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                                                       2009.8.31発行
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《第37講》「各論一考/その七」
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◇《今日の一言》◇ =============== =============== =============== 

 読者の皆さん、こんにちは!!


 読者の皆さんには、またまた、大変なご無沙汰で申し訳ありません。

 ただただお詫びする次第です。

 何を言ってもただただ言訳となりますので何も言いません。

 それでもなお、登録を継続していただいている読者の皆さんには、多大なご
心
配をおかけし、心より申し訳なく思っている次第です。





 さて、前回の時よりも間が空いてしまったのだが、今回は「一般原則」に関
しては最後となる「資本と利益区別の原則」である。

 現状の企業会計(制度会計)では「資本」とは何かということがだいぶ分か
りずらくなっている。

 その最大の原因が「資本金および法廷準備金の取崩しの会計処理と表示」の
規定であり、また、「資本の部」を「純資産の部」として表示することが規定
された理由である負債とも資本とも明確には定義できない項目(会計事象)が
生じたこともその原因である。


 そこで、今回は「資本と利益区別の原則」が一般原則に規定されている意義
を再確認することにしようと思う。


 まずは、(1)資本と利益区別の意義についてである。

 企業会計上、資本それ自体の直接的な変動に関する取引(資本取引)と資本
の運用に関する取引(損益取引)とを明確に区別するとともに、それらの取引
によって生ずる資本(元本としての資本金および資本剰余金)と利益(利益剰
余金)を明確に区別しなければならない。

 なぜなら、これら両者の混同は、財政状態および経営成績を歪め、資本の侵
食または利益の隠蔽をきたすことになるからである。


 実は、上記の説明から、「資本取引」から生ずるのが「資本」であり、「損
益取引」から生ずるのが「利益(損失)」であると誤解されているのが巷一般
である。

 しかし、概念的には、その関係は逆であり、「資本」の概念(ストックの概
念)から「資本取引」(フローの概念)が導かれ、「資本」の概念を前提とし
て、「利益(損失)」の概念(ストックの概念)が導かれ、それを前提として
「損益取引」(フローの概念)が導かれる関係にある。

 上記一般原則の「資本と利益区別の原則」での規定文言をそのまま読んで説
明する者は、

『「資本取引」から生ずるのが「資本」です。また、「損益取引」から生ずる
のが「利益(損失)」です。』

と、そのま〜んまなのだが、それは「結果」の説明、つまり、『線路の上を走
るのが電車(列車)です』というのと同じであり、結果としての状況を説明し
ているに過ぎないのである。

 本質は、「電車(列車)の存在を前提として線路が存在する」のであるが、
巷一般には、結果としてのただの「状況」の説明があたかも真理のように誤解
されているのである。


 したがって、「資本の概念」(ストックの概念)が変われば、「資本取引」
(フローの概念)の内容も変化することになる。



 次に、(2)資本・利益区別の必要性についてである。

 資本と利益との区別、したがってまたそれらの源泉(単なる原因と結果の意
味であり、概念的な関係の意味ではない)をなす資本取引と損益取引との区別
は、それが企業の財政状態および経営成績の適正な表示という企業会計本来の
目的の達成のために不可欠である。

 企業会計は、企業資本の運動を有機的・統一的に把握することによって、企
業資本の期間増殖高(利益)と期末有高構成(資産・負債・資本の状況)とを
算定・表示することを課題にしている。

 この場合、企業資本の増殖高(利益)というのは、企業資本の運動に基づい
て生ずる資本の稼得額を意味する。

 これらの資本の稼得額は、利益処分等の後、稼得資本として資本の一部を構
成することになるが、それは元手として運用され費消された資本の額を超える
余剰分に他ならない。

 他方、企業資本は、上記のような資本運動以外の原因によって増加する(例
えば、増資による増加などがそれである)。

 しかし、この場合の増加は、あくまでも資本の増殖のために運用される元本
それ自体の増加額であって、資本の運用によって初めて生ずる資本の増殖額と
しての利益とはその性格を異にする。

