からか、偶発債務
とは貸借対照表に注記するものを指し、引当金は企業会計原則・注解・注18の
要件を満たして計上されるものとの理解であるようだが、上記からも分かると
おり、貸借対照表に注記されるレベル以前のものも、貸借対照表に偶発債務と
して注記されるものも、さらに、引当金として財務諸表に計上されるものも、
すべて偶発事象を前提とする「偶発債務」なのであり、その状況に応じて発生
の蓋然性が異なるだけである。

 財務諸表上での開示の仕方は、その発生の蓋然性のレベルと財務諸表への影
響の重要性に応じて異なる開示方法を規定しているだけである。


 もし、このことを、監査論の授業やテキストでも学習したことが無く、した
がって、未だに「知らなかった」というのであれば、何とか試験には合格する
ことは可能であるとしても、合格して監査の実務に行った際にリスク評価など
できるはずもないのである。




 さて、以上により、繰延資産と引当金が「発生主義(会計)」の二大矛盾点
であることが理解できたであろうか?


 現行企業会計では、繰延資産(現在繰延資産として貸借対照表に計上可能な
項目は5つである)は、すべて原則として発生期間の費用として計上すること
になっている。ただし、例外的に繰延資産として貸借対照表に計上することは
できるが、経過的な処理と理解しておくのが正しい理解である。


 そもそも、繰延資産は我が国の戦後の復興期などにおいて、我が国の企業の
再建をするにあたり、諸外国の企業に対する競争力を持つためには、研究開発
等が重要な要素となることから、それらにかかる巨額のコストを一期の費用と
して処理させることは、例えば、よちよち歩きの赤ん坊に大きな荷を背負わせ
ることにも等しく、したがって、一期の費用としての負担を軽減させるという
趣旨において有効な会計処理であるとして認められたものである。

 他の繰延資産(だったものも含めて)も同じような趣旨において認められた
ものである。

 その事は、上記企業会計原則・注解・注15の後段を読めば明らかである。

 繰延資産が規定されている同じ注解・注15の後段には、「なお、天災等によ
り固定資産又は企業の営業活動に必須の手段たる資産の上に生じた損失が、そ
の期の純利益又は当期未処分利益から当期の処分予定額を控除した金額をもっ
て負担しえない程度に巨額であって特に法令をもって認められた場合には、こ
れを経過的に貸借対照表の資産の部に記載して繰延経理することができる」と
記されており、「臨時巨額の損失の繰延経理」が規定されているのである。

 これは、不慮の災害等で経営活動に必須の手段たる資産に巨額の損失が生じ
た場合には、その損失を一期の損失とはせず、繰延処理することができるとい
う現実的な状況に配慮した規定なのである。

 つまり、この規定が繰延資産と同じ「企業会計原則・注解・注15」の後段に
規定されている(当初はそれらは前段と後段というように区別されてはいなか
った)ことは、繰延資産は上記「臨時巨額の損失の繰延経理」と同様に「繰延
経理」の結果として資産計上されるものであることを物語っているのである。

 従前に存在した繰延資産に関する議論、つまり、繰延資産として貸借対照表
に計上し、費用の繰延べをすることの“正統性”を“論理的に説明”しようと
した各種の“説”は、基本的にはすべて期間損益計算の適正性の観点から、費
用・収益の対応計算を論拠にしていた。

 しかし、現行企業会計においては、従前は繰延資産としての正当性が主張さ
れた試験研究費および開発費が、現在は研究開発費として、すべて(会社法上
は開発費は極一部残っているとはいえ)発生期間の費用とし処理することにな
ったことからも分かるように、本来費用・収益の対応計算を論拠として論理的
にその繰延べの正当性が主張され得るものではなかったということである。


 HBAでは、従前から繰延資産については「繰延経理」(繰延処理)として
教えている。それは、繰延資産の繰延の論拠の本質を理解してもらうためであ
る。


 我が国の会計学の世界では、“学者”と名の付く者たちが、後付の議論を展
開し、あたかも正統な論理的議論であるかのようにしてしまったものが多々あ
る。

 本来の意味からすれば、繰延資産などは発生主義(会計)の「例外」だが、
それらは現実的な観点から、制度上の特段の事情に配慮して認められている、
と説明すべき内容なのであり、ただそれだけのことなのである。

 会計実践においては、本来の純粋な発生主義(会計)の趣旨が“制度上の便
宜性”(それだけでなく、会計実践上での現実的な課題、つまり、認識可能性
や合理的測定可能性などについて、実践可能性という観点からの課題が存在す
ることも事実であるが)から歪められているのであり、それを後付(企業会計
原則等に現実的な観点からの事情で規定されてしまった内容を前提として)で
“理論的に説明”をすることなど無意味な議論である。

