【HBA王道セミナー】すべての理解は基礎理論の理解にあり!!基礎理論の
理解無しに応用など存在しない。




                                                        2010.3.3発行
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《第39講》「各論一考/その七に関連してのつづき」
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◇《今日の一言》◇ =============== =============== =============== 

 読者の皆さん、こんにちは!!

 本信の発行が予定より約一ヶ月程の遅れとなり申し訳ありません。

 2月上旬のサーバーの移転に関しては、当初意外にスムーズだったと思って
いたのですが、トラブルを知らなかったのは本人だけで、メールフォームは従
前のものがまったく使えない状態であったことに4〜5日後に気が付いてからは、
移転に伴う様々な“事件?”が勃発し、2月は疲れ果ててくたばった日以外は
毎日のように終日HP関係の事件解決に費やした次第です。

 そのため、本信の発行が1ヶ月ほど遅延する結果となりました。申し訳あり
ません。

 このところ、発行の度に書き出しではいつも「お詫び」の口上ばかりのよう
ですいません。





 さて、ではまず前信の終わりのところを復習しておくことにしよう。


 前信の終わりのところでは、以下のようであったと思う。

 会計学者は、資本および資本準備金の取り崩し額を配当財源に充当するに当
たり、資本金および資本準備金の取り崩し部分と利益剰余金の部分とを区別す
べきことを主張した。その結果、現行貸借対照表の純資産の部においては配当
財源の“源泉別”区分として、その財源の資本剰余金部分(本来の源泉別分類
における資本剰余金)と利益剰余金部分とを区分表示する形式となった。

 がしかし、その配当財源における資本剰余金部分と利益剰余金部分の区分表
示を勝ち取った思っている会計学者を尻目に、当時の当該事項に係る座談会な
どで会社法の学者達は「どちらにしても配当財源ですから、我々にとっては両
者を区別しようががしまいがどうでもいいことです」と皮肉たっぷりに言い放
っていた。

 つまり、会社法は「表示形式」にこだわる会計学者にその“形式”を与えて
満足させ、その上で自分達は「配当財源」という実質を手に入れたというので
ある。

 “形式”という皮を切らせて勝った気にさせておいて、配当財源という肉と
骨をばっさりと切り取ったというわけである。

 かくして、またまた結果は会社法(旧商法)の大勝利となった様子だが、会
社法の学者達が皮を切らせて肉と骨を切ったという配当財源における資本剰余
金と利益剰余金の区分表示は、本当に“皮”を切らせただけ、つまり、会計学
者は単に“皮”を切らされただけの意義しかないのだろうか???




 さて、ここで「資本」(会計学であれ、会計実践であれ)を考える時に常に
頭に置いておかなければならないことがある。

 それは、「資本」と「利益」を考える場合には常に、その真意は「会計学」
の「資本」と「利益」に有り、会社法(旧商法)の資本と利益は実利的な便宜
上の「資本と利益(の区別)」でしかないということである。

 HBAのテキストでもそのことの本質を始めに示しているが、「会計学」に
いう「資本」と「利益」を区別する本質的な基準とは既に第37回のHBAメー
ルマガジンでも記したように、「(維持)拘束性」と「処分性」である。

 この「(維持)拘束性」(維持拘束されるべき自己資本部分、すなわち資本
)を取上げる場合、「企業会計原則」がそうであるように、会計学では企業の
社会的性格つまりその社会的な給付機能に視点を置き、その立場から社会的な
給付機能を持続するための経済活動基金(経済活動の基礎となる資金)として
の(維持)拘束性を捉えるのである。

 つまり、資本と利益との区別に関して、各種の利害関係者によって構成され
た社会的な給付機能を持つ組織体としての企業の本質を捉え、そのような企業
観を前提として資本を概念するのである。

 したがって、その場合における資本取引は、企業の社会的な給付機能を持続
するための基金の直接的増減取引として規定されることになり、必ずしも株主
による出資・減資取引に限定されない(いわゆる第三者持分ということ)ので
ある。

 なぜならば、社会的に必要な財貨・用役の給付活動を持続するための基金と
して維持すべき意図のもとに企業に対して提供された資金であれば、その提供
者が株主であると否とにかかわらず、それは資本を構成することになるからで
ある。

