【HBA王道セミナー】すべての理解は基礎理論の理解にあり!!基礎理論の
理解無しに応用など存在しない。




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 はじめてご登録いただいた方へ!

 諸君、君たちの勉強方法はまちがっていないか?
 これだけは伝えておきたい。
 暗記だけでは、本当の勉強はできない。
 具体的にいえば、早期合格はできない。

 たとえば講師に“本質的な実力”が伴っていなかったとしたら、
 果たしてどういう授業風景となるか。
 そう、“本質的な説明”ができない。
 ではどうするか。もうおわかりだろう。彼は諸君に『暗記』を強要すること
 になる。

 当アカデミーでは、そういった受験業界の風潮を打破したい。
 このメールマガジンでは、Q&A形式で諸君を応援する。
 まずは基礎。
 基礎を固めるため、ぜひ当アカデミーの問題に挑戦してもらいたい。
 
===========
 本質的な4つの提案
===========

 当アカデミーでは、受験生諸君に以下の4点を提案したい。

 (1) 体裁の口上なんかに惑わされるな!
 (2) 暗記で受かるのは偶然しかない!
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 (4) 良質の資料によって、良質な指導を受けよ!

 いちど試してみて欲しい。
“本質”は、HBAにしかない・・・!



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《第30講》「各論一考/その五」
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◇《今日の一言》◇ =============== =============== =============== 

 読者の皆さんこんにちは!! 



 今回は、金融資産。中でも一番誤解されている有価証券について基本的内容
を確認してみることにしようと思う。


 そこでまず、「売買目的有価証券は『貨幣資産』である」とは正しいのか?
それとも間違っているのか?

 上記のように問われたなら読者諸君は「正しい」と応えるのか?それとも「
間違っている」と応えるのだろうか?


 おそらく、当HBAmailmagazineに登録してくれている読者諸君であっても、
99%以上の諸君が「正しい」と応えるはずである。

 ましてや、巷の受験生など100%以上!? あッいや、「100%以上」はない
が、それほど全ての受験生が「勿論、間違っている分けないじゃん!! 正し
いに決まっているさ」と答えるのである。

 そう「断言」できるのである。


 理由は、巷の受験学校のでは上記を「正しい」とする誤解、つまり、「売
買目的有価証券は“貨幣資産”である」との誤った理解の下に受験生に教えて
いるからである。

 あッいや、勿論、ここで今さら巷の受験学校の講師などの実力云々を言うつ
もりはまったく無い。そんな無駄な時間は無いのだから。


 このことは、巷の受験学校の講師や受験生に限らない。現役の公認会計士で
さえ平気で「売買目的有価証券は“貨幣資産”です」と自信をもって言うので
ある。勿論、私の教え子たちを除いては。


 多勢に無勢である。圧倒的多数が間違った事を“正しい”というのである。
だから、私の教え子たちのように本当に「正しい」理解を持つ者たちにとって
現状は、言うまでもなく厳しいものとなっているはずである。

 だが、多数だから“正しい”などといった理屈など存在しない。


 現状はまるで、正常な者が精神異常をきたしている絶対的多数の者たちから、
「おまえは精神異常だ」といわれているのに等しい。

 昨今では、このような表現は好ましくないとされるようだが、上記は現状を
比喩的に適切に表現しているので敢えてその様に言うのである。

 精神異常者に「おまえは精神異常だ」といわれることは、実は二重否定であ
り、結局「おまえは正しい」ということになる。

 しかし、ここで問題なのは、「おまえは精神異常だ」と言っている当の本人
たちが、自分を精神異常だとは思っていないということである。

 だからこそ、無知は無敵なのだが。


 しかし、その様な現状にあって、私の教え子たちは、実に賢いのである。相
手の実力を見極め(彼らには、私の講義を通じて本質的な会計学を身につけて
合格しているので、相手の実力を見極めるだけの実力が既に備わっている)、
正しい理解を持つ者に対しては、真実を、そうでない者にはそれなりの相づち
を打つことを心得ているのだ。

 私がその様に教えている。無知は無敵だから相手にするなと!!



 さてそこで、金融商品会計基準が設定されている現状においてさえ、なお、
売買目的有価証券(従前の短期保有目的有価証券)を“貨幣資産”と言わしめ
る原因はどこにあるのであろうか?

