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《第43講》「各論一考を終わって その2」
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◇《今日の一言》◇ =============== =============== =============== 

 読者の皆さん、こんにちは!!

 読者の皆さんには、再びのお待たせとなり申し訳ありません。


 今回のHBAメールマガジンに関しては、前信で久々に監査論に関する内容
を予定している旨の予告をしたのですが、今回再び予定を変更し、前信で取り
上げた内容にも関連して、また、タイミング的には今しかないとも思い、巷一
般で大きな誤解がされている動態論の計算構造、取得原価主義(会計)、実現
主義の真意と、それらの関係という至って会計学の基本中の基本についてここ
で触れておこうかということです。

 これらについては、既発行のHBAメールマガジンでも、そこで取り上げた
テーマに関連して必要な範囲で記してきたのですが、しかし、ここにこれらの
論点だけを一同に会してまとめて確認するのもまた有意義なことと思い、した
がって、今までのHBAメールマガジンをすべて読んできた読者諸君にも、新
たな発見があろうかと思います。




 さて、巷一般では、動態論の計算構造、取得原価主義(会計)、実現主義の
関係について次のような誤った解釈があるようである。

 それは、例えば、取得原価主義(会計)と実現主義を密接不可分の関係であ
るとの解釈に基づいた“取得原価主義と実現主義は表裏一体となって未実現利
益を排除している”という説明や、動態論の計算構造と取得原価主義(会計)
を不可分の関係であるとする解釈などである。

 そこで本信では、動態論の計算構造、取得原価主義(会計)、および実現主
義の本来の正しい意義を確認し、現企業会計における会計基準等を正しく理解
するための前提となる正しい基礎知識を読者諸君に持ってもらおうというので
ある。

 何事も土台が歪んでいたり、正しく正確に構築されていなければ、その上に
は正常なもの(理解)を積み上げることは不可能だからである。



 では、まず、取得原価主義(会計)と実現主義についてである。

 取得原価主義(会計)と実現主義を密接不可分の関係と捉え“取得原価主義
と実現主義は表裏一体となって未実現利益を排除している”という誤った説明
をよく聞いたり、また、市販本などに書いてあるのを目にする。


 読者諸君は、実現主義がどのような事情で存在するのかに関しては知ってい
る?のであろうかと思う。

 そこで、まずは取得原価主義(会計)について確認してみよう。

 承知のように、動態論の計算構造は18世期末の会計環境を前提にして出現し
ている。

 その動態論の計算構造が出現するきっかけというべきものは、産業革命の恩
恵を受けた継続企業たる製造業である。

 その製造業では、資産の大半を占める固定資産(製造設備)の存在があり、
そのことが動態論の計算構造において、収益力の計算を行う期間損益計算上の
最大の問題であった。

 それは、長期間使用することによってその耐用年数間の各期の収益の獲得に
貢献するこの固定資産に関する費用をどのようにして期間損益計算上に計上す
るか、という問題である。

 収益力の算定を目的とする期間損益計算では、費用と収益は対応計算するこ
とが必須であるから、固定資産に投下された資本額を固定資産の取得時に全額
費用として計上することや、固定資産の耐用期間終了時に全額費用として計上
することが合理的でないことはいうまでもない。


 実は、動態論が出現した18世期末では、固定資産の売却価値は「0=ゼロ」
であった。一方、その使用価値は取得時の支払対価額(=市場時価)に等しい
とされた。

 それは、現在のように救急車や消防自動車といったものにまでも常設の中古
市場が存在する状況とは違い、固定資産に関する常設の中古市場が存在しない
ことによる。つまり、一旦取得した固定資産の耐用期間内での売却は基本的に
予定されなかったのである。

 その意味で、固定資産は取得した直後から、変動する市場時価とのリンクが
切断された状態にあり、したがって、「取得時の時価」を変動する市場時価と
区別するため、その入れ物として「取得原価」なる概念が会計上作られたので
ある。