 したがって、企業会計上、資本の運用に関する取引つまり損益取引と、資本
それ自体の直接的な変動に関する取引つまり資本取引とを、明確に区別する必
要があるのである。

 したがってまた、このことは資本の増殖額として稼得された利益が、その後
資本(利益剰余金)としてストックされた場合においても同様である。

 すなわち、その意味で、ストックたる資本剰余金とストックたる利益剰余金
とを明確に区別しなければならない。

 これら両者を混同した場合は、財政状態と経営成績とが曖昧になるとともに、
利益の隠蔽または資本の侵食をきたす結果となる。



(3) 資本と利益の区別の基準としての(維持)拘束性と処分性

 実は、これが当該「資本と利益区別の原則」の真意である。

 この維持拘束性(維持拘束されるべき自己資本部分、すなわち資本)を取上
げる場合、「企業会計原則」は、企業の社会的性格つまりその社会的な給付機能
に視点を置き、その立場から社会的な給付機能を持続するための経済活動基金
(経済活動の基礎となる資金)としての(維持)拘束性を重視するのである。

 これに対して、会社法における計算規定は、企業、特に株式会社の有限責任
制に視点をおき、債権者に対する株主の責任限度額としての拘束性を重視する。

 つまり、資本と利益との区別に関して、「企業会計原則」は、各種の利害関
係者によって構成された社会的な給付機能を持つ組織体としての企業の本質を
捉え、そのような企業観を前提として資本を概念するのに対し、会社法におけ
る計算規定は、株式会社における株主の責任を重視する立場から資本を捉える
のである。

 したがって、「企業会計原則」における資本取引は、企業の社会的な給付機
能を持続するための基金の直接的増減取引として規定されることになり、必ず
しも株主による出資・減資取引に限定されないのである。

 なぜならば、社会的に必要な財貨・用役の給付活動を持続するための基金と
して維持すべき意図のもとに企業に対して提供された資金であれば、その提供
者が株主であると否とにかかわらず、それは資本を構成することになるからで
ある。

 つまり、この場合、誰が提供したかではなく、どのような意図に基づいて資
金を提供したかが、資本と利益とを区別する基準になる。

 したがって、処分性(利益)は、「企業会計原則」においては、社会的な給
付機能を維持するための基金(資本)の増殖分として処分性(利益)が規定さ
れ、会社法の計算規定においては、会社の実質的所有主としての株主の責任限
度額である出資額(資本)の増殖分として、処分性(利益)が概念されること
になる。


 ここに従来からずっと延々と企業会計と会社法(旧商法時代から)との間で
解決のつかない資本項目(会計上の資本項目)の問題の原因が存在するのであ
る。

 既に読者諸君は承知とは思うが、上記のギャップによって問題となるのは、
評価替資本と受贈資本であり、会社法が貸借対照表の貸方側に債権者持分と株
主持分しか認めないというスタンスを替えない限りは、これらの資本項目の取
扱いについて、会計と会社法との調整は永遠につかないのである。



 読者諸君は既に承知とは思うが、念のため、上記に指摘する評価替資本およ
び受贈資本の項目について以下に確認しておくことにする。


1.資本修正取引に基づく資本剰余金

 この取引によって生ずる資本剰余金としては、貨幣価値が急激に変動した場
合に、会計報告の有用性を確保するため、固定資産の評価替えを通して資本の
価額を現在貨幣価値に修正することにより生じる評価替剰余金(例えば、かつ
ての「資産再評価法」による再評価積立金)や、会社更生および整理などに伴
う固定資産の評価替による固定資産評価益、および貨幣価値変動に基づいて生
じた保険差益などがあげられる。


(1) 会社更生・整理による固定資産評価益

 固定資産評価益は、会社更生および整理などに伴う固定資産の評価替による
固定資産評価益をいう。会社更生および整理(準更生)の場合には、固定資産
の評価額を時価によって評価することが認められる。

(2) 貨幣価値変動に基づいて生じた保険差益

 保険契約の対象とされる財産の一部または全部が滅失して、保険会社から保
険金を受取った場合に、その保険金が滅失した資産の被害直前の帳簿価額を超
えるとき、その差額部分を保険差益という。

 保険差益のうち、貨幣価値の下落によって生じた部分は、資本の価値修正に
基づくものと考えられ、資本剰余金としての性質をもつ。

 保険差益は、保険の対象となっている資産が災害や事故によって、被った損
害に対して、保険契約に基づいて受け取った保険金が実際の損害額を超える場
合のその超えた金額をいうが、その差額が貨幣価値の変動を原因として発生し
たとみなされる時には、保険差益は再評価積立金と同様の性格をもつと考えら
れる。



2.贈与取引に基づく資本剰余金

 会計上、株主の払込資本の他に、贈与取引に基づく剰余金のうち、贈与者の
意図によって維持すべき元本たる資本としての性質を備えているものは、株主
の払込資本と同様に維持すべき資本として取扱われる。