 とりわけそれらは、「学者」と名の付く者がする議論ではない。


 我が国の会計学の市販本にはこの手のくだらない“議論”と称する内容や、
くだらない“説”と称する内容に関する説明が多く載っている。

 したがって、市販本で真に「良書」といえる会計学の本は極めて少ないのが
現実である。


 さて、以上から分かるように、繰延資産は将来的に消滅すべき内容(従前に
巷の受験学校に在籍した時からその様に受講生には教えている)であり、それ
は、上記に指摘したように、従前の試験研究・開発費が基本的に研究開発費と
してすべて発生期間の費用として処理することになったことからも分かるはず
である。

 現状では環境への適応行動を必須とし、また、企業としての競争力を維持向
上させることが業界で生き残るための必須の条件である現代企業において、研
究開発費は継続企業たり得るための不可欠のコストであり、したがって、それ
らのコストを繰延処理する企業は、投資家(者)からは投資対象としてのリス
クが存在するのではないかとの懸念をもたれるのである。


 これに対して、現在のリスク時代においては、リスク管理が現代企業にとっ
ての重大な課題であり、継続企業としての存続性にも影響するリスク(偶発事
象−偶発債務)に対する対処は企業経営上において重要性を増すばかりであり、
したがってまた、それらについては投資情報として投資家(者)からの開示要
請も高くなっているのである。

 このことは、会計士監査において将来的にリスク評価上の重要性が一層高く
なることを意味しているのである。

 それは、現行監査がリスク・アプローチの監査手法を前提とするからである。

 読者諸君の内で、将来会計士を目指す諸君は、監査(実務)におけるこの偶
発債務の評価の重要性を今からしっかりと認識しなくてはならない。


 勿論、“そんなものは知らなくても試験には合格するさ”と嘯く諸君もいる
のかも知れず、そしてそれはその様な諸君の勝手なのだが、それでは、何とか
合格はしても、監査の現場に行く前に、監査人の能力という意味で監査計画上
で事前にリスク・アプローチにより、排除されるのが落ちである。

 リスク・アプローチは究極的には、監査人の能力を差別化する監査手法なの
であるから。


 いずれにせよ、繰延資産も引当金も発生主義(会計)の趣旨には矛盾するも
のであるが、投資情報としての重要性と将来性はまったく異なるのである。



 さて、読者諸君は、本信によって、将来消えゆく繰延資産(現在でも消えか
かってはいるが)と将来重要性をさらに増す引当金(偶発債務)の理解が深ま
ったであろうか?





 今回は、以上である。





 では、また次回に!!





 なお、本mailmagazineの発行に関する情報は、HBAのHP「お知らせ & 
トピックス」に掲載しますので、そちらで確認をしてください。

 ※HBA/「お知らせ & トピックス」はこちら >>>








◇ =============== =============== ============= =================

◇ =============== =============== ============= =================

◇◇◇今回の問題◇◇◇

問題
 引当金に関わる以下の問に答えなさい。
    
問1
 偶発事象および偶発債務を簡潔に説明しなさい。(6行)

問2
 ある会社に関する係争事件が発生し、提訴され損害賠償請求の裁判が進行し
ている段階において、当該事象に関する偶発債務もしくは引当金の取扱いにつ
いて検討しなさい。(7行)

問3
 未確定債務という意味では同じであるとされる未払費用と負債性引当金の異
なる点について説明しなさい。(6行)






〜問題に関する確認項目〜

 本文にもあるように、繰延資産については将来的に消滅するものであること
から、出題対象とはしなかった。
 一方引当金については、偶発事象および偶発債務の理解が前提となるため、
それらに関して問うている。

○偶発事象および偶発債務の理解があるか?
○引当金は偶発債務である理解がある?
○発生の蓋然性のレベルに応じて偶発債務の会計上の取扱が異なることについ
ての理解があるか?
○未払費用と負債性引当金の異同についての知識があるか?