 この「取得原価」は、過去の実際の取引事実を反映しており、その額は、固
定資産の取得に際して支払った対価額であることから、測定に関する客観性・
検証可能性の観点から将来の期間への期間配分額としての合理性を主張し得る
ものであった。

 そこで、一旦「取得原価」なる入れ物(概念)に閉じこめた固定資産の取得
時の時価は、以後、変動する市場時価とは区別されて取得原価と称され、各期
の期間損益計算上への配分額たる費用額(減価償却費)の基礎とされることに
なる。

 それは、取得原価が当該固定資産の使用価値を表すとの当時の前提からも必
然的な帰結といえる。

 このように取得原価は、過去の実際の取引事実を反映し、支払対価額によっ
て測定されたものであるから、その意味で数値の客観性が担保されることによ
り、当時の会計環境においての制度的実行可能性の観点からの適合性を持って
いたのである。

 これが「取得原価」の始まりであり、その取得原価を資産評価の原則とする
のが取得原価主義であり、その取得原価主義を中心に置く会計体系を取得原価
主義会計というのである。


 では、実現主義についてはどうであろうか?

 巷一般での実現主義の説明は、例えば“分配可能利益(実際的には、配当利
益)の算定目的に適合している”といったものであろうか。

 実は、実現主義は分配可能利益を前提とするとは言えるが、そもそもは、分
配可能利益が実現主義を許容するという関係にあり、それは、巷での誤った解
釈のように分配可能利益=実現主義という関係ではない。

 正しくは、分配可能利益=現金主義である。


 分配可能利益を前提とする制度上の法体系が会社法(旧商法)であり、した
がって、その会社法(旧商法)は配当利益の算定目的により収益の認識におい
て実現主義の適用を要求する、とよく説明されるが、この説明は正しくない。

 旧商法(現会社法)が投資情報の前提たる業績表示利益に対して妥協してほ
んの少しだけ譲歩した結果として出現したのが実現主義なのである。

 本来的には、分配可能利益に適合するのは「現金主義」であり、実現主義で
はない。


 会計上の認識基準の発展段階は、現金主義→発生主義であり、巷でよく説明
されるような現金主義→実現主義→発生主義といったものではない。

 つまり、いってみれば現金主義以外はすべて発生主義なのである。

 これからすれば、実現主義も本来的には発生主義の一領域であると言え、し
かし、広く一般の発生主義の領域よりもその収益実現の確定性がかなり高いレ
ベルの領域(契約等の担保がある等の理由により)であり、この領域を、旧商
法(配当利益の算定目的の観点)が許容範囲として認めた結果、それを他の発
生主義の領域とは区別するために「実現主義」の領域としたのである。

 この実現主義の根拠は、分配可能利益の特質としての処分性もさることなが
ら、収益実現の確定性に求められるものである。したがって、実現の保証のあ
るかぎりにおいては、その収益の計上が認められるべきものである。

 この理解は、実現主義の要件を暗記することで実現主義を知ったつもりの巷
一般には「無い」ものであろう。


 したがって、上に示した実現主義の趣旨からすれば、例えば、工事進行基準
(発生主義)が制度的に認められる論拠は、巷でよく聞くような実現主義の要
件を“概ね満たす”などといった実現主義の要件へのこじつけ的な当てはめに
よって説明されるものではなく、工事進行基準は「発生主義」ではあるが、契
約に基づく受注工事であるために、その収益の実現が保証されており、収益計
上額の客観的測定可能性が確保されることから、分配可能利益の趣旨に反しな
いとして、分配可能利益がそれを「許容」するということである。

 つまり、分売可能利益(旧商法の配当利益の観点)の妥協の結果として実現
主義を許容したたように、工事進行基準も同様に分配可能利益の趣旨に反しな
いとして許容したのである。

 したがって、この実現主義は至って制度的制約(旧商法の配当利益の算定目
的の観点からの横やり)によるものといえ、上記の取得原価主義(会計)が生
じる事情とは異なっている。