 贈与剰余金には、資本助成を目的とする国庫補助金および工事負担金、資本
填補を目的とする私財提供益および債務免除益などがある。

(1) 資本助成を目的とする国庫補助金

 政府・地方公共団体などから、資本助成を目的として、補助金を交付される
ことがある。これは企業が経営成果として獲得したものではなく、企業が、経
営上、必要な長期使用資産の購入・製作などに要する資金としてそれらの団体
などが拠出したものである。

 したがって、このような交付を受けた国庫補助金は、その性質上、資本剰余
金として維持し、社外に流出してはならない性質のものである。

(2) 資本助成を目的とする工事負担金

 電気事業・ガス事業などにおいて、電気またはガスなどを供給するのに必要
な施設を施すために、需要者から工事負担金として、工事に要する金銭や資材
の提供を受けることがある。

 それが企業に対する資本助成の目的のためのものであれば、実質的には、国
庫補助金と同じように、施設利用者による資金の拠出であるから、資本剰余金
として維持されなければならないことになる。

(3) 資本填補を目的とする私財提供益・債務免除益

 私財提供益とは、会社役員や株主などによる会社に対する私財提供が行われ
た場合に生じる剰余金であり、また、債務免除益とは、債権者が会社に対する
債権を免除した場合に生じる剰余金である。

 これらの贈与取引が、会社の資本の欠損の填補を目的として行われる場合に
は、名目のいかんを問わず社外に流出させるべきではなく、この意味において、
それは資本剰余金としての性質をもつことになる。



 さて、一般原則に規定される「資本と利益区別の原則」の本質的な趣旨を確
認するには以上で十分ではないだろうか。





 さて、今回は少々短いがここまでである。



 次回以降については以下の「雑感」を参照されたい。


 継続するべきか否か悩んでいる次第です。


 勿論、悩める結論は登録読者の皆さんには、当メールマガジンかHBA/H
Pで必ずお知らせします。


 では!!