 これには、金融商品会計基準が設定される以前に存在した「有価証券論争」
(本質的には「論争」などといったレベルのものでもないのだが)なる議論バ
トルを知らなければならない。

 しかし、悲しいかな、巷の受験生の100%以上がこの論争を知らないのだ。


 HBAのテキストでは、金融商品に係る補足資料として載っている。


 過去の議論など関係ない、などとは無知な巷の講師や受験生の言う戯言であ
る。

 なればこそ、売買目的有価証券は“貨幣資産”だと言って平気な顔でいられ
るのである。

 この状況が、現役の公認会計士でもというのであるから、それらの“先生”
とやらがクライアントの経理担当者に売買目的有価証券について問われたなら、
当然のことながら“それは、ほとんど貨幣資産です”などと“威厳”を持って
言ってしまうのである。

 “ほとんど貨幣資産です”などとは何のコッチャ???? 

 果たして、企業の経理担当者は、「売買目的有価証券は“貨幣資産”だそう
です。公認会計士の先生がそう断言していますから、間違いありません」と、
他に吹聴することになる。

 つまり、ここでは社会的・構造的に「間違い」の連鎖が出来上がってしまっ
ているのだ。

 何とも恐ろしい現状である。「間違い」が”常識”化しているのだ。

 世の“常識”は、「正しい」ことを意味するのではなく、「つねしき」であ
り、常態となればそれがたとえ「間違い」、「嘘」であっても“常識”とされ
るのてある。

 「法律」を守るのが“法治国家”なのではない。法律の形式的適用など法の
法たる趣旨からすれば何の意味も持たないのだ。「法律」の立法趣旨を守って
こそ「法治国家」といえるのである。

 「法律」を守るのが“法治国家”だなどとは、「法」の立法趣旨からすれば
本末転倒であり、それこそ大きな勘違いである。



 さてさて、だいぶ余談をしてしまった。

 本題に戻ることにしよう。


 ここで、上記に指摘した「有価証券論争」を確認する前に、その論争の基準
とも言うべき貨幣・非貨幣分類について読者諸君の理解を確認しておきたいと
思う。

 そこで、「貨幣・非貨幣分類は何を前提とした分類なのか?」と問われたら、
諸君はどのように答えるのであろうか?

 曖昧に答える者、曖昧にでさえ正しい答をみつけることができない者等々様
々かもしれないが、自信を持って正確に説明出来る者はきわめて少ないのでは
ないだろうか。

 それは、読者諸君や巷の受験生が貨幣・非貨幣分類の意義を形式的に暗記し
ているだけだからである。


 貨幣・非貨幣分類は、そもそも二元説たる資金動態論を前提とする資産の分
類である。

 HBAmailmagazineの初めの頃の「講」で説明した動態論(いくつかの代表的
な動態論が存在する)のところで既に説明されており、また、現実の企業の資
本運動として資本循環の説明もしているので、記憶にある読者諸君は直ぐに分
かるはずである。

 資金動態論では、現実の企業における資本循環(資本運動)は大きく二分類
される。

 以前に示した資本循環図なるものを確認するとよい。未だ見ていない読者の
ために以下に示しておくことにしよう。

  資本循環図はこちら >>>
Adobe社 PDFファイルですので、Adobe Readerをご用意ください。
  Adobe Readerはこちらから無料でインストールできます。


 上記の資本循環図を見れば明らかなように、資本の循環は資本の投下過程(
投下プロセス)と資本の回収過程(回収プロセス)に二分される。

 資本の投下過程では、資本は何らかの財等に投下され(つまり、購入市場や
要素市場において財や用役等を購入もしくは調達する対価として対外的に流出
し、それと入れ替わりに財や用役が企業の資本循環上に流入する)、投下され
た貨幣資本は、それらを具現する財等の資産に拘束された状態(つまり、直ぐ
には換金化することは出来ない状態)で企業の資本循環上に存在することにな
る。

 この状態にある資本は資本の投下過程にあり、そこでは、保有する資産は、
それらに投下された資本量(現状では名目資本が前提であることから、投下さ
れた資本量は名目貨幣資本量である)、つまり、それらの取得時に対価として
流出した資本量、すなわちは、取得原価で評価され、売却等が生じない限りこ
の取得原価で評価され続ける。そのことは取得原価会計(※)の意味でもある。