 そもそも動態論の計算構造は、業績表示利益としての収益力の算定を目的と
する計算構造であり、したがって、動態論の計算構造には発生主義が最も適合
的なのである。そのことからすれば、間違っても当初から実現主義を予定して
いるなどといったことはない。


 取得原価主義(会計)と実現主義は、(特に旧商法・現会社法にとっては)
都合が良いことに同様の効果を貸借対照表上と損益計算書上で生じることから、
何時しか“取得原価主義と実現主義は表裏一体となって未実現利益を排除する
”といった取得原価主義(会計)と実現主義を密接不可分の関係とする誤った
解釈に基づく説明が学者の中にも蔓延するようになり、そうであれば巷一般で
はそのことに何の疑問も持たずにそのように納得するということになったわけ
である。

 これは、純理論的論拠を持つ会計処理部分と会計実践上の便宜的な対応処置
が混在した制度会計の内容を、あたかもそのすべてに理論的論拠があるかの如
くに、結論から逆行して、理論上は有りもしない“論拠”なるものを説明しよ
うとしたかつての会計学者達の誤った思考がもたらした産物である。


 PCの発展に伴って将来的な数値の測定に関する客観性レベルが上がり、見積
計算に関する計算技術の向上から、その見積額の客観性が広く担保されつつあ
る現状においては、実現主義は会社法の配当利益の算定目的に対する合理性し
か持ち得ず、もはや、投資情報としての財務諸表を制約するファクターとして
の意義を失いつつあるというのが実情である。

 一方、取得原価主義(会計)は、時価評価、割引現在価値評価等が部分的に
適用される現状においても現行企業会計の中心であり、それは、固定資産の評
価において割引現在価値評価が会計実践上で全面的に適用されるまでは、主役
の座を明け渡すことはないであろう。

 現状での金融資産に対する時価評価の適用や棚卸資産への時価評価の適用は、
市場とのリンク性によって、ある程度高いレベルでの収益の確定性が担保され
た財の特性に基づくものであり、会計実践において、実現主義によらずとも何
らの不都合を生じるものではない。

 しかし、収益力算定上そもそもの会計実践の当初からの大問題であった固定
資産の評価は現状においても依然として取得原価評価である。

 これは、固定資産の使用価値の評価においては主観的恣意性が介入する余地
が大きく、したがって、客観的測定可能性の担保が確保できないことが決定的
な理由である。

 現在、固定資産の評価に関しては、減損処理(そもそもは資産評価論−時価
評価−に端を発する会計処理)においては時価が適用されるものの、その場合
の「時価」は、帳簿価額を収益性の観点から切り取るための単なるガイド・ラ
インとして利用されているだけである。

 それは、決して“時価評価”といったものではない。

 “時価を適用すれば、時価主義だ”などと言う者は、会計に関してはド素人
である。


 このように見てくれば、そもそもの生い立ちが異なる事情による取得原価主
義(会計)と実現主義を、結果としての効果が同じであるからといって“表裏
一体”と説明することの滑稽さは今時のお笑いタレントのギャグなどよりも酷
いものである。




 次に、動態論の計算構造と取得原価主義(会計)の関係についてだが、巷一
般では動態論の計算構造は取得原価主義(会計)とセットで説明されるのかも
知れない。

 特に、動態論の計算構造と取得原価主義(会計)を不可分の関係との解釈が
あるようだが、それは果たして正しいのか否か確認してみよう。

 そこで、まずは動態論の計算構造について簡単に確認しておこう。


 18世紀末の産業革命によって、それまでの一定の活動目的毎の資本活動であ
った冒険企業ではなく、個々の製品に関しては薄利でも継続的に製品を製造し
て販売するという継続企業(製造業)が出現し、その製造設備(固定資産)へ
の投資額が企業資本のほとんどを占めるという事情から、その設備投資のため
の資本需要が増大した結果、それらの資本需要を満たすべく証券市場が出現し
たことは既に承知のはずであろう?