 なお、本mailmagazineの発行に関する情報は、HBAのHP「お知らせ & 
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さい。  ※ HBA/メールマガジンのコーナーはこちら >>> ◇ =============== =============== ============= ================= ◇ =============== =============== ============= ================= ◇◇◇今回の問題◇◇◇  都合によりお休みです。 ◇ =============== =============== ============= ================= ◎解答・解説(一部または全部)は次回のメールマガジンにおいて掲載する予  定です。  また、次回メールマガジンの発行日の翌日以降、当アカデミーの『HBAメ  ールマガジン』のコーナーにも解説を掲載します。    ※HBA/メールマガジンのコーナーはこちら >>>
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ここでは会計理論の本質的な理解が正しくあるか否かが問われるのであり、 意義・要件を暗記していれば何とかなるなどと安易な考え方の受験生は本問の 満点の20%〜30%ぐらいを得点するのが精一杯かもしれない。  同じ題材であっても出題の仕方はいろいろある。だからこそ、問題の山当て などではなく、「解答」の山当てができる学習が必要になる。 ○「明瞭性の原則」が「公開性の原則」とも呼ばれる理由を知っているか? ○「重要性の原則」の2つの側面について正しい理解があるか? ○「明瞭性の原則」が会計情報の開示においていかなる機能を担うものである  とはいかなる意味かの理解があるか? ・解答行数:上記各問題文末参照。  ・満点  問題1       問1:  10点       問2:(1)10点 (2)20点       問3: 20点       問題2: 25点  (合計  85点満点) ◆◆◆前回の問題の解答・解説◆◆◆=============== ============ ==== ◆【解 答】◆◆=============== =============== ============ ========== 問題1 問1 保守主義の原則は、不確実性下の経済社会において、将来生ずるかも知れな い不測のリスクに備えて、企業の財政的基盤をできるだけ強固なものにし、も って企業経営を安全に遂行しうるように配慮すべきことを要求する原則である。 (10点) 問2 (1) 意義 明瞭性の原則は、企業の利害関係者に企業の状況に関する判断を適切に行う ために必要な会計情報を、財務諸表によって明瞭かつ十分に開示すべきことを 要請した原則である。 (10点) (2) 理由 現行の制度会計では会計処理の原則および手続の採用にあたって選択の余地 が与えられているために、代替的会計処理方法からいずれを採用したかの会計 方針を財務諸表に開示しなければ、情報利用者は財務諸表に掲載された会計数 値の基礎や根拠を正しく理解しえないし、また異なる会計方針による企業間の 比較も適切に行うことができない。そのため、これら会計方針に関する情報も 開示されなければ、「真実な報告」たりえない。 そこで、現行の制度会計の下における明瞭性の原則は、利害関係者一般に対し て広く財務諸表を通して、記録計算結果を開示するだけではなく、会計方針つ まり結果が導き出されるに当たりその前提となった処理の仕方の公開をも要求 するため、公開性の原則と呼ばれるのである。(20点) 問3 重要性の原則は、広義には2つの側面をもっている。その1つの側面は、「 重要性の高いもの」の明細記録・表示の原則としてのものである。これは、本 質的に理論上の原則であり、「真実な報告」を支える性質のものである。しか し、この意味での重要性の原則は、会計原則の体系の上では明瞭性の原則に包 摂され、明瞭表示の具体的方法に関する1つの判断基準として理解される。 もう1つの側面は、「重要性の乏しいもの」の記録・表示の省略容認の原則 としてのものである。これは、会計事実の記録・表示の省略であるがゆえに、 本質的には理論上の原則ではなく実務上の便宜的な原則である。つまり、それ を守らねば「真実な報告」としての適格性を欠くといった性質のものではない。 (20点) 問題2 現行の制度会計のもとにおける明瞭性の原則は、公開性の原則ともいわれ、 利害関係者一般に対して広く財務諸表を通して、記録計算結果を開示するだけ でなく、会計方針つまり結果が導き出されるにあたりその前提となった処理の 仕方の公開をも要求するものである。したがって、そこでは、記録計算の背後 にある計算事実や、企業によって選択適用された会計処理の原則および手続を も明瞭に表示することが要請されるのである。 したがって、現行の制度会計のもとにおける明瞭性の原則は、このように報 告の側面を規制し経理の公開を要求することを通して、内面的には会計処理の 真実性を間接的に促進させる機能を、そして外面的には会計報告の有用性を積 極的に充実させる機能を担うものであるとみることができる。(25点) ◆【解 説】◆◆◆ =============== =============== ============ ======= 【出題の趣旨】  一般原則は、会計の目的である「真実な報告」を行うための包括的原則であ り、その構成は、真実性の原則を頂点に他の6つの原則が真実性を支える原則 として位置づけられている。  本問では、一口に「真実な報告」といっても、その内容を具体的にどのよう に捉えるべきなのか、会計構造論とも密接に関連して、各一般原則の意味と「 真実な報告」との関連性について、体系的な理解を問うている。 