 (※)これについての詳しい内容は、過去のHBAmailmagazineの「取得原価
   主義会計」の講(第22講・第23講・第24講)を参照。


   HBA・HP/HBAmailmagazineのコーナーはこちら >>>


 この過程にある資産を「非貨幣資産」といい、これらの資産はその属性から
取得原価で評価されることになる。


 資本の投下過程にある資産は、直接的な販売資産として売買取引によって顧
客に引き渡され(費消され)、もしくは、それらの売買取引に間接的に利用さ
れることなどにより費消され、それらに関連するコストとして販売資産によっ
て得られる収益に転嫁され、現金もしくは換金可能な資産として回収される。

 つまり、上記の資本循環における販売市場以降の過程である回収過程(図の
右側の過程)にある資産は換金可能性という特質を持つのであり、したがって、
当該循環過程上にある資産を「貨幣資産」(現金および換金可能資産)とし、
それらはその特質から回収可能額(いくらの現金を回収できるのかということ
)によって評価することが合理的であるとされるのである。


 この「非貨幣資産」か「貨幣資産」かの区別の基点となるのが「販売市場」
であり、資本循環図から分かるように、資本循環上における「販売市場」の手
前側(図の左側)の資本の投下過程にある資産を「非貨幣資産」、販売市場を
越えた後の側(図の右側)の資本の回収過程にある資産を「貨幣資産」とする
のである。


 ではここで、上記の説明に対応する資本循環図を示しておこう。先の資本循
環図に「非貨幣資産」・「貨幣資産」の説明を加えてある。

 「非貨幣資産」・「貨幣資産」の説明を加えた資本循環図は >>>
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 さて、これで読者諸君は、有価証券論争の前提となる貨幣・非貨幣分類につ
いて本質的な理解がが出来たであろうか?


 そこで、当時の短期保有目的の有価証券(現行の売買目的有価証券)は、上
記のどちらの資本循環上に存在する資産と考えるべきなのであろうか?

 これが「有価証券論争」である。

 これについては、巷で“名のある”とされる学者なる者たちが様々な主張を
展開したのだが、読むべき価値のあるものは極めて少なく、ほとんどが議論と
してのレベルにも達していないただの作文であった。

 それらについてここで記す余裕はない。とはいえ、とりあえず読者諸君のた
めにそれらの議論の簡単な総まとめをしておこう。


一の見解:
 短期保有目的の有価証券(現在の売買目的有価証券)は、市場でいつでも換
金可能な状態にあるとはいえ、未だに売却された訳ではなく(未だ資本の投下
過程、つまり、資本循環上の左側の過程にある)、将来的な市場での売却価額
も現時点での市場時価であるとは限らない。したがって、時価で評価すること
は客観性の観点かも合理的ではなく、そこに投下された資本額である取得原価
によって評価することが合理的である。


二の見解:
 短期保有目的の有価証券(現在の売買目的有価証券)は、形式的には資本の
投下過程(資本循環上の左側の循環過程)に存在するとしても、いつでも市場
で換金可能な状態にあり、その実質は、資本の回収過程(資本循環上の右側の
過程)にある貨幣資産と同様の属性をもつ。その意味で、既に資本の回収過程
にある資産といえる。したがって、その属性に着目すれば、それは回収可能額
によって評価することが合理的である。


 実は、上記の二つの見解にはどちらにも重大な欠陥、つまり、重大な議論の
前提に関する理解が欠けているのである。

 先の貨幣・非貨幣分類の説明において、この分類の基点が販売市場であるこ
とを指摘したが、それを基点とする貨幣・非貨幣分類の説明にはまったく不備
は無い。

 また、資本の循環プロセスにおける説明にも同様に不備はまったくないので
ある。


 にもかかわらず、上記の二つの議論は論争としての決定的な欠陥を持ってい
るのである。


 それは、有価証券(売買目的有価証券に限らず、有価証券全般)に関しては、
市場の機能分化が無い(購入市場と販売市場が分離されていない)ということ
である。

 一般的な財の場合のように、貨幣・非貨幣分類の基点となっている販売市場
と購入市場とが分離しておらず、「購入市場=販売市場」なのである。

 一般的な財などの場合は、購入市場と販売市場が機能分化していることから、
必然的に当該財の購入価格と販売価格は異なっている。

 しかし、有価証券の場合は、市場の機能分化が無いため、ある時点でのある
銘柄の有価証券の購入価格と、同じ銘柄の有価証券の売却価格が同じであり、
したがって、ある時点でのある銘柄の有価証券の購入価格とまったく同じ価格
で同じ銘柄の有価証券の売却が可能なのである。