 いやしかし、読者諸君のほとんどがそうであるように、会計学に関する学習
を簿記の学習から始めた場合、そこでは商業を前提とした簿記の記帳技術の学
習が中心であり、製造業は別論点(受験簿記の論点としてはレアケース)とし
て学習するのが巷一般であろうから、したがって、動態論の計算構造がこの継
続企業たる『製造業』を前提として出現したなどという理解は読者諸君にはそ
もそも無いのかも知れない。

 そう、動態論の計算構造が出現するきっかけは、継続企業としての製造業の
出現を前提としているのである。

 それ故、会計処理や簿記の記帳処理に関しては製造業を前提にしなければ理
解できないものがある。例えば、棚卸資産に関する払出方法である個別法も、
そもそもがこの製造業を前提にしている。したがって、巷一般で説明される“
個別法は財の流れと原価の流れが一致する方法である”といったものは、個別
法のそもそもの前提が製造業にあることを知らない説明である。

 商業を前提とする視点からは、財の流れと原価の流れは”一致している”と
言い得る場合があるが、製造業における原材料の払出を前提に考えれば、個別
法においても財の流れと原価の流れが一致していると言い得るわけではない。

 例えば、仕入れ単価が異なる同じ液体原材料を、仕入単価毎に異なるタンク
に貯蔵して管理している場合などは個別法が適用される。

 この場合、購入単価は違っても原材料の内容自体は同じであることから、実
際にそれを払い出すに際しては、必ずしもそれぞれの仕入単価の違いを意識し
て払い出されるわけではなく、実際の財の流れが原価の流れと一致する保証は
まったく無い。したがって、この場合における個別法の適用による払出計算は
仮定計算である。


 さて、資本需要の増大による証券市場の発展に伴い、次に出現したのが「投
資家」といわれる株式の売買による利ざやの獲得を目的とする者たちであった。

 この場合の株式への投資は、投資対象の企業が将来的に業績を上げることに
よる株価の値上がりを前提に為されるものである。

 つまり、ここでは「業績の上昇=株価の上昇」という図式が前提にあるので
あり、したがって、投資家は、投資対象の企業の業績に関する情報要求を持つ
ことになる。


 この業績に関する情報は計算的には「収益力」(業績表示利益)の算定・表
示として捉えられ、したがって、その収益力を計算する計算構造が必然的に必
要とされたのである。

 この収益力を算定・表示する構造として提唱されたのが「動態論の計算構造
」である。


 さて、当然のことながら、投資家の投資対象たる企業は、現実の貨幣経済社
会に存在する現実の企業であるから、したがって、その企業は現実の貨幣経済
社会での収支を前提として継続的に活動している。

 一方、投資情報の観点からすれば、収益力に関する情報は、その特質が投資
意思決定のため判断資料であるため、投資家へのタイムリーな情報提供が絶対
的な条件となる。

 そのため、継続企業を対象とする投資情報の作成上では、会計期間を人為的
に区切って「期間損益計算」をすることによって収益力を算定・表示せざるを
得ず、そのために、本来切れ目無く流れる現実の収支と収益力の算定のために
作られた会計上の概念である費用・収益との間に時間的なズレが生じることに
なるのである。

 そこで、この収支と期間損益計算上の費用・収益との時間的なズレの部分を
どうするのかといったとき、動態論の貸借対照表の存在が意義づけられること
になる。

 すなわち、「動的貸借対照表は期間損益計算の連結環」という機能上の意義
づけである。

 これは、中断することの無い企業活動上の収支の流れのうち、期間損益計算
上の費用・収益として作用して解消した部分以外の部分は、期末に貸借対照表
に掻き集め(そもそもの本来の意味は正に『掻き集め』であり、読者諸君がよ
く知る区分表示された貸借対照表は情報提供のために表示が工夫されたもので
あり、それは貸借対照表の構造的な機能に基づくものではない)、それらを翌
期の期間損益計算へとつなげる(持ち越す)ための「入れ物」としての機能で
ある。