 つまり、この場合、誰が提供したかではなく、どのような意図に基づいて資
金を提供したかが、資本と利益とを区別する基準となるのである。

 したがって、処分性(利益)は、社会的な給付機能を維持するための基金(
資本)の増殖分として処分性(利益)と規定されることになる(会社法の計算
規定においては、会社の実質的所有主としての株主の責任限度額である出資額
(資本)の増殖分として、処分性(利益)が概念されることになる)。


 これが「会計(学)」において「資本」と「利益」を峻別する場合の本質的
な基準であり、したがって、この区別の基準を前提として、会計実践において
の「資本と利益の区別」も導き出されることになる。

 この場合において、企業資本の増殖高(利益)というのは、企業資本の運動
に基づいて生ずる資本の稼得額を意味し、これらの資本の稼得額は、利益処分
等の後、稼得資本として資本の一部を構成(単に純資産の部に計上されるとい
うだけの意味)することになるが、それは元手として運用され費消された資本
の額を超える余剰分に他ならない。

 他方、企業資本は、上記のような資本運動以外の原因によって増加(減少)
するが、この場合の増加(減少)は、あくまでも資本の増殖のために運用され
る元本それ自体の増加(減少)額であって、資本の運用によって初めて生ずる
資本の増殖額としての利益とはその性格を異にする。

 したがって、ここにストックの概念を前提とするフローの概念である損益取
引(資本の運用に関する取引)と、資本取引(資本それ自体の直接的な変動に
関する取引)を明確に区別する必要も生じることになる。

 このことはまた、資本の増殖額として稼得された利益が、その後資本(利益
剰余金)としてストックされた場合においても同様であり、ストックたる資本
剰余金とストックたる利益剰余金をも明確に区別しなければならないことを意
味するのである。


 さて、こう記してくればそろそろ前信での問いかけの答が見えてきたであろ
うか?


 現状でのように、資本金および資本準備金の取り崩し額を配当財源に充当で
きるようになった時、会計学者は資本金および資本準備金の取り崩し部分(資
本剰余金部分)と利益剰余金の部分とを区別すべきことを主張した。

 その結果、現行貸借対照表の純資産の部においては、配当財源の「源泉別」
区別として、その財源の資本剰余金部分(本来の源泉別分類における資本剰余
金)と利益剰余金部分とを区分表示する形式となった。

 このことについて会社法の学者達は、どちらにしても配当財源だから彼らに
とっては両者を区別しようがしまいがどうでもいいことだとして、源泉別に資
本剰余金と利益剰余金を区分表示することにこだわった会計学者に苦笑したが、
それは彼らが資本と利益の源泉別区分の本来の意味を承知していないことを自
ら認めるものであったのである。

 それは、会社法にとっては資本(自己資本)とは配当制限の要素としての意
味しかもたないからであり、株式会社の有限責任制という観点からの法規則で
ある会社法は、従前からその観点での資本の「拘束性」を重視するのである。
だからこそ、配当制限としての利益準備金の存在理由も説明され得るものでも
あるのだ。

 承知のように会社法(旧商法)は、資本準備金の定義をし、その存在理由を
説明している。というより、資本準備金に関してはその存在理由が必然的に説
明されるものである。

 しかし、利益準備金に関しては、旧商法の時代から、つまり、利益準備金が
規定された当初からその存在理由を説明してはいない。いや、旧商法(会社法
)は説明できないのである。

 説明するとしても、資本準備金の「クッション」の役割という何とも意味不
明の説明しかできず、それは利益準備金の存在理由が配当制限の「クッション
」の役割としてしか説明できないからである。

 企業によっては資本金よりも巨額に膨らんでしまった資本準備金を何とか利
用したいとの企業の意向によってせっつかれた議員のごり押しで、議員立法と
いう形での旧商法をも無視する蛮行が通ってからは、利益準備金の存在理由は
ますます、というより現状ではまったく無くなってしまったのである。

 そのことが現在の会社法規定には良く現れている。


 かくして、会社法が「表示形式」にこだわる会計学者にその“形式”を与え、
自分達は「配当財源」という実質を手に入れたと思い、“形式”という皮を切
らせて配当財源という肉と骨を切り取った(実質を手に入れた)と思ったもの
の、投資情報という観点からすれば会計学者は会社法の強圧の中で、きちんと
自分達の従来の立場を守り抜くことに成功していたのである。