 これが、「市場の機能分化が無い」ことの特質である。


 しかも、この「機能分化が無い」市場(購入市場=販売市場)は、通常の資
本循環プロセスの場合のように、販売市場がその循環プロセスを二分するよう
にそのプロセス上に立ちふさがっているのでは無く、有価証券へ投下された資
本の循環プロセスと連動しながらも循環外に存在するのである。

 このことからすれば、もはや、有価証券(売買目的有価証券に限らず、有価
証券全般)に関して議論する場合に、資本循環プロセスを投下過程と回収過程
という二つの過程に分け、それに基づいて非貨幣資産か貨幣資産かを区別する
議論など、その前提としての存在意義を完全に喪失しているのである。

 上記の二つの見解にはこのことがまったく視野に入っていないのである。


 有価証券に関しては、資本の循環プロセスにおいて、投下されたその時点か
らそれに係る市場は購入市場=販売市場として、しかも、販売市場(=購入市
場)が資本の循環プロセス上に立ちふさがるのでは無く、その資本の循環に連
動しながら循環外に存在し、しかも、有価証券の場合は、棚卸資産などとは異
なり、その売却に際して何らの販売努力を必要としないことから、即時の換金
可能性(短期的売買目的か長期保有目的は保有者の意思によって決まるもので
あって有価証券の本質的な属性で決まるものではない)が保証されるのである。

 したがって、即時換金可能性が保証される属性を持つ有価証券(とりわけ売
買目的有価証券)は、回収可能額、つまりは時点的な時価(換金可能額)によ
って評価することの合理性をもつのである。

 ここでは、非貨幣資産か貨幣資産かといった議論が既にまったく意義を持た
ない。

 したがって、現行企業会計上の金融商品基準に基づいて規定される有価証券
について、“貨幣資産”とか“ほとんど貨幣資産”などといった指摘ができる
いかなる前提も根拠も無いのである。


 では・・・、本来公開厳禁(HBA会員の利益保護の観点から)の上記の有
価証券に関わる資本循環を加えた私のオリジナルの資本循環図を特別に読者諸
君に公開しよう。

 この図は、上記の説明の真意が一目で分かる私のオリジナルの資本循環図で
ある。

 HBA会員には怒られるかもしれないが・・・!!

 有価証券に係る資本循環を組み入れた図は >>>
Adobe社 PDFファイルですので、Adobe Readerをご用意ください。
  Adobe Readerはこちらから無料でインストールできます。


 有価証券については市場が機能分化しておらず、その換金可能性を貨幣資産
であることを前提としないことが確認できたであろうか?


 なればこそ、売買目的有価証券(他の有価証券も含めて)は“貨幣資産”で
はなく「金融資産」なのである。



 なお、図中での有価証券に関する資本循環に対して便宜上「財務循環」なる
名称を付してあるが、これは半私的名称(「半」としてあるのは、同様の名称
を用いて議論する学者がいるからである)であるので、本試験などにおいてこ
の用語を定義すること無しに用いることは禁物である。注意して欲しい。

 したがってまた、それと区別するために本来の資本循環にも便宜上「基本的
資本循環」なる名称が付されているが、これも私的名称であり、この用語につ
いても上記の「財務循環」と同様に本試験などにおいてこの用語を定義するこ
と無しに用いることは禁物である。


 そもそも、一般の企業(証券会社などのように、有価証券を棚卸資産<販売
目的資産>として保有する企業を除く)の場合、有価証券の保有は余資運用で
ある。

 つまり、資本循環上で回収した資本を直ぐには再び資本循環上に投下する必
要がない場合に、そのまま銀行に預けていても資金をただ眠られておくだけで
意味がないことから、再投資までの期間、本来の資本循環とは別の資本循環へ
投下して、利息などを稼ぐ目的である。