 ここに動態論の計算構造が、費用・収益アプローチ(つまり、期間損益計算
を中心に置く)を前提にしていることが、如実に表れているのであり、それは
また、動態論の議論の中心をなすのが、人為的に区切られた期間と期間をつな
げ、適正な期間損益計算を実現するための機能を担う動的貸借対照表であるこ
とを意味するのである。


 読者諸君は、適正な期間損益計算といえば合理的な費用・収益の対応計算に
よって実現するという理解であるはずである。

 確かに、表向き強調されるのは、適正な期間損益計算は合理的な費用・収益
の対応計算によって実現されるということだが、それだけであれば、動態論の
中心的議論が動的貸借対照表論であることの意味をまったく説明することはで
きない。

 もし、動態論=動的貸借対照表論であるとの認識があったとしても、費用・
収益対応計算の側面しか理解してないのであれば、それは“暗記”的な知識で
あり、その本質的な意味を知っていることにはならない。


 適正な期間損益計算の実現は、期間損益計算上の費用・収益と収支との時間
的なズレの部分を一度期末に収納した上で、それを人為的に区切られた(切断
された)翌期の期間損益計算へと運び、前期と当期、当期と翌期という期間と
期間をつなげる役割(機能)を果たす動的貸借対照表の存在があって始めて可
能となるのである。

 勿論、動態論の計算構造においては、損益計算書での期間損益計算が主であ
り、動的貸借対照表は従の関係にあるといえる。
 しかし、適正な期間損益計算の実現は動的貸借対照表の連結環としての機能
無くしては実現不可能なのであり、その意味で動的貸借対照表は動態論におい
て決定的な意義を持つのである。


 近時の貸借対照表上での投資情報の開示の可能性を追求する観点(実態開示
の観点)から、資産の時価評価や割引現在価値評価などが一部に(キャッシュ
・イン・フローの客観性が契約等によって検証されたものに限定)適用されて
いる。
 しかし、現状においてもなお貸借対照表は期間損益計算の「連結環」たる機
能を保持しているのであり、会計上の費用・収益と現実の世界の収支との時間
的なズレを調整するこの貸借対照表の機能無くしては現状でも適正な期間損益
計算の実現は不可能である。

 そのことは、現在までに、この動態論の計算構造を凌駕するような会計構造
が出現していないという歴然とした事実があり、それは現状においてもなお、
この動態論の計算構造が現企業会計における厳然たる「基盤」であることを何
よりも証明するものといえよう。

 時価評価の適用や、企業価値評価といった言い様に翻弄されて、現在の企業
会計は資産・負債アプローチを採っており、動態論の計算構造は“古い”など
と言う者は、真に動態論の計算構造、つまりは、(動的)貸借対照表の意義を
理解していないのである。


 このような動態論の計算構造だが、実は、動態論の計算構造自体はそこでの
計算前提たる数値の測定(基準)に関しては、原価(主義)によるとも時価(
主義)によるとも言ってはいない。

 つまり、動態論の計算構造は、取得原価主義(会計)を最も適合する基準(
または、それを中心に置く会計体系)として指名しているわけではなく、した
がって、動態論の計算構造と取得原価主義(会計)が不可分の関係にあるわけ
ではない。

 いやむしろ、動態論の計算構造が投資情報としての企業の収益力に関する情
報を作成する構造であることから、本来的には発生主義(会計)を前提とする
ものであり、そのことに照らせば、むしろ時価評価や割引現在価値評価による
評価がより一層の適合性を持っているといえる。


 取得原価主義(会計)は既に記したように、動態論の計算構造が出現した時
代の会計環境の事情から制度的実行可能性を考慮して出現したものであり、現
代のような発展した市場も存在せず、また測定に関する思考が現在のように進
歩してはいない時代において、企業の資産に対する膨大な割合を占める設備資
産に関する費用を、適正な期間損益計算の観点から期間配分するに際しては、
取得原価を基礎として配分することが最も合理であっただけである。

 勿論、それ以後の時代において、時価や割引現在価値などによる測定可能性
やその数値の客観性の担保の問題から、また、会社法等の法制度との相性の良
さもあって、会計は長い間取得原価主義(会計)を主軸としてきた。