 それは、会計(学)の本来の源泉別区別を表示(形式)上とはいえ取り入れ
させたことによって、企業にいずこの配当財源から配当がなされているかを開
示させ、企業の経営スタンス、経営状態、配当政策等に関する情報を投資家に
提供し、もって事実上は資本と利益の区別が破壊された中で投資意思決定情報
の本来の役割を何とか維持することに成功しているのである。


 承知のように、投資の前提は投資対象企業の「継続性」である。企業は継続
性が維持されて初めて投資家に取っての投資対象たり得るのである。

 したがって、その投資対象に関する投資の判断情報の観点からすれば、例え
ば、配当財源が利益剰余金よりも資本剰余金の金額が大きければ、投資対象と
して基本的には当該企業の経営状態に疑問符がつくのであり、もし、配当財源
が資本剰余金からだけであれば、投資対象の継続性にはかなりの疑義を抱かせ
ることになる。

 この資本金および資本剰余金の取り崩し額を配当財源に充当できるようにな
った現状を見ると、ある種バブルの時代のことを思い出す。

 当時の損益計算書では多くの企業がそうであったように、営業利益の段階で
は利益額が僅少またはマイナス(赤字)であるのに、営業外損益や特別利益・
損失(つまり、当該企業の主たる営業取引以外、例えば、有価証券の売買や土
地の売買などのいずれもバブルの影響の濃い取引)のところで大きくプラスに
転じ、当期純利益を巨額な金額として偽りの“業績良好”と高配当率をアピー
ルし、その偽りの業績と高配当率に惑わされた投資家の投資を駆り立てたもの
である。

 その後のバブル崩壊とともに、当期純利益とそれを財源とする配当率にしか
目がいかなかった多くの投資家の悲劇があり、そのことはまた、個人投資家が
如何に公表財務諸表を投資情報として正しく利用できないか、そこから真実の
情報を十分に読み取れないかということを物語るものでもあった。



 会社法の「資本」と「利益」の区別の基準は至って便宜的である。

 会社法における計算規定は、企業、特に株式会社の有限責任制に視点を置き、
債権者に対する株主の責任限度額としての拘束性を重視し、その観点から資本
を捉えるのである。

 このことは、旧商法の時代からそうであるように債券者保護の観点であり、
債権者保護のための配当制限としての資本を捉えることである。

 この観点からすれば、アメリカでのように将来的に「資本金」という項目を
無くしても別に会社法の視点からの会計実践には何ら支障は生じない。

 配当制限としてどのような規定を置くかというだけで、資本金、資本剰余金
といった概念にとらわれる必要はまったくないのである。

 それであればいっそ、会社法においては現純資産の部を「配当制限項目」と
「配当財源項目」という区分にすれば済むともいえるが、近時の純資産の部に
はその属性が明確に「資本」と断ずることができない属性を持つ項目も含まれ
ていて上記のような会社法の観点からでもなかなか「資本」を正確に定義する
のは厄介な状況となっている。

 現状では、「負債」と「資本」は従前のような透明性が無く、至って不透明
であるといえよう。

 さればこそ、上に記した会計(学)の本来の「資本と利益の源泉別分類(区
分)」を会計学を学ぶ者は決して忘れてはならないのであり、そのことが混迷
の現在の資本を正しく見極める判断基準ともなるのである。



 さて、現状の企業会計においては、性格のまったく異なる二つの情報内容、
つまりは二つの相異なる利益概念に基づく情報を一つの財務諸表によって情報
開示している。

 このことが、特に投資意思決定情報の観点からの情報提供に重大な支障をき
たしていることは言うまでも無い。

 旧商法が我が国の会計を20年以上諸外国に比して後進国としていことのは歴
然とした事実である。

 このことは、旧商法(現会社法)の所為ばかりでは無い。公の場ではディス
クロージャーを口にするものの、本心はアン・デスクロージャーである我が国
の企業経営者の姿勢が、二種類の財務諸表の作成を拒んでいるのである。