 それは、すなわち上図における「財務循環」への資本の投下ということであ
る。



 さてここで、読者諸君には、是非金融商品会計基準を今一度確認することを
勧める。

 金融商品会計基準において、その意見書(前文)を含めて、“貨幣資産”な
る用語が存在するのか、もしくは、そこに“貨幣資産”なるジャンルが存在す
るのか否か確かめて欲しい。

 その様なものが存在してはいないことは明白である。

 他の金融資産とともに有価証券は、金融資産として定義されているのである。


 ちなみに、金融商品会計基準における金融資産の範囲をここに示してみれば
以下の様である。

『4. 金融資産とは、現金預金、受取手形、売掛金及び貸付金等の金銭債権、
株式その他の出資証券及び公社債等の有価証券並びに先物取引、先渡取引、オ
プション取引、スワップ取引及びこれらに類似する取引(以下「デリバティブ
取引」という。)により生じる正味の債権等をいう。』


 ここでは、確かに従前に“貨幣資産”とされていた現金預金、受取手形、売
掛金及び貸付金等の項目も規定されているが、有価証券がそれらの“貨幣資産
”の項目の一つとして規定されているわけではない。

 有価証券は、「金融資産」の一項目として規定されているのである。

 それは、上記金融商品会計基準が、有価証券を回収可能額により評価する論
拠を、本信での説明のように、貨幣資産・非貨幣資産といった分類を前提とす
る議論には求めていないということを意味している。

 そうでなければ、同じく金融商品会計基準に金融資産たる有価証券として規
定される売買目的有価証券以外の有価証券が含まれていることを説明すること
はできないはずである。

 前出の貨幣・非貨幣の分類を前提とする議論では、短期保有目的の有価証券
(現行の売買目的有価証券)以外の有価証券は、いずれの見解においても非貨
幣資産とされ、いずれも原則として取得原価による評価としていたからである。

 金融商品会計基準では、「金融資産・実物資産」という分類を前提としてい
るのである。



 さて、読者諸君は、金融資産たる有価証券の意義を正しく理解できたであろ
うか?




 以上の正しい理解を前提として、少々補足的な説明、つまり、「金融商品会
計基準では、同じく金融資産たる有価証券(の項目)として規定される売買目
的有価証券以外の有価証券について、何故基準上における扱い(評価)が異な
るのであろうか?」があるが、これは次回でということにしよう。




 今回は、以上である。









 なお、本mailmagazineの発行に関する情報は、HBAのHP「お知らせ & 
トピックス」に掲載しますので、そちらで確認をしてください。



 ※HBA/「お知らせ & トピックス」はこちら >>>







◇ =============== =============== ============= =================

◇ =============== =============== ============= =================

◇◇◇今回の問題◇◇◇

 本信での内容が金融資産に係る前提的な議論内容であることに鑑み、今回の
出題はお休みです。










◇ =============== =============== ============= =================




◎解答・解説(一部または全部)は次回のメールマガジンにおいて掲載する予
 定です。
 また、次回メールマガジンの発行日の翌日以降、当アカデミーの『HBAメ
 ールマガジン』のコーナーにも解説を掲載します。
 