 しかし、そのことは今までの会計において取得原価主義(会計)が唯一無比
の存在であることを意味するわけではなく、むしろ、投資情報の観点からはそ
の前提が発生主義会計であることに鑑み、時価等の他の測定基準の適用を絶え
ずトライしてきたのである。

 それでも、制度的実行可能性の観点からは、その測定数値にかなり高いレベ
ルの客観性が要求され、したがって、会計の議論において何度となく提議され
ながら、それらの制度的実行可能性が検証されるには至らなかった。


 近時、PCの発展から、会計上の測定に関しては大きな進展が見られ、したが
って、現状での貸借対照表上の資産等につき、時価評価や割引現在価値評価が
一部適用されるに至っている。

 しかし、そのようなことを持って、動態論の計算構造はもう古いとか、取得
原価主義(会計)は既に用済みだと短絡的に言えるわけではないのである。


 現状では、前信で触れた財務会計の概念フレームワークなどの影響もあり、
また、貸借対照表上の項目に対して時価評価や割引現在価値評価が一部適用さ
れていることを捉えて、現企業会計では資産・負債アプローチを採っている等
の誤った解釈が巷には蔓延しているようである。

 ちなみに、それらの戯言は、前信で取り上げた2006年に公表された第2版の
財務会計の概念フレームワークを元にして言われているようであるが、当の概
念フレームワークは、実はアメリカのFASB(概念基準書)を手本として作成さ
れたものである。

 ところが、その時点では後のアメリカの大いなる裏切りを我が国の会計学界
はまったく知らなかった。

 その裏切りとは、FASBの全面的なIFRSへの協調である。

 会計の国際的コンバージェンスにおいて、我が国はアメリカ(FASB)と歩調
を合わせる考えであったことから、このアメリカの裏切りは我が国の会計学界
に大きな衝撃を与えたのである。


 手本とされたFASBは、既存の会計アプローチ、原価主義、時価主義や会計体
系等にとらわれず、会計実践上での合理性を前提として規定されている。

 つまり、費用・収益アプローチ、資産・負債アプローチ、原価主義、時価主
義などといった既存の概念にとらわれず、基本的前提としての財務諸表の作成
目的には基づくものの、その具体的な会計処理に関しては、会計事象への適合
性の観点が優先され、したがって、統一的な会計体系を前提とした規定内容と
はなっていない。

 これによれば、例えば、貸借対照表項目に関する処理規定においてある項目
には原価を適用し、他の項目には時価を適用するといったこともその会計事象
への適合性(会計実践上の合理性)に矛盾しなければ認められることになる。

 これは、会計体系としての統一的な秩序を放棄していることを意味する。

 したがって、例えば、貸借対照表に関して資産・負債アプローチを採ること
を前提にして資産の時価評価が適用されるということではないのである。

 しかし、このようなFASBを手本とした結果、我が国の概念フレームワークは、
巷一般の者たちに“概念フレームワークでは資産・負債アプローチを採ってい
る”などといった誤った解釈を生じさせることとなったのである。


 当のFASBの規定は、既にかなりの詳細な内容となっており、言ってみれば
FASBの規定通りのであればOK、少しでも規定に反していれば不可といった具合
であり、実務家からはかなり批判を浴びていたのである。

 そのFASBを我が国の概念フレームワークは手本として作成・公表し、その公
表後に我が国の会計学界は上記のアメリカの裏切りを知るのである。


 私が心配する立場にはないが、このようなことでは、我が国の会計(学界)
が世界の会計(学界)のリーダーシップを取るような時代はまだまだ当分訪れ
そうもない・・・。



 さて、本信では会計学の基本中の基本であり、その名称だけはよく知られて
いる動態論の計算構造、取得原価主義(会計)、実現主義を取り上げ、その本
来の意義とそれらの関係について確認した。