【解説】 問題1 問1 保守主義の原則は、本来保守的な会計思考から要請されるものであり、適当 に健全な範囲で利益を少な目に計算させようとする思考の現われであり、むし ろ分配可能利益の算定に馴染むものである。したがって、その本来の趣旨から すれば、企業の収益力を算定することを目的とする期間利益計算には一見馴染 まないものである。  しかしながら、承知のように、動態論の会計構造を前提とする今日の企業会 計が規範とする「企業会計原則」において、一般原則に厳然として両者が規定 されている。本問の出題趣旨はここにある。 【保守主義の原則】 (1) 保守主義の原則の意義  保守主義の原則は、会計の成立当初から存在する基本原則であるが、この原 則は、不確実性下の経済社会において、将来生ずるかもしれない不測のリスク に備えて、企業の財政的基盤をできるだけ強固なものにし、もって企業経営を 安全に遂行しうるように配慮すべきことを要求するものである。 (2) 保守主義の原則の必要性  収益力の表示を基本目的とする近代会計においても、企業の継続、したがっ てまた投下資本の回収維持計算を前提条件とする限り、利益の過大表示を避け るための健全な会計処理の必要性を否定することはできない。  したがって、この保守主義の原則は、現行会計の構造を前提とするかぎり、 これを認めざるをえないものであって、継続性の原則と同様に会計の実質面に 関する基本的な包括原則であり、有用な会計報告、つまり「真実な報告」を支 えるための基本原則として、その理論性が認められるべきものである。  しかし、過度に保守的な会計処理を行うことは、企業の財政状態および経営 成績を歪め、真実な報告に反するものであり、「過度の保守主義」として否定 される。 問2  財務諸表は、企業と利害関係者を結ぶコミュニケーションの手段である。と するならば、その財務諸表は、どのような記録に基づき、また、いかなるルー ルに準拠して作成されるのかということを正しく知らなければ、利害関係者は 安心して財務諸表を自己の意思決定のための判断資料として利用することはで きないのである。ここでは、このことの理解があるかどうかが十分な解答を書 くことができるかどうかの分かれ目である。  会計情報を含めて情報たるものは、情報の利用者に正しく伝達されてはじめ て有用な情報たりえるのである。日頃簿記の計算において、減価償却計算など 計算手続的には当たり前になっている受講生の皆さんにとっては、あらためて 会計処理方法のもつ意義を会計学的に考えておく必要があろう。 【明瞭性の原則】 (1) 明瞭性の原則の意義  明瞭性の原則は、企業の利害関係者に企業の状況に関する判断を適切に行う ために必要な会計情報を、財務諸表によって明瞭かつ十分に開示すべきことを 要請する原則である。 (2) 明瞭表示の意味  明瞭性の原則は、公表財務諸表の作成形式に関する包括的な基本原則である。 現行会計制度における会計情報の開示目的は、現在株主および債権者だけでな く、将来の投資家をも含めた利害関係者一般に対して意思決定資料を提供する ことにあるから、したがって、ここでの明瞭表示とは、そのような利害関係者 の関心に適合した表示であることを意味する。  ※現行の制度会計の下における明瞭性の原則は、公開性の原則ともいわれる   ように、利害関係者一般に対して広く財務諸表を通して、記録計算結果を   開示するだけでなく、会計方針つまり結果が導き出されるに当たりその前   提となった処理の仕方の公開をも要求するものである。したがって、そこ   では、記録計算の背後にある計算事実や、企業によって選択適用された会   計処理の原則および手続をも明瞭に表示することが要請されるのである。  したがって、現行の制度会計の下における明瞭性の原則は、このように報告 の側面を規制し経理の公開を要求することを通して、内面的には会計処理の真 実性を間接的に促進させる機能を、そして外面的には会計報告の有用性を積極 的に充実させる機能を担うものであるとみることができる。  (注)ただし、ここで注意しなければならないことは、経理の公開といって   も、それは企業経理の完全公開までをも要求するものではないということ   である。これは、現代の企業が常に資本主義の経済競争にさらされており、   企業目標の達成上、機密に属する事項が存在するだけでなく、すべての事   項を細大洩らさず無差別に表示することは、かえって明瞭表示の主旨に矛   盾する場合があるからにほかならない。 問3  「企業会計原則注解」注1の重要性の原則が省略容認規定であることを暗記 によって知っている受講生は多けれど、それが本来の重要性の原則の意義の一 側面でしかないことを知っている受講生は少ない。  「真実な報告」を支える原則たり得るためには、その原則を遵守しなければ その情報は真実たり得ないと理解するところに意義があるものである。このこ とからすれば、重要性の原則の理論的な側面(現一般原則においては明瞭性の 原則に包摂されていると解される)は、その意味で「真実な報告」を支える原 則と言いうるものである。  しかし、「注解」注1の重要性の原則を「真実な報告」を支える原則として 位置づけることにはならないであろう。なぜならば、省略をすることによって はじめて「真実な報告」たり得ることになるからである。  したがって、「注解」注1は実務的便宜性からの省略容認規定と理解するこ とが合理的であろう。この点の理解をもっているかどうかが、十分な解答たり 得るかどうかの差となろう。 【重要性の原則】 (1) 重要性の原則の二面性  前出の一般原則の他に、会計の全般に関わる包括原則として、重要性の原則 がある。この重要性の原則は、正規の簿記の原則・明瞭性の原則等と密接な関 係がある。  重要性の原則は、広義には2つの側面をもっている。