 ※HBA/メールマガジンのコーナーはこちら >>>

◎当mailmagazineの休刊等の情報については、HBA/「お知らせ & トピッ
クス」に掲載します。

 ※HBA/「お知らせ & トピックス」はこちら  >>>
 ※HBAの資料請求はこちら >>>
※※HBAの内容等に関する問い合わせはこちら >>> ◇ =============== =============== ============= ================= ◇ =============== =============== ============= ================= ◆◆◆前回の問題◆◆◆ =============== =============== =========== 問題  引当金に関わる以下の問に答えなさい。      問1  偶発事象および偶発債務を簡潔に説明しなさい。(6行) 問2  ある会社に関する係争事件が発生し、提訴され損害賠償請求の裁判が進行し ている段階において、当該事象に関する偶発債務もしくは引当金の取扱いにつ いて検討しなさい。(7行) 問3  未確定債務という意味では同じであるとされる未払費用と負債性引当金の異 なる点について説明しなさい。(6行) 〜問題に関する確認項目〜  本文にもあるように、繰延資産については将来的に消滅するものであること から、出題対象とはしなかった。  一方引当金については、偶発事象および偶発債務の理解が前提となるため、 それらに関して問うている。 ○偶発事象および偶発債務の理解があるか? ○引当金は偶発債務である理解がある? ○発生の蓋然性のレベルに応じて偶発債務の会計上の取扱が異なることについ ての理解があるか? ○未払費用と負債性引当金の異同についての知識があるか? ・解答行数:上記各問題文末参照。  ・満点  問題1       問1:各15点×2=30点       問2:40点       問3:30点      以上合計:100点。 ◆◆◆前回の問題の解答・解説◆◆◆=============== ============ ==== ◆【解 答】◆◆=============== =============== ============ ======= 問1  偶発事象とは、貸借対照表日において存在する状態または状況であって、そ の最終的な結 末としての利得または損失が未確定な将来事象の発生または不発生によっての み確認されるものをいう。  また、偶発債務とは、債務の保証、引渡済の請負作業又は売渡済の商品に対 する各種の保証、係争事件に対する賠償義務、先物売買契約、受注契約その他 現実に発生していない債務で将来において当該事業の負担となる可能性のある ものをいう。 問2  この場合、裁判の進行状況が企業にとって有利かまたは不利かの蓋然性の鮮 明度を判定する。すなわち、勝訴の可能性または敗訴の可能性、和解の可能性 等、移行していく状況および裁判の進行における環境の変化に伴う判断を的確 に行う必要が生じてくる。したがって、この段階においては、債務である引当 金の計上か、偶発債務としての認識かを区別することが重要である。注記によ って開示される偶発債務は、損失の発生の可能性が高く、かつある程度予想さ れるもののうち、損失金額の合理的な見積が可能であるとして引当金の計上を 行ったもの以外のものである。 問3  未払費用は、一定の契約に従い継続的に役務の提供を受ける場合に、既に提 供された役務に対して、未だその対価の支払いがなされていないものであるか ら、既に役務を費消していること、また特定の支払先および支払期日が確定し ていること、その計上額が契約により確定している支払対価額を基に時の経過 により合理的に配分したものであるのに対し、引当金は、財貨・用役の費消は 将来であること、特定の支払先もしくは支払期日が未確定の場合があること、 金額は未確定であることから、合理的な決定されるものの見積りにもとづいて いる。 ◆【解 説】◆◆=============== =============== ============ ======= 【総 説】  一般に、引当金は、期間損益計算の適正化の観点から、費用収益対応の原則 の下、発生主義の原則によって認識されると説明されるが、発生主義による説 明が整合しないことが指摘される。このことの理由を引当金の本質を理解する ことによって、見破っておかなければならない。このことは、会計的な負債を 理解する上でも重要であり、本問は偶発事象もしくは偶発債務の理解を前提と した引当金の理解を問うものである。  実は、本問の内容は、私が本問(本信での出題はその一部)を作成した後、 暫く経って、本試験において出題されている。  当然のことながら、当時の巷の受験学校の“模範解答”なるものでは、せい ぜい満点の15%ぐらいを取るのがやっとという内容であった。  その本試験の問題と解答・解説は、HBA・HPの「自習室」に掲載してあ るので、参照してみると良いであろう。  HBA・HPの「自習室」はこちら >>>
 ちなみに、当該本試験問題は、【論述式本試験の過去問解説】「2000年度/ 論述式本試験・財務諸表論(第四問)」の「問1」である。




【各 説】

1.引当金計上の要件
  (1) 将来の特定の費用又は損失であること
  (2) その発生が当期以前の事象に起因すること
  (3) 発生の可能性が高いこと
  (4) 金額を合理的に見積ることができること

 「企業会計原則注解」注18は、引当金計上の要件として上記の4つを示して
いる。


 しかし、上記の要件については、一般に正しく理解されてはいない。そこで
以下に上記の「企業会計原則注解」注18に規定される引当金の計上要件に関す
る正しい理解をしめしておく。


(1)「将来の特定の費用または損失」について:
 「特定の」ということから、費用または損失が個別的に確認できることが要
求され、事業全体に予測されるような将来の一般的危険に対しては引当金を計
上できない。