 これらに関しては、今までのHBAメールマガジンでも何度か必要に応じて
触れているはずてあり、しかし、そのHBAメールマガジンをこれまですべて
読んできた読者諸君であっても今回新たな発見があったのかも知れない。

 現状では我が国の会計は国際的コンバージェンスの波(我が国にとっては津
波であり、黒船以来のディープインパクトとも言えるであろう)の影響によっ
て急速に展開しつつある。

 しかし、その変化の中で、何が本質的に変化し、何が変化しないのかを正し
く読み取り、それを正しく理解するためには、今回のような会計の正しい基礎
理論の知識が不可欠なのであり、それが無ければ、巷やメディアのセンセーシ
ョナルな言い様等に翻弄され、その真意を見失うことになる。

 その変化が激しいほど、基礎理論の確かで正しい理解が重要となるのである。


 読者諸君は、それが受験勉強であったとしても、暗記を前提とした受験勉強
は、たとえ試験に合格したとしても、時間と金と体力の消耗という「対価」に
見合ったものを諸君にはもたらさず、その意味でまったく将来性のない学習で
あることを認識するべきであろう。




 今回は以上である。



 さて、次回の予定(予定は未定ですが??)は、一応再び監査論ということ
にしておきます。




 ではまた次回に!!










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てください。

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◇ =============== =============== ============= =================

◇◇◇今回の問題◇◇◇

問 題
 「企業会計原則」では、「すべての費用及び収益は、その支出及び収入に基
づいて計上し、その発生した期間に正しく割当てられるように処理しなければ
ならない」(損益計算書原則一A)とされています。ここに規定される費用及
び収益の測定に関して、取得原価主義および実現主義を踏まえて以下の各問に
答えなさい。


問1
 上記規定は、費用及び収益の測定に関して、取引価額を測定基礎とすること
を指示しています。このように、取引価額を測定基礎とすることが、費用及び
収益の測定値に客観性を与えることになるといわれます。これについて説明し
なさい。(9行)

問2
 問1のように費用及び収益の測定額には基本的に客観性が認めらるとされま
すが、費用の測定額と収益の測定額とでは、客観性の程度に相違があると考え
られます。測定額の客観性の程度を左右する費用の測定額と収益の測定額との
根本的相違を二点指摘しなさい。((1)6行・(2)6行)

問3
 現制度会計では、原則として費用の測定額は取引価額(取得原価)を基礎と
しています。そこで、継続企業の収益力を算定・表示するための費用の測定額
として取引価額(取得原価)を基礎とする上での限界について説明し、企業の
収益力の算定・表示のために、より合理的と考えられる費用の測定額について
明らかにしなさい。(12行)







〜本問に関する確認項目〜

・問1は、取引価額基準を前提にして解答する問題である。つまり、費用額に
ついては支出額基準、収益額については収入額基準である。
・問2は、取引価額基準によって測定される費用額と収益額に質的相違が存在
することを指摘できるかがポイントである。
・問3は、費用額と収益額の測定のタイミングの違いが解答のポイントである。







・解答行数:上記各問題文末参照。

      問1:  20点
      問2:(1)20点
                 (2)20点
            問3:  40点
         (合計  100点満点)








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◆◆◆前回の問題◆◆◆ =============== =============== ===========

 前回出題がなかったため、今回はお休みです。









◆◆◆前回の問題の解答・解説◆◆◆=============== ============ =======


◆【解 答】◆◆=============== =============== ============ ==========

 前回出題がなかったため、今回はお休みです。









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□ 雑 感 □===========================


◎夏である! そして、猛暑である!!

 今年の夏の前半の様子ではこれ程の猛暑となるとは想像もしなかった。

 だから、外出のため炎天下の野外の駐車場に置いてある車に乗るのは大変で
ある。

 そもそもドアが焼けるように暑くて容易には触れられず、やっとドアを開い
て運転席に座ろうものなら、背中とお尻が「温度レベルを強」にした電気毛布
でくるまれているように熱い。

 それにじっと耐えながら、とりあえずエンジンをかけ、直ぐにエアコンのス
イッチを入れると、何とダクトからは熱風が吹き出てくる。

 車の中はサウナ状態だ!!