 しかし、そのような制約の元で投資情報としての機能を最大限発揮するべく
会計学者はけなげな努力している。

 会社法が如何に形式的な譲歩(会社法計算書類のフォーマットの形式的な投
資情報としての財務諸表のフォーマットへの変更や開示会計事象の取り込み)
をしたとしても根幹にある利益概念がまったく異なっていることを踏まえれば、
もはや会社法の支配する財務諸表が投資情報としての意義を喪失していること
を理解するべきでは無いだろうか。


 そこで、ここまで「資本」を取り上げて来たのであるから、その二つの性格
の異なる「利益(概念)」に関して参考までに若干触れておくことにしよう。

 二つの異なる利益(概念)とは、承知のように分配可能利益と業績表示利益
である。

 分配可能利益は「処分性」をその特質とするものであり、業績表示利益は投
資指標としての「収益力(の指標)」としての特質をもつものである。

 この場合、後者の投資情報としての利益の計算は、投資者の関心の的に対す
る適合性を前提とした経営成績および財政状態の表示を目的とするところから、
継続企業の収益力の算定・表示に基本的な視点が置かれ、そこでの会計の体系
は、そのような内容の利益計算を主軸とする計算報告体系として構築される。
この会計の体系は、費用・収益の期間的な対応による、損益法による利益計算
が指向される。

 損益法に基づく期間計算としての利益は、利益の形式的な計算方式を示すも
のであって、利益の大きさを実質的に規定する性格のものではない。そのため
に、会計実践においての利益概念が損益法にもとづく期間利益概念であると規
定するだけでは、不十分である。

 利益概念の実質は、損益法計算の中身である費用および収益の認識・測定の
仕方に依存するから、それらの認識・測定のための原則の特質を究明すること
が、会計実践における利益概念の把握にとって不可欠となる。

 会計実践における実質的な利益概念は、発生主義による認識および一定の基
準に基づく測定を条件とする利益として把握される。これは資産の評価(測定
)と密接な関係にある。なぜならば、それらの評価基準に基づく測定値を基礎
として、資産およびその費消額たる費用を測定することになるからである。


 現金融商品取引法(旧証券取引法)は、投資者保護の観点から経営成績およ
び財政状態の表示を目的とする。それは、継続企業の収益力の算定・表示に基
本的な視点が置かれる。つまり、この場合の利益は業績表示利益であり、した
がって、基本的には動態論の会計構造を前提とする計算体系が前提となるもの
である。

 これに対して、会社法(旧商法)は、現在株主および債権者の保護を直接の
目的とする。したがって、この観点からは、株主の有限責任限度を意味する出
資額についての、資本維持ないし資本充実の原則による制約が加わらざるをえ
ない。

 したがって、会社法(旧商法)は、特に債権者保護の視点からの財務的な安全
性を図る意味において、会社債権者への唯一の担保額を意味する会社財産の基
礎額としての株主による出資額を実質的に確保するための各種の規定(制約)
を持つことになる。

 ここに会社法(旧商法)が計算する利益が分配可能利益として「処分性」の
特質を持つ理由がある。


 巷一般では現企業会計において分配可能利益としての「処分性」は“実現主
義”とイコールの関係にあると信じられているようである

 しかし、真実はこの「処分性」は「現金主義」と結び付いているのである。
配当は基本的に「現金」での支払いであり、したがって、「処分性」は配当支
払いへの現金の充当が可能な状態を要求するものなのである。

 では、分配可能利益としての「処分性」=現金主義だとすれば実現主義はそ
れらとどのような位置関係にあるのであろうか?

 今簡単な図を以下に示すことにしよう。
(注:この図は配信された時に多少歪むかもしれないので、その場合には、下
の説明に基づいて自分で修正して見て下さい。)

  分配可能利益 |        |
    ‖    |        |
   処分性   |        |
    ‖    |              |
  (現金主義)  |              |
         |              |
  (1)      |  (1)     
  (実現主義) |←―――(発生主義)―――――――――――→
         |            
         |              |
          |        |
  (2)      |(2)       |  (2)
  (現金主義) |←(実現主義)→|←――(発生主義)―――→
         |              |
          |              |
         |              |
         |(3)       |
  (3)      |(実現主義) (3)
  (現金主義) |←――――――(発生主義)――――――――→
         |        |
         |              |
         |              |
                  |              |