(2)「将来の特定の費用または損失の発生が当期以前の事象に起因する」とは
将来なんらかの事象が生起し、その結果として特定の費用または損失が実現す
ると予想されるときに、将来における事象の生起する原因となる事実が当期以
前に存在していることである。


 引当計上を行う決算期の事象(それ以前の期の事象であることもある)と将
来における事象の間に因果関係が要求されているのである。当期以前における
起因事象とは、例えば、売上割戻引当金の場合では、売上割戻しが行われる商
品の販売事実である。


(3)「発生の可能性が高い」とは、将来において費用または損失を生ぜしめる
事象の生起する確率が高いことを意味している。

 これは、FASBステートメントにいう事象の発性可能性―(イ) 可能性が高い(
probable):将来事実が発生する見込みである。(ロ) 可能性がある程度ある(
reasonably possible) :将来事実の発生がなくはないが大きいわけではない。
(ハ) 可能性がほとんどない(remote):将来事実の発生の機会はわずかである。
―のうち、(イ) に相当するものとされている。


(4)「金額を合理的に見積ることができること」について:
 これは2つの内容を含んでいる。一つは見積り方法の合理性であり、他の一
つは見積りにより算定した金額の合理性である。


 これらの4つの要件を充足するものが引当金として計上されることになる。

 したがって、例えば、数年後に予定されている創立記念事業のための支出に
備えて、創立××周年記念事業引当金を設定しようとする場合、(2)の要件を
充たしているとはいいがたく、引当金の計上は認められない。


 また、自社製品を販売し、その結果生じ得る将来の損害補償損失に備え、損
害補償損失引当金を設定しようとしても(3)ないし(4)の要件を充たさない限り、
引当金の計上は認められない。





2.事例による検討(係争事件の場合における会計上の取扱い)

 現状では、情報の多様化、産業技術の高度化・複雑化等に伴って、それら技
術を使用ないしは利用するに際して、各種の権利義務および使用対価の有償・
有無をめぐる係争事件も、多発してきている。このような係争事件に関する情
報ないし会計方針を企業がどのように開示し、利害関係者に情報を提供するか
は、企業の秘密保持の面をも考慮に入れなければならないため、企業にとって
今後ますます重要な課題となろう。


 通常、各種の公害等に係る係争事件については、被害者が環境汚染等の公害
により損害を被った状態または状況の認識を確認させるまでに相当の期間が経
過しているものである。訴訟事件として裁判所に起訴された場合でも、裁判の
進行状況と損害の状態または状況の認識は、次のごとく時系列的に進展してゆ
き、それに伴って会計上の取扱いに対する判断も、その展開いかんによって左
右されるものである。


(第1段階)係争事件が発生し、裁判所に提訴された場合:


 係争事件が発生した時、重要な訴訟事件等である場合は、その概況を財務諸
表に記載することになる。この重要性の判断は、損害賠償の金額による重要度
の判断が中心となるが、これらの訴訟は企業の将来の経営基盤を揺がすほど重
要な問題に発展することも多いので、開示に際しての重要性の判断については、
慎重性と長期的な展望をもつことが必要とされる。


(第2段階)裁判が進行している段階:


 裁判の進行状況が企業にとって有利かまたは不利かの可能性の鮮明度を判定
する。すなわち、勝訴の可能性または敗訴の可能性、和解の可能性等、移行し
てゆく状況および裁判の進行における環境の変化に伴う判断を的確に行う必要
が生じてくる。


 この段階においては、債務である引当金の計上か、偶発債務としての認識か
を区別することが重要である。注記によって開示される偶発債務は、「損失の
発生の可能性が高く、かつある程度予想されるもののうち、損失金額の合理的
な見積が可能である」として引当金の計上を行ったもの以外のものが開示の対
象となるのである。


(第3段階)裁判の最終審で判定が決定した段階:

 裁判の最終審での決定によって、例えば敗訴した場合、当該損失は債務その
ものとして認識・測定され、流動負債または固定負債に計上されなければなら
ない。なお、一審判決後控訴手続をとった場合、会計上少なくとも、引当金を
設定しておくことが妥当な処理といえよう。








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