 エアコンを入れたのに車の窓はすべて全開である。

 それでも我慢して、シートベルトを装着した上で車を発進させるためハンド
ルに手をかけようとするが、ハンドルはシートなどとは比べものにならないほ
ど熱く焼けていて、手の平ではとても握れない。

 やむなく、両手の親指と人差し指でハンドルを摘むようにして、発進!

 ハンドルの自由が十分には効かないため、動き出してしばらくは厳重注意状
態で、駐車上から出た直ぐの細い道路で対向車がきたりしたなら、思わず“や
めてくれ〜!こっちはハンドルに触れないんだぞ”ッと思わず唸ってしまう。

 その時点で身体は汗でびっしょりで、何の用があって車に乗ったのか?何処
に行くつもりだったのか?と自問自答するほど暫し頭が翔んでいる。

 帰宅する頃にはシャツも下着もバケツの水をかぶったようにびっしょりであ
り、とりあえず、シャワーを浴びなければ座ることもままならない。

 冷たいシャワーを浴びたら、勿論、勿論、冷えたビール!を一気飲み! と
いうのが最高だが、そうすれば今度は暫し、気持ちよくおやすみになる可能性
が大であり、仕事を控えている時には、冷えたアイスコーヒーで我慢する。

 だから、夏は我が家には冷えたアイスコーヒーが必需品である。

 最近では、車に乗る用があるならタクシー、外出するなら電車が楽で快適だ
と思っている。

 夏は暑くて自然なのだが、今年の夏の暑さは異常だ。


 ところで、巷の噂によればこの異常気象の原因は、惑星Xの太陽への異常接
近が原因だとか?

 さらに、2012年12月22日(時期が具体的・個別的に限定されている)にこの
惑星Xが太陽に最大接近し、地球激変をもたらすとか?

 しかも、この異常現象およびその原因である惑星Xの存在は、およそ6000年
前に高度の文明を持っていたというシュメール文明によって予知されており、
その文献に記されていた恒星周期3600年の惑星ニビルがどうやらこの惑星Xで
はないかというのである。

 この惑星ニビルの太陽への大接近により、ニビルの磁力エネルギーが太陽に
異変を起こさせ、それが地球激変を生じさせるということらしい。

 現在の地球上の異常気象のような様々な異変は、地球のコア(地球の芯の部
分)が熱くなっているからであり、北極や南極で氷が急速に溶けているのも、
この地球のコアが熱くなっているのが原因だという。

 そして、そういった異常現象が2012年12月22日に大々的に起こるというので
ある。

 だからか、巷の本屋にはこの2012年問題に関連する本が数多く出ているよう
だ。

 果たして本当だろうか?


 ふッと、仕事の合間にモニターのスイッチを入れたとき、偶然スカパーでや
っていた番組がこれだった。

 暫し気を取られて見入ってしまったのである。


 気持ちが何かに集中している時は、暑さも何も感覚的には忘れていられる。

 その番組の真意は定かでは無くても、ひさし振りにちょっと面白そうな番組
に偶然遭遇し、暫しの間暑さを忘れることができた。

 私の場合、何かに集中している時と、集中していない時とでは、まったく別
人の様である。

 仕事に集中している時は、とりあえず納得できて一段落するまでは飲まず・
食わずであることも忘れている。

 それがために、始めに時間有きの生活ではなく、仕事等の都合に合わせて食
事や就眠するため、常に、生活のサイクルは変わり続けている。

 それが限界を超すと、突然身体が受けつけなくなり、1〜2日は完全にダウン
するのである。

 まッ、こんな不摂生な生活を送っているのだから、長生きなどできはしない
であろうと思うが、それはそれでいいのではないかと思っている。


 さて、猛暑の中、読者諸君はどのように夏を過ごしているのだろうか?

 体調に気をつけて頑張って欲しい!!





 それではまた次回に!!











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