その1つの側面は、「重 要性の乏しいもの」の記録・表示の省略容認の原則であり、他の側面は、例え ば、関係会社や従業員等との債権・債務関係を区別して記録・表示するように、 「重要性の高いもの」の明細記録・表示の原則としての性格をもっている。  前者は、会計事実の記録・表示の省略であり、本質的には理論上の原則では なく実務上の便宜的な原則である。つまり、それを守らねば「真実な報告」と しての適格性を欠く、といった性質のものではない。  これに対して、後者は、本質的に理論上の原則であり「真実な報告」を支え る性質のものである。この意味での重要性の原則は、会計原則の体系の上では 明瞭性の原則に包摂され、明瞭表示の具体的方法に関するひとつの判断基準と して理解される。 (2)「重要性の乏しいもの」に関する実務上の便宜性に基づく省略容認規定 としての重要性の原則  「重要性の乏しいもの」に関する実務上の便宜性に基づく省略容認原則とし て重要性の原則を取上げる場合、「重要性の乏しいもの」を何によって判断す るかが問題となる。 この判断基準は、一般的・抽象的には、「真実な報告」に反しない限り、つ まり利害関係者に対する会計報告の有用性に支障を来たさない限り、という点 に求められるべきである。  具体的には、期間的な経営成績および財政状態(資金規模)の判断に支障を 与えないことがその当然の適用条件であるから、省略容認事項には継続的な適 用を条件として発生の経常性と金額の僅少性とが不可欠の要件となる。 問題2  問題1・問2の「明瞭性の原則」の解説を参照。 ◆ =============== =============== ============= ================= ◎メールマガジンのバックナンバーは、当アカデミーの『HBAメールマガジ ン』のコーナーでもご覧になれます。    ※HBAメールマガジンのコーナーはこちら >>>
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※メルマガの購読中止は上記ホームページでもおこなうことができます。 ※まぐまぐ!サイトでのメルマガの購読中止はこちら >>> □ 雑 感 □=========================== ◎さて、現在、当メールマガジンは「まぐまぐ!」さんにお世話になり、その 「まぐまぐ!」さんにも発行の遅延からご心配とご迷惑をおかけしている(登 録読者の皆さんに関しては勿論ですが)ことから、現在の「各論一考」が今回 取り上げた「資本と利益区別の原則」で、個別財務諸表に関する主な内容で、 巷一般には正しく理解されてはいない部分(勿論、他にもまだまだあるのだが )については一通りの考察が終わる事から、「まぐまぐ!」さんからの発行を 一旦終了し、会計士レベルの論点以外の部分をも取り上げた、例えば、会計士 試験の学習を始めるに際しての会計学の学習の将来を有意義なものにする視点 を養う簿記3級の学習などといったものや、他の分野で会計学の学習、もしく は会計士としての視野を広げるのに役立つ題材を取り上げる「HBAmagazine」 なるものをHBA/HP上で公開しようかと思案中です。  この「HBA magazine」は随時発行となる予定であり、今までの HBAmailmagazineのように、会計エッセンスのぎゅっと詰まった解説だけでは なく、もう少しリラックスした基調の内容も含んだものにしようかと考えてい ます。  しかし、当HBAmailmagazineで扱ってきたような会計のエッセンスで、巷の 受験学校などでは到底知ることができない内容は、個別財務諸表論に関するも のやそれ以外でもまだまだ多くあり、それらを取り上げる場合には当 HBAmailmagazineと同じ基調になる場合もあると思います。  また、監査論に関しては当初のところで、監査リスク・アプローチの基本的 考え方の入り口に触れただけで、その後今まで取り上げてはいなかった(会計 学をまずは重点的に一通りと思ったこともあり)ので、それらも取り上げてい こうと思っています。  当HBAmailmagazineでは「まぐまぐ!」さんに大変お世話になり、当初かよ うな内容を活字で説明することに不安を抱いていた私も、次第に何とか及第点 の文章を提供できるようになり、大変感謝している次第です。  ただ、現在登録の読者の皆さんには、現在のメール形式での自動配信とは違 いHBA/HPでの閲覧となることから、多少のご不便をおかけすることにな るかもしれません。  しかし、良いもの、読者の皆さんに有意義なものを提供するということと、 定期の時間的制約は私の場合には大きなジレンマとなっている(自分が納得で きないものは提供できない)ことも事実であり、また、HBAのテキストに沿 った講義をするのであれば、内容が完成しているだけにこのようなジレンマに は陥らないのですが、それでは現HBA会員の利益を大きく削ぐことにもなり、 したがって、以上のような思案をするに至った次第です。  そうは言っても、私の周りではなお、今まで通りに「まぐまぐ!」さんから のHBAmailmagazineの発行を支持する者も多く、また、事実現在のHBAの会 員のほとんどが当HBAmailmagazineでHBAを知ったという方であることから も、このまま継続することの意義も十分承知している次第です。  いずれにしても、現状でのHBAmailmagazineの登録読者の皆さんには、発行 者としての責任上、現状を説明しておかなければならないと思った次第です。  いずれ、近い内には意思決定をすることになると思いますが、その場合には、 このまま継続する場合でも、切り替えの場合でも登録読者の皆さんにはお知ら せいたします。  それではまた次回に!! =================================== 暗記を強要される受験勉強って間違っている。HBAでは公認会計士試験の早 期合格を目指す諸君に、本質的な講義内容を提供します。当メルマガの有意義 な問題にチャレンジして、早期合格を目指しましょう。