 図の始めにある  『分配可能利益
             ‖
            処分性
             ‖
           (現 金)』

がまずは正しい分配可能得利益と処分性と現金主義の位置関係である。

 ところが、一般に信じられている関係は(1)の位置関係であるが、これはま
ったくの間違いである。もし、(1)の関係であるとすれば、実現主義も要件は
「現金」だけであり、現金とともに要件とされる「現金同等物」は排除される。
では、(2)の関係ではどうかといえば、これも間違いである。

 正しくは(3)の位置関係である。

 すると、読者諸君は(3)と(2)はどこが違うというのか?と言うに違いない。

 (3)と(2)の違いは(2)の位置関係では「実現主義」が「現金主義」や「発生
主義」と並んで独立的な位置関係として示されている。これも巷一般の理解に
あるようだがこれが間違いである。

 (3)では「発生主義」の範囲を示す「←→」が「現金主義」との境界線のと
ころまで示してある。

 これが意味することは「実現主義」は実は「発生主義」の一部の限定された
範囲を示す会計実践上作られた便宜的な概念だということである。

 既に本HBAメールマガジンでは度々記してきたが、会計の発展プロセスを
いう場合に、現金主義→実現主義→発生主義などというプロセスは存在しない。

 正しくは、現金主義→発生主義であり、現状においてこれ以外のプロセスは
存在しないのである。

 その理由は、既に分かるように現金主義以外は発生主義でしかないからであ
る。

 このことは上の図ときちんと整合している。

 では、実現主義が「処分性」とイコールではないとすれば、いったい何なの
であろうか?

 それは「収益実現の確実性」に求められるものである。

 実現主義は、会計実践、つまり、「制度」という便宜上から生じた概念であ
り、会計(学)上の概念としては存在しない。実現主義は「制度」としての会
計を説明する場合にはその意義を説明されることはあっても会計学上は存在し
ないのである。

 しかし、制度上では、基本計算構造として業績表示利益算定のための動態論
の計算構造により収益・費用計算を行うも、そこでは他方の要請である分配可
能利益の算定要件をも充たす必要がある。

 その場合に「処分性」を前提とするのであれば、上記に指摘するように業績
表示利益の計算は全て否定されることになる。

 したがって、実現主義の趣旨は「処分性」を視野に入れつつも、「収益実現
の確実性」を捉えるのである。

 それが実現主義の要件の「現金同等物」である。「処分性」だけであればそ
の要件は現金だけとなる。

 つまり、実現主義は発生主義の範囲の中で、その実現の確実性がかなり高い
領域というわけである。

 上の図はそれを示している。


 読者諸君や巷一般では、会計の基礎理論を学習すること無く、「制度会計」
が前提で財務諸表論を教えられる。

 つまり、私がよく指摘ように始めから「ミルクコーヒー」を前提に学習する
のである。

 これでは、コーヒーとミルクそれぞれの存在と、そして、ミルクコーヒーと
なるプロセスを問われても応えられるバズはない。

 巷の受験学校の学習とはこのようなものである。


 上の図の(3)の位置関係では実現主義は発生主義の一部として示しててある。

 この意味が理解で着れば、工事進行基準は「発生主義」の収益認識基準では
あるが、制度(会社法)上では、「実現主義」を許容する分配可能利益が許容
することにより認められるということが理解できることになる。

 一定期間毎に現金収入があるからなどといった実現主義の要件へのこじ付け
によって実現主義の許容範囲(まったくの戯言)だなどして制度上認められて
いるわけではない。

 実現主義が“許容”するのではない。分配可能利益が実現主義を許容するよ
うに、分配可能利益の趣旨に反しないから、分配可能利益が工事進行基準を収
益認識基準として「許容」するのである。

 制度上においては実現主義が基準となっているのではなく、分配可能利益が
その許容する範囲を決定付けているのである。

 巷一般では“実現主義”至上主義のように、全てを実現主義(の要件)に当
てはめて説明しようとするが、それは己の無知を自ら暴露する以外の何でもな
い。


 さて、読者諸君は本信を読んでちょっと、目の前が開けたであろうか?それ
とも悩みが増したのであろうか?





 では、今回はここまでである。





 ではまた!!






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