・解答行数:上記各問題文末参照。

 ・満点  問題1
      問1:各15点×2=30点
      問2:40点
      問3:30点
     以上合計:100点。






◇ =============== =============== ============= =================




◎解答・解説(一部または全部)は次回のメールマガジンにおいて掲載する予
 定です。
 また、次回メールマガジンの発行日の翌日以降、当アカデミーの『HBAメ
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○棚卸資産の費消は物量的・客観的に把握できるのに対して、有形固定資産の 費消は物量的・客観的に把握できないという理解がある? ○動態論の会計構造を基礎とする発生主義会計においては、利益計算は損益法 による。しかし、問題は、この損益法の手法だけでは自己完結的に利益計算を 行なうことができない事情が、現実の企業の資本運動を前提にする場合生じる ことである。これを正しく理解しているか? ○本問での資金創出効果は、支出を伴わない費用の計上によってもたらされる ものであるが、それが資金創出効果をもつか否かは再投資のタイミングによる ことを知っているか? ◆◆◆前回の問題の解答・解説◆◆◆=============== ============ ==== ◆【解 答】◆◆=============== =============== ============ ======= 問1  棚卸資産は、販売を目的としてその正常な営業循環において短期的に費消さ れるものであり、その費消は部分的・個別的であるため、費消量を物量的・客 観的に把握することができる。したがって、その費用化額である売上原価は、 販売された商品を媒介として、収益との直接的対応関係を捉えて損益計算上の 収益に限定されて決定される。  これに対し有形固定資産は使用を目的として保有され、長期的に費消される ものである。この場合、有形固定資産が全一体として使用されることで減価が 発生するという性質をもつから、一会計期間における費消量を物量的・客観的 に把握することができず、除却まではその費消事実を確定することができない。  このため、減価償却費は、取得原価を基礎とするも、耐用年数と残存価額と いう二つの見積を含む仮定計算上の暫定額としてしか算定できず、したがって、 商品等の特定物を媒介として収益との直接的対応関係を捉えて決定されるので はなく、むしろ、減価償却計画に基づく配分計算に基づいて決定され、一方的 に期間損益計算上に計上され、結果的に収益に対応させられることになる。 問2  棚卸資産については、期末における実地調査によってその実在性が物量的・ 客観的に確認され、その過程において帳簿棚卸高と実地棚卸高との差として棚 卸減耗が把握され、また、さらに品質低下もしくは陳腐化が生じている場合に はそれらが把握され、それらに基づき棚卸減耗損、品質低下損もしくは陳腐化 損が次期への適正な繰越額から除外されることになる。  これに対して、有形固定資産については、減価償却費として費用化した額を 控除した残額について、その実在性を客観的事実として確認することはできな い。この場合には、減価償却計画の妥当性の吟味が期末になされることによっ て代替されることになる。すなわち、取得原価が適切に決定されたかどうかの 確認を基本として、耐用年数及び残存価額の見積は適切かどうかの検討等を通 して、過年度減価償却の過不足の修正等がおこなわれることになる。 問3  両者は、回収された投下資本が、継続企業の資本循環においてどの時点で再 投資されていくかという、再投資のタイミングが異なることによって、その財 務的効果が異なる。  棚卸資産の場合、支出を伴わない費用である売上原価が収益に対応して計上 されることによって回収された資本は、即座に次の販売商品の再調達のための 支出に充当されるため、売上原価の計上による新たな資金創出効果は得られな い。  これに対して、有形固定資産の場合、支出を伴わない費用である減価償却費 が収益に対応して計上されることによって貨幣資産の形で回収された資本は、 当該有形固定資産の取替更新までは、支出に充当されないため、その間、企業 に新たな資金創出効果をもたらすことになる。 問4 (1) 両者とも、企業の正常な収益力を反映する業績表示利益の算定要素として の性格をもつ。すなわち、企業成果を獲得すべき犠牲たる企業努力として、収 益(企業成果)に対応させられるべき費用(企業努力)としての性格をもつ。  これは、本来の費用収益の対応計算がおこなわれる期間損益計算上の項目と しての性格である。 (2) 両者とも、収支計算を基盤とする投下資本の回収余剰としての分配可能利 益の算定要素としての性格をもつ。すなわち、現実の企業の資本運動を前提と する場合、そこでの期間損益計算は、資本運動に投下され消滅した資本が回収 されたか否かを確認し、その投下資本を回収してなおどれだけの余剰としての 分配可能利益があるかを算定するという投下資本回収計算としての側面を当然 にもつ。  したがって、両者は、投下資本額の回収余剰としての分配可能利益の算定要 素たる性格をもつ。 ◆【解 説】◆◆=============== =============== ============ ======= 【総 説】  今日の企業会計において、期間損益計算の目的が企業の経営成績を開示する ために行われるべきものであることは周知のことである。しかしながら、その 期間損益計算は、現実の継続企業としての資本運動を前提としてしか行ないえ ないこともまた事実である。  したがって、期間損益計算はもとより、貸借対照表上の項目等についての理 解は動態論の会計構造を基軸としながらも、現実の企業の資本運動を前提にこ れを考えなければならない側面を当然にもつ。  本問は、このことの理解を、その属性は異なるが典型的な費用性資産である 棚卸資産と有形固定資産に関連して問うている。上記の両側面をしっかりと区 別したうえで、それらがどのように関連性をもつかを理解してほしい。 【各 説】 問1について:  ここでの解答の決定的なポイントは、棚卸資産の費消は物量的・客観的に把 握できるのに対して、有形固定資産の費消は物量的・客観的に把握できないと いう理解があるか否かである。  この違いが理解できていれば、このことに基づいてその費用化のプロセスを 考えればここでの解答は十分である。したがって、及第点はこれで取れること になろう。  後は、問題文の「その場合、収益との対応関係について言及しなさい」に対 する解答をどのように書くかということになるが、ほとんどが、対応形態とし ての個別的対応形態と期間的対応形態のことを思い浮かべたはずである。  しかし、上記に指摘したように、ここでの解答の決定的なポイントは、棚卸 資産の費消と有形固定資産の費消とはその資産としての属性から決定的に異な ることであることに鑑みれば、会計上でのその費消事実の捉え方の違いを指摘 すべきである。 問2について:  動態論の会計構造を基礎とする発生主義会計においては、利益計算は損益法 による。しかし、問題は、この損益法の手法だけでは自己完結的に利益計算を 行なうことができない事情が、現実の企業の資本運動を前提にする場合には生 じることである。  会計は、そもそも客観的事実としての会計事象が存在して初めて情報作成・ 開示上の存在意義をもつものであるから、客観的事実としての会計事象を無視 することはできない。  このことからすれば、そこに事実としての棚卸資産の滅失が生じていれば、 それを会計上表現することが当然に要求される。したがって、期中において会 計記録上認知されない会計事象を、定期的に事実そのものに直接アプローチす る(実地調査)ことによって補い、事実と記録を照合し、記録に不備があれば 事実に適合すべく記録を修正する必要が生じるのである。  資産の場合、事実とは当該資産が期末に実在していることであり、この事実 と記録とを照合するために、事実そのものに直接アプローチする手段が各資産 の属性に応じて存在することになる。一般には、現金の実査や棚卸資産の実地 棚卸(いずれも実地調査)がそのための手段として知られるところである。  しかし、有形固定資産についての実在性の確認については、意外と知らない 者がほとんどであろう。  しかし、受験生のほとんどが、現時点においては既に監査論についてもある 程度の理解をもっているであろうから、監査において、資産の期末の実在性の チェックがどのようになされるのかを知っているはずである。  そもそも、会計と監査は密接な関係にあり、今日の財務諸表監査が会計の存 在を前提にして実施可能であることを考えれば、会計上の理解が当然に監査の 理解に結びつけられていなければならないはずである。  とすれば、有形固定資産についてもその特質から棚卸資産のような手段によ ることはできないが、実在性のチェックの過程が存在することは歴然とした事 実であるから、ここでの解答の糸口を見出し得なければならないはずである。 問3について:  本問での資金創出効果は、支出を伴わない費用の計上によってもたらされる ものであるが、それが資金創出効果をもつか否かは再投資のタイミングによる のである。  短期的販売目的の棚卸資産の場合は、売上原価の計上によって回収された資 金は即座に再調達に充当されるため、企業内に留保される期間が非常に短期で ある。  これに対して、有形固定資産の場合は、減価償却費の計上によって回収され た資金は即座に再調達に充当されず、当該固定資産の取替更新までは企業内に 留保される。  この違いが資金創出効果を生じるか否かの違いとなって現われるのである。 本問の解答のポイントもここにある。 問4について:  今日の企業会計は、動態論の会計構造を基礎とするも、現実の企業の資本活 動を前提とすることから、そこでの期間損益計算は、一定の制約の下での収益 力の計算としての性格を持つとともに、継続企業本来の要請から、投下資本の 回収余剰たる分配可能利益の計算としての性格を併せ持つものである。  この理解があれば、そこでの利益計算の要素たる収益と費用もまたその二面 性をもつことは容易に理解できるはずである。 ◆ =============== =============== ============= ================= ◎メールマガジンのバックナンバーは、当アカデミーの『HBAメールマガジ ン』のコーナーでもご覧になれます。    ※HBA/メールマガジンのコーナーはこちら >>>
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